梅雨が明けないから釣り堀は流行らない。そういえば前にもこんなことがあったね、よくあそこで暇つぶしてるんだって言うのに一度たりとも誘われないまま傘だけコイにぶつけられて。居酒屋で二人でしっぽりってどうい ....
時は昭和三十三年のプロ野球
日本シリーズ
巨人に三連敗で
絶体絶命の西鉄ライオンズ
エース稲尾和久は残りの四試合全てに登板
チームを逆転優勝に導き
翌日の新聞には
「神様・仏様・稲尾様」 ....
ふと思い出すことがある
夕日に染まる街も
カモメと一緒に帰る船も
羽衣のようなひこうき雲も
誰もいなかった遥か昔
僕ら二人はあの
夏椿だったんだと
僕は枝 君は花
白く美し ....
貴様それでも日本人かっ!とか本気で怒鳴る酔っぱらいオヤジと一度でいいから会ってみたい。
ネット上にはいそうにないから街に出るしかなさそうだ。
絶滅したのかもな。
ツイートし ....
アブラムシの大発生に悩まされたのは去年のこと
気温の上昇とともに細菌のようにどこからともなく湧き出る奴らは先端近くの柔らかい茎や花芽や蕾に群がり食い荒らす
本で調べると薬剤を噴霧するよりもゴ ....
私とあなたがもし仮に恋愛をしたら、
どうなるだろう。
私はわがままで、あなたは寛容で、
未来は海のように目の前に拡がるのではないか。
私の肩の荷は降りて、
花はいよいよ輝いて
鳥は歌を歌う ....
光溢れる夏の午後
庭の梅の木が微かに揺れて
三才の僕はその瞬間、
〈じぶんは自分なのだ〉と不意に気付いた
なにものにも替えられ得ない〃この私という存在〃
その認識が僕を稲妻のように打ったのだ ....
フォークリフトは俺の愛馬だ
手綱はハンドル
レバー操作で
馬はいななく
俺の愛馬は屋内じゃなく
屋外だけを走る
馬なんだから当然か
雨が降っても
たとえ
槍が降っても
....
燃え出したアスファルトの中華鍋のカーブが
油まみれのぼくの額を照らしている
野菜炒めのように瞬時に仕上げられた身のこなしで
逃げるように潜った自動ドアのその先は市民プールだったというわけだ
....
ずれたのか意図的にずらしたのか
斜めにかぶった帽子の下のか
みの毛をかき上げてスカートのシワを伸ばす仕草が
まるで大人っぽい子供のように静かだ。
そろそろ日付が変わりそうな頃に
彼女はピアノ ....
詩の身体をよこたえて
幸福の点滴を始める
詩は安らかな顔のまま眠りに落ち
徐々に心臓が停止していく
追い打ちをかけるように
成熟の点滴を始め
社会の点滴を始め
現実の点滴を始める ....
他人からどう見られるか気にするなっていうんです
君の人生は君のものだと
ありのまま振舞えばよいと
勇気づけてくれるのです
しかし実際はありのまま振舞えば
禁猟区から出た獣のように
....
オアシスの波打ち際を飛び立ちはじめた鳥たち
が足取り軽やかにアジトにたどり着く頃に
コロニーにようやく帰ってくる。
砂漠でも冷たい風って吹く。
舞っていた一枚のかみっ切れが
降りてきたんです ....
オーヴァードーズで死んだ海外の俳優のニュースでワイドショーはもちきりだった、俺は適当に皮を剥いた林檎を丸一個たいらげて顔を洗った、そいつの映画は一本も観たことはないが名前くらいは知っていた、世界的 ....
抗っているのだ
耳障りなMP3と私の言葉の反射線に
何もない虚空に何も変わらない存在を
その夕暮れの赤を
あなたの口癖を
ブラックアウトするコックピットで燃え盛る大地を見た兵士は
さよ ....
イーゼルの端から
あなたの目を見つめる
すれ違いの視線が嬉しくて
わずか8号のキャンバスに
尽きることのない思いを重ねる
窓から入る黄昏の風に
鼓動が乗って赤く染まる
もう少しま ....
蝉の声が空に重なる
秋が匂う古い和紙を広げ
朝顔の種に夏の風を置く
水無月の氷室
竹林が滝のように響き
氷が波音から運ばれる
笹の葉を一枚
逢えないあなたを想い
墨を乗せて ....
小学校の教師になる男の多くは
変態に違いない
その考えはずっと変わらない
クソ生意気で煩いガキの面倒なんか
我が子であっても嫌なのに
他人の、しかも
頭悪くて汚ない子供なんか
死んで ....
和紙で創られた羽根
赤く染まって陽に透ける
白く染まって雲を漉く
紫色の花びらが木陰で
蝶のお昼寝の揺り籠になる
大きな羽根のその中で
小さな花が顔を出す
ただ好きですと
....
傷口に染みるレースのカーテン
それはもう記憶という結晶が
穴だらけだから光を通して
埋めようとする誰かの言葉で
白い沈黙に乗せた身体は
人間を忘れ自然を聞いた
鳴き声だけで寄り添っ ....
花のかたちをした夜が
水を駆けて駆けてゆく
水を求め うたう声もまた
駆けて駆けて駆け抜けてゆく
手のひらに降る灰
すぐ消える灰
鉄柵の内の空
すぐ消える空
....
甘い
パンのために踊り
朝がきて眠る
恋のためには
すべてがじゃまだね
うすむらさきの白い壁
鉄柱 花占いも
そう言ってわらうと
輪郭は迸り
崩れながら溶けあって
甘い ....
個体発生は系統発生をたどって
夕陽があらぬところに射し込むと
新しい何かが始まるかもしれない
かもしれないでは何も
何も解決できない
かもしれないけど
ほどけた点に射し込む
....
悲しい心の雨宿り
黄昏の半分は
行き場の無い気持ちの
荷物置き場
長い石段が
飽和状態まで濡れて
もう涙はたくさんと言う
眼の前で紫色した光が腰を下ろす
見上げると手が ....
蛍の光のなかに二人はもういないし 蛍もいない
きれいな緑色の軌跡ばかりが
薄いパネルの表面を掠めて 涼しげな川岸の草葉を揺らしている
蒸気と霧が立ち込める、ネオンと接合車が溢れかえる、四六時 ....
長い坂道を夕日が
駆け下りてくる
木々を草花を燃やしながら
並んで歩くあなたの目も
ルビーのように揺れている
強く光るのは涙のせいなの
それとも私が泣いてるから
赤い目で ....
ゆっくりと 歩くスピードを
なだらかにしていく
都合よく転校したきみが
どこかでごろごろしているのかな
大きなたんこぶの上を痛がりながら進んで
元気いっぱいの掛け声から逃げている
爽やかな ....
病院の午睡時は
誰も居なくなる
ただ人の気配だけ
影絵のように残り
自分が此処に居ることが
怖いくらいはっきりと浮き立つ
病院の午睡時は
誰も居なくなる
ただ人の気配だけ
影絵の ....
疲れても疲れても、上乗せされる日々に
欲しても欲しても、満たされない願望に
憤りを感じる。
重荷だ。毎日の全てが。
谷底だ。マンションの階段を掃除していた日々。
信じられないくらい可愛い子ど ....
朝飯は夕べのうちに炊きあげた
玄関の埃も掃きだした
窓も閉じた
出発する
雨の中を出発する
明日の晴れない空に向けて
訳も聞かずに怒鳴り散らした
昨日の後悔をポケットに ....
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