匂うような瞳をしたその人は、
優しく手をひいて、
蒼穹へといざなう。
そこでは、
幼子たちが耳朶をゆらし、
風の音を聞いている。
憐憫でも無垢でもなく、
懶惰でも情熱でもなく、
....
おとこの乳首・露出を規制するらしい。
“鏡のまえでなにカップぐらいだろうか?”、
と横綱土俵入りの後で、
シャツをたくしあげてみる…
もしも今が縄文時代で
そろそろ
肉の備蓄が切れる頃なら
僕はこの冬空の下
ウサギ狩りに出かけるだろう
男女平等が正義というなら
男たちは子宝を守れ
女たちは木槍を握れ
生きるのが精一杯 ....
1
イカはものすごいとこまでも使えるらしい
と制服の君が言う
イカのものすごいとこというのが
君にとってどこまですごいことなのか
よくよく聞けば
イカの耳も使うとか
2
....
もう雪に飛び込むことはない
冷たくなるのを知っている上に
濡れたズボンの重さを引きずり
誰かが貫いた心臓みたいに
白い棺がひとつ並んでいた
とても寒いなと感じたけれど
眠るつもりじゃなかっ ....
青よりも青い空から
工事用クレーンで
吊り上げられた太陽は
高層ビル群にロゴマークの入った
希望をぶちまける
ぼくの視覚と触覚は
ガラスとコンクリートに跳ね返され
聴覚は重機械に押し ....
描くのは額縁があるからではないのだ
に切り取るもの
詩をなめる
同じく 虫眼鏡
色の点点 あ、あ
あたまの中では白い ....
ふるふる白い
雪を掬ってみると
こんなに軽かったけ
ぎゅぎゅっと丸めて
あの枝めがけて放ったら
その枝ぱしゃんと弾けたよと
誰かがいたようないつかの雪合戦
あちこちから飛んできそうな
....
冬の地平線で
オリーブをくわえる星
まだ長い旅の途中
羽根を広げて
ノアの船に帰っていく
バラの妖精に恋した
赤鬼の女の子
刺を角にして
ほらバラになったよ
妖精のような笑顔
今も残る鬼の俎に腰掛けて
思い出すのは
今はいない友達のこと
鬼の俎でお昼寝すれば
....
春の妖精という名の絵が一枚
フィリン・フラワー・シール
裏に書かれたのは名前だろうか
あつ子の母が今のあつ子と
同じ年のときに描いた絵
ビー玉をこぼしたような羽根
トンボ玉のイヤリ ....
辟易してしまう
理性的な頭でいられる
自分の中で粉散する
超越的態度を
現象に
そうだ
不条理な現象を
他人事として
語る自分のそれは
天才的正論を舌して
悦に没我して ....
街角に溶け込んだ
スーツを身に纏っている「クモ」
時折口角を上げ
会話をしながら下見をする
誰が持つ何を狙うか
手に入れたら何処で落ち合うか
見えない道を頭の中で繋げていく
壮大 ....
よる
あふれる
かなしい
ゆめだけ
あさ
こぼれる
かわいそう
ことばだけ
ひる
みちる
うれしい
ひかりだけ
もう長くない、もう息が続かない、間違えた星に生まれて私たち がんばってきたね もういい、もういいから、もういいからって首筋に両手をあてがいあって笑ってた 死ねない、死なない、そうさせてくれるのはこの季 ....
ぱちん
爪を切る時に
一瞬で飛び出して
翼を持っていたことに気づく
指を離れた途端に
合図が伝わらない部品になり
何も掴めなくなったな
誰も笑わなくなったな
僕達この先どこまで行こうか ....
人間の男と
人間の女が
つがいになってひとつに交わり
ひとつにかさなる
お互いが磁石になって引っ張りあう
お互いが持っている内面の正と負が
ひとつに組合わさって
お互いの体の凹と凸が ....
山のおくの
ごみ処理場のごみの山で
捨てられていた人形のぼくは
捨てられていた人形のきみの手をとって
月明かりのなかを
どこまでも歩いていく
夜が明けるまでに
....
好きな人はいません
その分
嫌いな人はいません
誰からも愛されてなどいません
その分
誰も愛してません
他人に関心ありません
その分
無視されてます
人の前では笑いま ....
散らかる部屋で
ぼくも散らかる物のなかに
転がって
散らかってみる
明るくて冷たい夜だ
今日は満月だ
見なくてもわかる
何も言わない
声が聞こえても
名前を呼ばれても
ぼく ....
お母さんは壊れています
だから私も壊れています
それは決して運命などではなく
残酷で客観的な確率の結果です
私が小さな赤ん坊だった頃から
お母さんは自分の狂気だけを愛した
空腹に泣き叫 ....
月光に暴かれた激情が
いって はて
そして 闇、闇、闇
十年も前
オレら
爆笑しながら
ドライバー一本 ....
おれの首筋に手を伸ばしてくるやつら
おれの息の根を止めようとしてんのさ
「そら、こちらの指はここにある、少し力を込めるだけでいい」
そんなふうに撫でてみせるんだ
おれは気付かないふりで、そ ....
大塚駅前で砂鉄を集め終えると
人がプールになる
僕がプールになる
水に、むしろ
水が、の話として
全体的に集まればプールだよ
小型犬もゆっくり通り過ぎて
日差しを浴びる
僕 ....
おんなを買い
そびれたので
雪のよる
ホワイトチョコを買い
洋酒のあてにする
背中が開くように
かって戸が開くと
いつもの
エタノールが
目に臭う
ひらかれたまま
あつめていく
私に似たものを
私に似ていないものを
あつめて
もやして
ふたたび解き放つ
それらはすべて
私ではないもの
それでいて
私をかたちづくるもの
すでに ....
愛があふれて、こわれてしまう
はずれたとびらのようになった
わたしからこぼれていく
あなたへ、あなたへ、
(あなたへ?)
そこは草原だった
ひからびた、(あるいは、みずみずしく満ち足り ....
ゆうぐれのへや
ぼくたちはどうしても
ふれあうことができずに
こころわかれて
はだかなのに
どこへゆきたいの
海、へ
そんなのはうそ
けっしてもどれない どこか
まどぎわ ....
向きを変え下り坂を上り
以前は胸が先に苦しくなって
、足もとを止めた
膝頭が訴えてくる。これは筋肉だ。
ふくらはぎの痛みなんて経験したこともない
体重が少し増えたからかな?
よほど運動 ....
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