悲しい心の雨宿り
黄昏の半分は
行き場の無い気持ちの
荷物置き場
長い石段が
飽和状態まで濡れて
もう涙はたくさんと言う
眼の前で紫色した光が腰を下ろす
見上げると手が ....
蛍の光のなかに二人はもういないし 蛍もいない
きれいな緑色の軌跡ばかりが
薄いパネルの表面を掠めて 涼しげな川岸の草葉を揺らしている
蒸気と霧が立ち込める、ネオンと接合車が溢れかえる、四六時 ....
長い坂道を夕日が
駆け下りてくる
木々を草花を燃やしながら
並んで歩くあなたの目も
ルビーのように揺れている
強く光るのは涙のせいなの
それとも私が泣いてるから
赤い目で ....
ゆっくりと 歩くスピードを
なだらかにしていく
都合よく転校したきみが
どこかでごろごろしているのかな
大きなたんこぶの上を痛がりながら進んで
元気いっぱいの掛け声から逃げている
爽やかな ....
病院の午睡時は
誰も居なくなる
ただ人の気配だけ
影絵のように残り
自分が此処に居ることが
怖いくらいはっきりと浮き立つ
病院の午睡時は
誰も居なくなる
ただ人の気配だけ
影絵の ....
疲れても疲れても、上乗せされる日々に
欲しても欲しても、満たされない願望に
憤りを感じる。
重荷だ。毎日の全てが。
谷底だ。マンションの階段を掃除していた日々。
信じられないくらい可愛い子ど ....
朝飯は夕べのうちに炊きあげた
玄関の埃も掃きだした
窓も閉じた
出発する
雨の中を出発する
明日の晴れない空に向けて
訳も聞かずに怒鳴り散らした
昨日の後悔をポケットに ....
君が言うところの新しいあさが来た
君が言うところのすべきことはできてない
言い訳が見つからない時いつもするように
カーステレオのボリュームをいじる
でかい音で流れてるのが何なのか
僕には ....
母の花鋏を持って庭に下りる
背の高いグラジオラスが
白い雲を背にして並び
赤い花が足元から空まで咲き
さあどうぞと言っている
一緒に埋めた球根が花になり
私の手を握ろうとす ....
生きてるとどうしても
日々の狭い箱の中で
図太いおばちゃんに出くわして
むかかっ ときちゃう
僕の狭い心
そんなおばちゃんの
密かなチャーミングさや
ひたむきさや
ひたぶるさや
....
気持ちいいのは
けだるいから
居留守
居留守も
幾日も
生理カップ
たまったかしら
ボサノバ
聴いたら
けだるいよ
居留守
居留守
吸血鬼だわ
あの足音
重く湿った風が流れる
雨の子が風の中で泣いている
黒く長い葬列
蟻の足元で降りて
葬列に参加する
あのとき雨が降っていれば
この蝶は飛ばなかったのに
あのとき雨が降っ ....
ごつい親指
あつい皮に
食い込ませ
真夏の
昼下がり
むいて
食べさせて
いただきました
夏ミカン
ステテコ一ちょで
煙草くわえて
簾越しに
夕立ご ....
詩は言葉とは違う
詩はイメージの閃光
あるいは、
言葉に先立つ豊潤な沈黙(圧倒的な静けさ)
木霊する声の止めどもない湧出
そうして、
詩が言葉になるとき
詩は遥か彼方に遠去かって ....
そういえば七月を生きる私たちは
初秋のさみしさを忘れかけているのですね
そういえば七月を生きる私たちは
冬の木枯らしの冷たさも忘れかけているのですね
春夏秋冬
忘れた頃に暑さを思い出 ....
あなたはこう呟く
「私は詩を書いてはいけないのかもしれない。
だって私は詩の試験を受けたことがないから…」
あなたはいつからか詩人に憧れた
「すごいですね!詩検定一級を持ってるんですか ....
un pastiche par moi-même
風がはしゃいでいる
カーテンが踊っている
鏡は立って居眠りしている
コントラバスは酔いつぶれている
....
街路樹を触る
良い子だね
足跡が呼んでいる
前にも後ろにもある
どこまでもある
見つめているうちに
空をみたくなった
ああ季節とはなんだ
ただこんなこと ....
人と人とが交わし合う
ひかりに意味はなく
ただただやさしいいろどりとして
いたる所にひかりが飛び散る
人の生の波そのものである
ひかりはきしみ合いながら
漠然と昼と夜を受けて
疲れた ....
蜘蛛のように
歌うように
少ない匂いを手に取りながら
分けるゆくえを
春に放つ
色を触ったら
どこを見渡しても花火はないのに
花火になった
よく見たら花火ではなかった
だがそれを ....
淡く赤く
想い出のような
タイムの花が咲いた
妖精の足音が聞こえる
密やかに
ハープの音のように
私は眠れない星の子供
窓を少し空けたまま
香りをひとりじめして
夢の入り ....
土砂崩れで
バスは海まで流された
間もなく伊藤くんは帰幽して
妻の敦子さんのもとへ
別れと感謝を告げに行った
幾日過ぎただろう
敦子さんは会社を休み
季節を一つ越えていた
....
一文字違いで
その一文字も隣同士とくれば
切っても切れない関係であることは
容易に理解出来る
イランとウラン
あらん限りの勇気を振り絞って
「てめえら、ごたごたぬかすと
ウラン濃縮し ....
俺の背中の生霊は
眼が合ったと因縁をつけ
そのまま俺に取り憑いた
男子学生だ
あれから肩が重いし
口もちゃんと開かない
吐き気もする
妖怪高校の職員室
俺は怒鳴り込んだ
教師 ....
どうでもいいぢやないか
それは君のくちぐせであり
ぐうぜんにも 君からきいた
さいごのことばでもあつた
ひと月まへ 一緒に飲んで
別れ際にきいた いつものせりふだ
その前に何を ....
歩け、歩け、
ひたすら前へ
母語に吃り言葉を失い
途方に暮れて立ち尽くしながら
貴女の後ろ姿を不意に見い出し
ひたすら前へ
歩く、歩く
木霊し続ける声の方へ
今日も巨 ....
古いオルガン
ワックスも落ちて
粗い木目が木漏れ日に萌える
ながいあいだ
大勢の子供達を見送り
一緒に唄ってきた
オルガンの友達は
向こうのピアノの上の
メトロノーム
同じ時 ....
沈黙する宇宙
充血した虚無
断層に突き刺さった白骨
陽は傾き
死者達の視線が乱舞する
茜の空を
遠い目で見ている
俺の傷みは血を噴き
私は瓦礫のような絵を描いている、
白は絵の具で、絵の具の壁は白い、
あなたは私のガラスを叩くでしょう?
私は吹きっさらしの家です
夢ではなくて、死ではなくて、
現実にはふた通りあります、 ....
青だ
ぼくのこの
狂おしい恍惚の色は
まだ瑞々しい渇きに満ち満ちた
果てしない海の青だ
潮騒がする
耳をあてた胸の奥に
白い指のからみ合う
真昼の夢が薫り立つ
熱き血潮の
....
882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922
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