落ち葉が舞ってる君を追いかけて
スニーカーの底で中敷になる
君を支えているんだと思える心強さを
震える身体で伝えようとしたのに
眠りに落ちて低くなる体温
君を冷たいまま放置していた
....
愛情はひとつでも
愛情表現は人さまざまだ
黙って見守るのも
愛情表現なら
いちいち心配するのも
愛情表現だ
場合によっては
厳しく注意したり
たたいたりするのも
愛情表現だ
愛情は ....
今朝は小さな喜びが
2つもあった
ひとつは
プランターの中にほうれん草の芽が出ていたこと
ふたつめは
地域に二人しかいない小学生のうちの
一人の二年生の子が
通りかかって元気よく
「お ....
駅のトイレの個室の壁に書かれた
作者不明の一文
それに
興味をそそられた
読んでしまった
用を足しなから
読んでしまった
俺は失敗して彼女を妊娠させてしまった
出来ちまって ....
宵の切りくち、触れて、きっとベルベット。本当の黒なんてどこにもなかった。なでた場所から裂けていく夜をかがり縫う。濃紺であり、薄墨の、暗いからよく見えない、黒ではない黒色。ひと刺しごとに指先へと重くのし ....
『大嫌い」だって
言ったって
言葉だけだろ
わかんない?
嘘つかれてもわからないのは
けっこう真面目に好きだからかも?
ただ純粋にまっすぐに
歩けるわけなどないからね
帽子のツ ....
私が君を好きなのは
欲しい言葉をくれるからだ
わたしが君を好きなのは
下に見て安心できるからだ
わたしがきみを好きなのは
私なんかには目もくれないからだ
君が私を好きなのは ....
立ち入り禁止のビルに忍び込んだ真夜中
インスタントラジオからの呼び声を頼りに
僕達は星が一番近くで見える屋上を目指した
星座の名前なんて何一つ知らないままで
手すりから身をのりだして大声で ....
あくまで
熊にとっては、だ
そこで
はたと思う
富士山麓に熊はいるのかと
いたら
自称詩人の死体だって
少しは役に立つってもんだ
生まれて初めて
食物連鎖に
加わることが出 ....
ook up to the sky
and you’ll see the stars
shining in silence
sleeping in silence
look back to ....
秋が来て
少し硬くなった
夜と言う果実
その表皮を
ゆっくり
ゆっくりと
冷えたナイフが
削り取っています
水のような風が
ダイアモンドの粒を
吹き上げながら
刃先へと運 ....
靴の中で
転がる小さな石を
親指の先で
ゴールに決める
僕の足にだけ
ボールが集まる
不思議だなぁと
思いながら
シュートを外しても
狭いピッチで
回ってくるパスを ....
宇宙の冷たい感触が 朦朧とした頭に響く
世界の一様な無表情が 奥まる意識を取り巻く
(フォークとナイフがぶつかる音、砕けるグラス)
世界は今日終わるかもしれず
それなのに宇宙は爆発と沈黙を貫く ....
ボールペンの先で泡立てている
思いを言葉に変えられたなら
メレンゲのような柔らかい気持ち
心に挟んで飛んで行きたいよ
頭と背中を洗ってみたくて
側に行っても良いですかなんて
言 ....
ハロウィンに、
魔女の眼をして貴女に逢うわ、
貴女に逢うため空を飛ぶ。
山の貴女のそばがいい、
さいわいあれから一年経つし、
山の貴女に逢いたいな、
さいわい今日は晴れてる ....
ささやくように
話しかけてくる
冬の足音
秋の終楽章の
フィナーレは
もう間近
木枯らしのような
冷たい風が
吹き抜け
舞い落ちた枯葉 ....
その頃
私は手紙に執着していた
記憶の引き出しにしまってある
その頃という一定の期間には
時間の埃がそれなりに積もっていた
ある日
何となく引き出しの奥から探し出して
太陽の光に ....
テレビの入った箱があって
その中に僕が入って
目の前には彼女がいて
(実際には彼女に関するデータだが)
二人の間にはガラスで出来たテーブル
その中には彼女が集める美しい切手
僕が集める美し ....
夜の高速フラフラふらり
逃げたばかりのニホンライオン
計算式も忘れちゃって
嘆くよりも笑うよりもフラフラ
自由に出来るプラスチックで
自作の檻を作って
結局は投げ銭目当て
忘れちゃってニ ....
ゆったり周りながら 土星が帰ってきて
きらきら揺れる 環が合図のように
ほら、そろそろ生まれ変わらなきゃと
僕の靴紐を 流れ星が引っ掛けて
解いていった
踏み外した先で
....
ねむたい灯りのすべてにいちいち
湿度や数や記号がついている
おもえば ずうっとまえ
まぶたがまだ無かったころから
ふえることが課題だった
ふえ、進むこと
まだいくらでも捨てるものが ....
浅瀬に住めない深海魚
空を飛ぼうとするにわとり
青い空
ボロい外車とパンクな少女
乾いた匂い
空に浮かんだ石の城
読み手を失くした物語
沖を行 ....
真面目さの欠片もない
承認願望だけは
めったやたらと強くて
表面上は善人気取りだが
痛いところを突かれた途端
とんでもなく下品な
暴言を吐き散らかすか
冷静を装いながら
薄っぺらい ....
スポットライトに
目が疲れると
瞬きの回数が
増えていく
それを誰かが
ウインクと間違え
夜のギターケースの中で
待ち合わせるような
約束をする
赤いビロードが
レ ....
重たいドアを開けると
花瓶がひとつ
テーブルの上に置かれていて
「ここですべてがわかります」
一言だけの手紙に添えられていた
最寄り駅からの地図と鍵
逆光に照らされた
椅子に腰掛 ....
背中を向けたまま返事をしたのは
嫌われた方がいいと思ったから
勝手な男だと怒っているだろう
そのうち忘れてくれたらいい
惚れた女を幸せにするための方法が
これ以外に思いつかなかったんだ
....
。。ここに1枚の詩がある
始まりはこうだ
『猫がきれいに死んでいた。死骸を処理するしかるべき所に電話をかけたが呼出音が鳴り続けるだけ』
。。魂とかあるの?、、。いや、猫ではなく。
1枚の詩を書 ....
土地勘のなさを自覚し
不安を覚える異国の街で
冷たい風にさらされ
笑顔に救われる
三叉路に惑わされ
方向感覚を失い
坂道に押されて
またもや溜息をつく
夕闇に空腹が響きを成し
....
亀の剝製が飾ってある床の間
ゆらゆらと海面を漂い
首を一突きにされた
甲羅は磨きに磨かれている
見事な輝き
太平洋の夜は蒼い
恋するように
旅に出る
夢のスエード
抱きしめると
....
羽
とんぼが旗竿の先にとまつてゐる。
セルロイドのやうな羽の一枚が、半分切れてゐる。
緑の縞の入つた黒い胴を一定のリズムで上下させ、三枚半の羽を震はせながら、とんぼは ....
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