涅槃にはいけない
ただの凡人だから
命は尽きるのであって
けして
滅びるんじゃないと思ってる
どんなに崇拝しても
神の側にはいけない
でも
死んだら
誰だって
仏にはな ....
苦い紙を足していく
食べ砕く
本当は駄目だって
みんながそういう話をしている
みんなは不特定多数
一様に挨拶をしていく
風に揺れて紙を足していく
誰も食べないし
砕かないし ....
雨がふりだして
猫の恋も濡れる
傘はどんどん縮んでしまう
ウイルスが街を呑み
国境はふかくなる
社会と生活をかける天秤の
0の目盛りはなくなって
僕たちは星をたべ
想い ....
かつて恋人同士だった人は、その人ともう二度とできない事柄を悔やむのだろうが、
片思いに過ぎない私は、その人と一度もできなかった事柄を頭で思い描いては悔やむのだ。
手に入れたものを失う辛さと、
一 ....
蜜蜂の羽音が聞こえる
春は童話の匂いがする
蕾がたっぷり用意され
妖精は祝辞を読み上げる
昨日には二度と出会えない
閉じた花の中に記憶され
真夜中に妖精が
生まれた星に清書する
風が水面に話しかける
月が揺れる池はミラーボールか
ミモザを沈めたカクテルのよう
美しい記 ....
新しい時間に乗って
やり直せばいい
花のように何度でも
いくつも咲いて見ればいい
上手に咲かせるまで
種をたくさん蒔いて毎晩祈った
いつか雪の精が言った
綺麗ね私の好きな色よと
....
きみの空にはいくつもの風がながれ
きみの血流はいくすじかの未来につながっている
まいにちは規定された演技をたずさえて
きみをいざなってゆくちょっとだけ厳しい教室
でもさ きみの壁をとり ....
できることはもう全部やった。
青春の夢をおいかけてきた。
今、何がなくてもふと安らぎがある。
安らぎを得るためには何も必要ではないんだね。
それがはっきりわかってしまった。
....
君も気付いているんだろう
とっくに一人で歩けることに
それでも一人は不安だから
誰かに寄りかかってたいだけ
人はそれを恋を呼んだり
愛と呼んだり依存と呼んだり
何か ....
全ての生命は最終的に緑になる
彼女はそれを信じているが
俺は確かめたらいけないと思う
そして最悪の見た目のパスタを
最高の笑顔で俺に差し出し
俺の瞳の中に毎回奇跡を起こそうとする
....
この前とは違う洋服を着て
褒められる自信なんてないけれど
そうやって知らないうちに増えた
物語を連れて行きたくて
斜め掛けの鞄で潰す胸が
メロンパンみたいに膨らみ
君が待ってると考えただけ ....
あってないようなものばかり抱えているんだ
スカスカなのにやたら重たくてさ
道の途中でぶん投げてしまいたくなる
けど責任持って最期まで抱えていくよ
唯一つの存在である私
唯 ....
このやるせない 怒りは
この俺の やるせない怒りは
伝染病の恐怖の 最中にあってさえ
執拗に くりかえされる
社会病理に向けられている
理性の壁など いとも単純に破壊し
ものやかねに群 ....
桜色の海におぼれるかのような夢をみた。
陽だまりの風呂敷に包まれているような
暖冬にこの恋は凍え死んだ。
さよならの導火線は
遠い夏の線香花火
最後の夏だったから
雪が溶けたら
春が来たら
そう言って
花咲爺さんに化けた妖精
笑って平気なふりしてた
手品師が出せるのは造花
二 ....
御簾をあげてください
ああ桃の花が咲いている
今日の風はいい匂い
あしたは庭に行けるかしら
もう一年も経ってしまった
夢を見た人形と遊ぶ夢を
紙雛が私を囲んで笑っていた
病は治るよと ....
群衆を華麗なステップでかき分け
黄昏に伝説の船を漕ぎ出すけれど
雨だれのように繰り返し砕けそう
見送る人波のなかで手を振るあなた
くちびるを必死に読む
息継ぎしながら
愛の言葉が箇条書 ....
今宵、記憶の薔薇は咲く
紅い 紅い あの花が
安易なラブソングは好まない
とか
僕はほざいていたけれど
所詮この世は男と女
今宵、記憶の薔薇が咲く
紅い 紅い あの花が ....
窓が割れたら恋になるよ
日陰の屋根の下で心残り
破片が寝転びチクリと刺さる
君を待つ時間がとても長くて
小指に結んだ約束の糸を
強く引けば切れるのが怖かった
僕の方角に東はないから
君が ....
私はずっと真似と振りを繰り返してきた
だから
私はずっと真似と振りを繰り返している
良い子供の真似を覚え
良い子供の振りをした
いつか
良い子供の真似に苦しみを感じ出すと
悪 ....
黄昏を乞う
夕餉の香りを乞う
あなたを乞う
うまくいかないことのほうが
詩になるじゃない
ぜんぶままならないまま
明日死ぬんだと知れば
職場のいやなやつだって
好きになれるし
世界一不幸なことが起きさえすれば
キリストにもなれる
....
寒い窓みとったら
みとったばかりの
顔が浮かんでくる
ずる ずる
おうどん おいしいかぁ
ええ音だして
ずる ずる
いわせやんなあかんで
泣く子も
泣き止み
すう すう
寝入 ....
星々が名のない列車に乗ってゆく
それを透明な駅員だけが見送る
自分たちがどこへゆくのかもわからないまま
疑問さえも忘れて
月明かりというのは
死んだ星の遺言だよ
誰かがそう言った
....
老いた肉食獣の牙のみで作られた寝台に横たわり、遺伝子に染みついた生温かい血の記憶を弄っていると、脳味噌の隙間に瞬く光がある、針の先のような小さなそれは、けれど深くまで届くような鋭さも感じさせる、俺 ....
{引用=
――水道橋、詩の練習
}
つないでゆく
これから来るもののために
それを信じて
つないでゆく
見極めて
(生き急ぐことなく)
後の者のために
いまこの場所に立 ....
灰色の空を見上げて
最後の雨を待ち続ける間に
きっとアタシたちの歴史は
色褪せてしまうのだろう
気がつけば無音になった街で
みんな空だけを見ている
鳥の瞳で、犬の瞳で、猫の瞳で、
( ....
{引用=梯子}
高く伸びた梯子があった
青い空の真中に突き刺さり梯子は行き止まる
果て無きものに接した微かな上澄み
触れていることすら定かでなはない
その虚無の厚みの中
降り立つ場所もなく ....
眼を凝らして見詰める
根なし草だと嘆く貴女
ゆーとぴあ・りりぃ
恋する乙女
類い稀生る切っ先を
振り回す戦士
鬼百合の馨しさと
鬼嫁の愛妻化を目指し
家を目指した
....
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