よく晴れた日曜日
川沿いの心地良い風
秋の深まりが肌寒さを呼ぶ
ゆったりとした川の水
生活の影がゆらゆら映る
これからみんな
厚着になっていく
寒さが加速していく
川沿いは ....
まあつまらないことを書いたろう
いやつまらないことしか書かなかったろう
それが詩のほんしつだなあとおもう
そう思ったりしてしまう
これは弱い根拠のバランスボールです
詩人は自分の書い ....
時折
子供の頃
遊んだ
友人の家の匂いが脳をかすめる
絡めとられ
からめとられる
僕の過去
今
ちょっとだけ肺が痛い
祖母の嬉しそうな笑顔
友の楽しそうな笑い声
もう ....
黄白い
月が
宙に浮かんでいる
この夜は
脈動静か
気は鮮明
揺れる
草葉の陰に居て
絶えざる街のザワメキを
浴びて浴びる
わたくしが
視界に飛び込む
孤独の実を
むしゃむし ....
飲んだ帰りの電車で漏らしたあなたの吐息が
なにか面白いことないかなとなにげなく呟いたあなたの一言が
ポテトチップスの油にてかる唇から吐いたあなたのゲップが
細くたなびき空に登っていく ....
京都淀の3000mに
一筋の航跡雲が走るのを
僕たちは
不透明な世界のこちら側から
じっと見ている
一年が何もなく
このまま終わるなんて
信じない
僕たちのこの
不幸な時代に ....
果樹園農家の娘だった
浅黒くて小さくて
ボーイッシュな可愛い
女の子だった
お似合いのカップルだと
囃されてたけど
そんな学友の言葉を
満更でもなく
聞き流していたっけ
実際 ....
一か月の半分を歌い歩いていた頃
いつも隣町の移動から
「これはっ。」という飲食店に立ち寄り
コーヒーを注文したり
食事を頼んだりして様子を伺い
一息入れてから
「実は、今ツアー中なんですけ ....
窓越しに今日を見て
誰かが向こうへ手を振ると
明日へと勝手に動きはじめて
頼んでもいないのに席が空いて
ここがあなたの場所だと告げるから
大丈夫です。
みたいな曖昧な返事が降車駅まで必要に ....
朝が来なければいいのにと眠りにつく
そして明日がやってくる
その繰り返しが毎日で
苦悩と嘆きは取り除かれない
だけど生きていることは奇跡
もう立ち上がれないと思っても
天使が手を差し伸べる ....
多分 午睡の夢に
君がくれたセルロイドのホーリーカードが
舞い込んだんだ
だからほら
空は薄青いセルロイド
雲は白いセルロイド
どちらも淡く虹色を帯びて
道の両側に咲く
ピンク ....
音楽、
もう終わるんやって
太陽が窄んでる
トンビも
汚い郵便局の看板も
「雨」
雨が天からフロントガラスにおち
たらーっと下方へつたい
ワイパーの根方のへんで溜まり水と同化する
人間の一生もこんなものか
と思う
川へいくにも
川は銀河系のずっと先だ
....
歩くたび、古い廊下はミシミシと、僕に何かを伝えたがっている。
ミシガンだかミシシッピだか、おそらくアメリカに関する要件を。
背伸び
喫煙
…傷
時計はいつもいつまでも時間の言いなり
朝からテレビの音声と映像垂れ流しにさせて気にならないのは
その実時間が気になって仕方ないから
水道の垂れ流しは放っておかないし、血の吹き出しに至っては救 ....
それは崩落し、細かく砕けながら、薄暗い地面へと乱雑に堆積していく、激しく、そしてささやかに繰り返す破壊音は、インプロビゼイション・ジャズのような気まぐれな旋律を形作る、すべては破片、音を上げれば上 ....
豚や山羊の一匹一匹に名前があった頃の話/雌牛や蝶の一頭ずつにめいめい名前を付けていた時代の寓話/荒らしながら来る台風に/女の名前を付けて/面白がっていられた頃の/自慢話/すっこんでろよ/頭を低くしてろ ....
電気配線を組むのが
三十人中一番遅くて居残りを食らった
ひっきりなしの汗が
ポタポタと顎をつたう
電話がポケットでずっと振動していたが
全然それどころではない
ぼくの三分の一の時間 ....
柔らかく弾けるバレエの動線
立体であり流体である文脈
対になるのは
豊かなる肉体の賛美のダンス
どこかコミカルでシニカル
そしてプリミティブな表現
我らを穏やかに諭しはしない
むしろ ....
この祝詞をあげる
あなたにあげる
ひとすじの狼煙のようにあなたに上げる
呪いになろうとあなたに上げる
ひたむきにけなげにかれら
上がっていく
寂しかったでしょう
ほのおと分断されたよ ....
『山の人生』の出だしの
子殺しの炭焼きの話を聴きながら
カーブを曲がると
元セブンイレブンだった洗濯屋が
うんざりした顔を向ける
湿り気を帯びた大気を遮断して
空調は乾いた音を立てて ....
ぼくのお母さんははたらきものです
朝早くから夜おそくまではたらきます
お父さんはいません
お母さんの仕事はズボンに穴を開けることです
毎日たくさんのズボンに穴を開けるそうです
そのせいで ....
あたしは誰よりも美しい女
鏡を見る度に実感している
あたしは誰よりも美しい女なのに
記憶がとても曖昧
永遠に忘れたい事すら
思い出せなくなっている
あたしは誰よりも美しい女だか ....
「後れ毛だけを切ってください」と
うまく言えない夢ばかりみる
現実の理髪師さんは
分かったのか分からないのかわからないけど
とりあえずは後れ毛を整えてくれる
仕上がりはいつも
何かがち ....
ブランコ
鉄棒
すべり台
子供たち
夕陽
若年
子供の頃から夢だった
階段のある家に棲んでいる。
夫婦の寝室は二階にあった。
ある日
娘に言われた、
お父さんとお母さん夜中にウルサイよ
二人共いい年してさキモいよ
最初、何の事 ....
朝焼けの
山々の影絵が
くっきりと見える頃
太陽はいまだ
地平の彼方に隠れ
鳥たちのさえずりが
かすかに響く
煙突の煙は
遠く
垂直に立ち上り
夜の薄暗闇が ....
末娘が10歳の誕生日を迎えた日
7歳上の長女と妻は
誕生日のプレゼントを
用意していた
ボクはと言えば
実は
すっかり誕生日だったことを
忘れていたのだ
ねぇ。お父さんは
何 ....
今を静かさが支配している
静かさは私という不安を抱き留めている
私は静かさのなかで震えている
静かさのなかですべては始まるから
静かさがすべてを支配するから
私は吐きそうになりながら ....
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