毛羽立つ絵筆の雑木林を越えて
厚い雲が寄せて来る
足元に暗い犬を従えて
息のしかたを忘れた大気
鳥たちは問う
振り返り母の顔を仰ぐ幼子のように
時の切れ端に速写した
景色に映り込む影 ....
空間に
手を差し出し
ゆっくりと
上下左右にかき混ぜる
けれども
存在する
はずのグラスは
見つからない
空間は
次第に重く澱んでいき
だらんと開いた手のひらに
粘りつくように ....
天井を避けるように
空へと向かっていく
いつもは言えなかった言葉が
しゃぼん玉の中にたくさんあって
もしも割れたら秘密じゃなくなる
人の涙は美しく見えるから
綺麗なものほど壊れやすくて
....
とんぼは人間におしえてもらわなくても
空のある上をしっているし
水面のある下をしっている
自然に
雲もしっている
上と下について
人間は なぜか
あれやこれやと言う
わたしは
空の下 ....
四角く区切られた部屋で
記憶は行き場を失くしている
忘れ去られてしまうまで
あれはただの壁の染み
やらかした後始末
拭いても取れなかったやつ
ほろんでしまった 全てが
忘れ去られ ....
着々と進んでいるようだな
はい閣下
鉄道、自動車、家電製品そしてインターネット
それがタイムマシンであると
彼らは解っているようですが
奴隷化計画ではと、感づいているのはごく一部です
....
君が好き
君が好き
繰り返しても
僕の心臓は
返ってこない
帰ってこない
君が好き
君が好き
僕の心臓は
走って行ったまま
私は今
ベッドの上で
小さな炎が──命の──
消えようとしているのを
ただ、茫然と
ただ、静かに
待っています
それでも、何度も
脳裏に過るのは
私がいなくなったら
私の国、私 ....
食事中に大きな日記
自分でノートに万年筆で日記を書く時代ではないから
ふふふ、ふとったよー、ふとっ、ふとっ、とつとつと
最初は気が付いていても楽な寝返りと受け身ばかりで
家族みんな ....
入院しているとき
面会に来てくれる人がいる
心も体も勢いよく元気になる
廊下のホスピタルアートが
患者も面会者も看護師も癒される
楽しく会話できれば
気分が前を向き
その日一日笑 ....
天国までは垂れ下がった縄の梯子を必死になってのぼらなくてはならないらしい
それに引き換え
地獄には急な滑り台を一気に滑りおちて行けるらしい
でも
その真偽はわからない
誰一人死後の世界か ....
大西洋からの乾いた風が走り去る
この国 この街に合う空気
穏やかに過ごす人々
砂漠に向かう街道を進み
砂の山がオレンジ色に染まる時
サハラから舞い上がる
....
滝のように流れては跳ね
山の風景を水墨画に変えて
髪飾りのように蝶がとまる
時の流れの先端に立って
綺麗だと思うだけで
心はつるに巻かれて
動けなくなる
風に揺れる藤の音が
あの日の雨 ....
ヒメウツギが
今日は結婚式よと言ってる
森のシャンデリアのように
白く明るく温かな
お祝いの言葉のように
ヒメウツギが
あなたの心を見ている
森の石鹸のように
白く光っている
く ....
シロツメクサが用意され
摘んでもいいよと言うけれど
花かんむりを作って
うつむく私に乗せてくれた
優しいあなたは
もう遠い記憶にだけ生きて
白い花は涙を吸った月のようで
果てしない花畑も ....
落ちた種子に涙を注ぎ込み、密やかに膝を折る。
ひびわれの地は 琴の穂か 柔らかな過去を歩ませり
歌声と揮う、ざまざまの、
綿毛の行く先を決めるものは誰とでもなく
崩れたこの牙城に選って入っ ....
毎日忙しく届けられる
空からのメール
水色のベールを抜けて
発信される特別の言葉たち
心を開放して
受容の気持ちで待っている
空の一部になれた時
それは
囁くように聴こえて ....
例え死んでいたとしても
時流はコロナにあるので
言い出しにくい
言い出せない
生きていると
得意満面に出て来ても
はあ?だから?
それどころじゃねえんだよ💢
って言われるから
....
宙に浮かぶ石畳を、
鼻歌交じりにスキップで駆ける
両手には、憧れだったパピヨンを抱えて
マーブル色の新しい靴からは真っ白な羽根
そうだ、今僕は、天空のスタジオに向かっているんだ
....
すれ違わない街角
風を切って歩く寂寥
大衆がいなければ
孤独も思うように味わえないと
身をもって知る4月下旬
ふいに出会っても
立ち話さえもそそくさと
アンドロイドよりも
....
流れていく
ゆらゆら揺れる電線の向こう
空の青を背景に
白雲、一つ
流れていく
ゆっくりたしかに
流れていく
そうして着実に時は過ぎ
百万年が過ぎていき
私も君も彼も彼女も
み ....
一石二丁目にも一石三丁目にも鳥は一羽もいやしない。
例えどこへ引っ越そうと、僕らは何も得られやしない。
逝川 私を流れる
{引用=※「 逝川(せいせん)」とは、
①流れ去る川の水。一度過ぎ去ったら再び戻らないもののたとえ。
②過ぎ去った時間のたとえ。
( ※の以上 ....
このわざわいは転じてくれないから福をなさない
だろう
因果の法則性に従って
埃のように降り積もったあしき原因の結果によって
もたらされた禍はいつになったら終息を向かえるかは不明だ
た ....
田畑さんにお昼を誘われたので、一緒に食べることになったのだけど。
「田畑さん、こっちって、屋上? 屋上は鍵しまってるよ?」
いいから、いいから、と手招きして、僕を呼ぶ。
田畑さんは、ちょっと鍵に ....
あそこで泣いているのはちいさな風の音
あそこで笑っているのもちいさな風の音
草の根分けて風の根わけてくる 風の音
風の子らが草の根わけていく
茂みや屋根を踏み鳴らしていく
坊やの手に ....
星になった子供たちが遊んでる
くるくるとメリーゴーランド
ぐるぐると綿アメ
ミラクルな夢が永遠に回る
宇宙の空にも夏が見える
土星は祭りの季節
タイツリソウの妖精も
自慢のイヤリングを並 ....
光が尾を引いて
路地裏を抜けていく
小さなほうき星
縦長の猫の瞳に
十字を切っていく
オダマキをくぐって
広い畑に飛んでゆく
運動会のように並ぶ
ねぎぼうずの花
陽に捧げるように
....
雨は花を綺麗にして
どんなドレスも似合うと言った
風が埃のない街を飛んでいく
水たまりの底に足跡残して
スズメが駆け落ちする
酸っぱいだけのレモネード
大人を気取って飲んでみる ....
私達は一秒一秒
時を紡いでいる
朝の蕾は
昼には花開き
夕にはしぼむ
日々の営みは淡々と
過ぎていくけれど
心は空を見て怯えるばかり
ヒリヒリとした空気に
後ずさりして前 ....
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