寒い冬は好き
街中のドアも窓もすべて
隙間風を少し残して
閉め切ってしまうから
私は誰にも気づかれず
妖精とピアノを弾く
漏れ溢れる音は庭に流れ
雪に小さな笑窪を残していく
妖精の ....
あなたが雪なら
離れていよう
解かしてしまうから
わたしが雪なら
そばにいたい
温もりで解けたいから
ふたりが雪なら
結びついて
ひとつの氷になりたい
雪が生まれたら ....
雪の下で眠る私を
氷を解かす光がくすぐる
春の時間を切り取り
ひとつまたひとつ
未来から運んで蕾をひらく
足もとに金色の指輪が咲く
見つけたら心につけて
冬の道を照らしてほしい
私 ....
玄関のドアを開けると雨の音がした
アスファルトは濡れていなかった
中空を見ても降っているものはない
存在しない雨を不思議がっていると
中空の先に樹木があり
葉が風に吹かれ擦れていて
この音 ....
握った拳で
光が折れる
俺はいま
障害物になって
誰の視線でも
強く感じる
なぁ信号機
お前の心は
矢印なんかじゃ
曲がりはしない
真っ直ぐに立って
その痛みだけを
....
イートインに
午後の光が射し込んで
私はのんびりコーヒーを啜っている
いつまでこうしていられるのだろうかと
心の隅では考えながら
それでも柔らかな陽射しに包まれて
身も心もうっとりと
今 ....
異国のバーバーで髭を剃ってもらうのが夢です。
僕の髭はその為に生まれ、その日を夢見て生え揃う。
雲梯にぶらさがっていた君たちは
いつか僕の子供でも仲間でも家族でさえも無くなって
風はきっと順番にあらたな名前を生み出してゆくのだろう
忘れ去られる恋人達にもせめて懐かしい墓碑銘を
そ ....
一
あなたに会ったよ
夕方 金曜
こみあう郊外のマーケット
カートを押して
気づけば
目の前にあなたがいた
みつめる僕の視線を
たくみに外す
あなたのしぐさに
胸をつか ....
{ルビその挑戦は魅力的に見える=ドアに貼り付いたタロットカードの"愚者"から良い匂いがしてくる}
{ルビそれは挑戦だからもちろん結果に成功と失敗がある=タロットには正位置と逆位置 ....
世界は自称詩人の屍に
支配されていた
自称詩人の屍に襲われ
噛まれた者は
自称詩人の屍にされてしまう
部屋の外には
多くの自称詩人の屍がぶらつき
自分たちの仲間に引き入れようと
虎 ....
知らない誰かが亡くなったから
道端の電柱に黒枠のお知らせが貼ってある
そんなの見るたびに
自分の生存をあらためて
認識するんだ
今日の朝食は何を食べたんだっけ
そんなの直ぐに思い出 ....
水に浮かぶから舟なのさ
砂に打ち上げられて
歳月に干からびてしまったら
死骸の類いになっちまうだろ
水に泳ぐから魚なのさ
網に引っかけられて
市場で売られたら
人の胃液で溶か ....
何も持たずに追いかける時は
早く会いたいと歌う声がする
アルペジオのような心の中で
間隔を空けた星のマフラーが
ハートの耳を弾いて光るよ
一等星から始まるフレーズ
繰り返すのは ....
「 ここはあたしたちがみつけたばしょだから
あんたどっかべつのところでおべんとうたべなさいよ 」
と云われた女の子は
ひとり 歩いて歩いて
森をぬけ
イ ....
寒そうにしているからってすぐに上着を貸そうとするのはちょっと待ってね、ほんとうに自分の上着を渡していいか、実はもう少し考えてほしい。貸してから、やっぱり返してなんて言えないよ。言えないでしょう、とても ....
何処か遠く彼方から
子供たちの声響く夕暮れに
缶カラからから転がっていく
風もない 人もいない のに
からからからから転がって
グシャリひしゃげる 銀の色
すると無数の記憶の断片が
....
木目に触れてつま弾いてみる
腕にしみる音だった
慌てて左手で右腕を抱く
静かに響きが止んでゆく
無粋ないたずらはするまい
たとえ喫茶店の壁が木目であっても
誰かがベースを弾くように
....
夕暮れの梢は影絵になって
本に綴じられるのを夢見つつ
黄昏に黄昏られなくなった
昭和の人を慰める
今朝は霧が深かったが
あの夜とちがって私を不安にさせない
霧の配慮だろうか
舐めて ....
誰の手が自分を温める?
日本の何処かに
そんなお方はいるやも知れぬが
ああせめてその日まで
俺は俺の情けない手で
俺自身を温める
俺は俺の最上の友達
人知れぬ
酸 ....
いっぽんのいとが
とぎれることなく
しずかにつづくことが
いとしいとおもうのです
あの時二人は
駅前の踏み切りで
電車が過ぎるのを待っていた
カンカンカンカンカンカン
「ねえ、遮断機の音って何拍子?」
「二拍子だろ」
「そうかなぁ、ねぇ、ワルツに聞こえない?」
....
生まれ落ちた階段
踊り場ぐらい作ってくれてたら
降りる向きを変えられたのに
天に昇るであろう階段
手すりを付けてくれてたら
観察しながら昇れるのに
いつも最後の一段で
転んで登れ ....
土塊を捏ねる
指先に気を集め
煮え立つ熱を流し込み
ゆっくりしっかり力入れ
未定形の粘る分厚い土塊を
思い思いのまま捏ねくり回す
捏ねくるうちに不思議なこと
土塊と指先は拮抗しながら ....
Zippoで点けてくれた誕生日ケーキの火。
あの人の寿命が縮むなか、僕は健やかに成長した。
想像してたより
酸っぱいね
これが恋ならば
甘ったるいものを好む君には
向いていないのかもしれない
ドキドキと心臓が鳴るたびに
運動嫌いの君を思い出す
同じような想いをしているんだろ ....
壊れかけた百葉箱の中で眠っている僕の架空の妹
いろいろと短いのに産まれた順番だけで長女になってしまった
安心して眠れるように頭を撫でてあげるけれど
架空だから忘れられていくものがある
....
八月の汽水域(即興ゴルコンダ作品2019年8月1日、お題はるるりらさん)
世界が暑すぎるので、汚穢と禁忌のルーツルーツについて、
フキタ先生のことを語りたい。
以前、一度、記載した記憶が ....
咲くだけしおれる花の芽をつんで
これが愛だったらいいのにねえ
わらう
バスの座席が暗く淀むから
歩いて帰る
ぬかるみを
(これが愛だったらいいのにねえ)
ぬかるみを歩いていく ....
愛と信頼のステッカー
はらせてくださいね
一途にあなたを思う私ですから
でもね
あなたと私の隙間から風が吹いたら
ステッカーはいとも簡単に剥がれ
涙に濡れたりしたら
破れてしまう ....
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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