涙で
インクが
滲んでゆきます
もつれた線が
解けてゆきます
意味は半透明になり
影を失ってゆきます
それは
生まれたての
原始の海のようにも見え
ワタシの心を癒してく ....
彫師に言う
如来の背に似合うわ
金色の花が手渡され
じっと見つめる
ノミを持つ手に
妖精が祈りを込める
インドの夏はゆっくり終わる
薬師草はまだ咲いたばかり
遠い過去から白檀が ....
幽霊が棲む庭に咲き
星にハシゴを架ける
ここを昇って行きなさい
泡になって消えていく
石鹸の香りを残して
夏の終わりも知らずに
魚眼レンズの雨が降る
街中で恋人を探すように
....
平安の赤い月
占いの香り
暦奏の笛の音
恐れの答は天に任せ
密奏のしらべの夜
月食の通り過ぎし都
この国の季節は四つ
春夏秋冬
なんで春が一番なんだ
一月の時点で冬なんだから
冬春夏秋でいいんじゃないの
冬春夏秋
読みづらいな
話は飛ぶけど
地球に巨大な隕石近づいて ....
緑陰を行くとき
ざわめきになぶられ
足音すら影に吸い込まれ
山野の骸になり
骨を雨風に晒して
いつのまにか
苔生していく
もう
誰にも
祈られない
石仏の膝もとで
やがて ....
私の欲しい物はお金を差しだしても買えない
ならこの命を差し出せば手に入れられるだろうか
天国へのパスポートを2つ手に入れれば
もう寂しくはない
ドライヤーを
胸に当てて溶かす
チョコレートは
ひとかけらの夢だ
木琴みたいに
外れてく板が
魂と逃げて
迷子になると
甘さを忘れて
痛みを知った
目覚めた時には
ど ....
燃え盛る炎のなかで
薄れ行く記憶のなかで
ただ言葉だけが
虚しく放り出された
「俺の自称詩、パクりやがって・・・」
誰にも読まれずに
インターネットの片隅に
ひっそりと眠り続ける ....
一日の終わり、日めくりカレンダーをビリッと。
その紙を正方形に整えて、今日は今日の鶴を折る。
ビルとビルの間に
空が四角にくり貫かれている
青だ、真っ青な青
向かいの串カツ屋は今日も元気に営業している
提灯が赤、黄、赤、黄、
呼び込みの兄ちゃんが一人
風が吹いている、大きな ....
郵便受けの側に男が立っていた
誰なのか聞くと
まぼろしです、と言う
最近のまぼろしは良く出来たもんだ
そう感心しながら
差し出された朝刊の尋ね人欄を見る
今日も僕は
行方知れずら ....
世の中に無駄なものは
ひとつもないと賢者は言う
でも果たしてそうだろうか
ひとは自分を否定されたとき
言い訳をする
心配心に摩り替えて
媚びすら売る
それが自己肯定の逃げ口上であり
....
産まれてから死ぬまでの
間をいっしょうと言うらしい
死んでからふたたび産まれるまでの間を
何と呼べばいいだろう
棺のなかで花に埋もれながら
蓋に釘を打たれた日
そこから始まる舟の旅 ....
西の畑で長靴を履いて
耕運機を回した
小型の テーラーっていうやつだ
なんでテーラーなんていうのか
ぼくは知らない
テーラーで
でこぼこの畑を行き来した
空は丸く
雲を塗り伸ばし
....
しばらくして
テレビを消した
部屋を満たしていた効果音とボケとツッコミが
少し開けた窓から外に流れ出すと
誰かが掃除機をかけているのがわかる
静かで
ひとりだ
冷蔵庫には
鯵の南蛮 ....
天国がもしあるのなら
誰がその場所へ行けるのだろう
新しい歌を歌う
それはもうすでに何度か聞いた歌だ
でも新しい歌を歌う
繰り返しでもある 陳腐でもある
でもそれはすでに新しい歌だ
生き返り 死に返る 僕たちの人生の中
陳腐な歌こそ 新しい ....
ススキの群れ達
月に手を振って
もうすぐ帰るよ
もうじき行くよ
となりどうしで
指きりげんまん
光を集める尾花
野辺に聞こえる
朝露の落ちる音
....
古いブラインドは
折れて錆びて
破れた網戸が友達
治療はいらない
同じ痛みを知っているから
窓辺の縁側は温かいね
アムステルダムの妖精の想い出
第2話「レンブラントの家」
オイルの匂い
薄暗い灯り
キャンバスには
可愛い笑顔
神よまだです
まだ完成していません
愛する人を持って行かない ....
肌に触れる
優しい言葉たちが
毛穴を隠して
美しくなる
ふっくらとした
幸せな頬で
受け止める
思いが輝くから
魔法の粉を
指先で舐めて
どこにも
売っていない
新 ....
悪い事はしないように
生きて来たことを担保に
善い事を求めていた
見返りを期待した善意が
実は悪い事だなんて
だから善人は運が悪いのか
だったら悪い事して生きて
善い事を求めない ....
澄みきった青空のブルーシート。
傷ついた人々を雨ざらしから守って下さい。
生後半年になる甥っ子のそばには
何かに埋もれてしまいそうな影が
リビングの明かりに照らされて一つ。
久方ぶりに家族が集まる頃
元気な声を上げて布団を叩きながら
ぱたぱた。と
手足を動か ....
父の顔を知らないはずの甥っ子が
写真を眺めては「じーじ。」と言った。
いつもなでなでをしてもらったよ。と
幼くともはっきりとした言葉で。
懸命に訴えかける眼差しと
更に笑ったような父 ....
脳梗塞で麻痺をした身体を起して
杖をしっかりと握りつつ
弱った足腰で孫を出迎える父。
「よしくん。よしくん。」と急ぎ足になれば
転んで怪我をしないように。と
周りの皆が心配をする。
....
l'impromptu
ミシンが欲しい
手紙や日記を書くように
一点もののシャツを縫いたい
かつて、そして、今の連続に立ち込める不穏な心配とやらを拭う術を私は持ち合わせていない。だけど私は前へ進んでいくしかない。
私は一瞬一瞬の勝負に負けたのかもしれない。
一瞬一瞬の不穏な空気にやられた ....
きみは怒りの沸点が決して低くはないぼくを
一度といわず二度怒らせた
一度は済し崩し的にぼくはきみを許した
でもきみは一年の空白を超えて
謝罪すらない二度目の怒りを忘れたかのような
突然の ....
828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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