カミノクニの
アマノガワ近くに住む
神降ろしの婆が
病んでいるボクに
約束して
守らなかったことが
あるはずだ
八百万神に伺いを立て
深く頭を下げた後
おもむろに言った
....
詩人の友の「活動二十周年」を祝う
朗読会に出演した
それぞれの闇を越えて、再会を祝う
ステキな言葉の夜だった
トリの朗読をした彼が
最後の詩を読んだ後
客席の後ろにいたほろ酔 ....
はららとため息でるような
穏やかな陽射しの秋日に
光の道を歩んで行く
私の心は平安だ
長閑なお昼寝の時間帯
子供は遠い夢見のなか
微睡みうっとり揺蕩って
はららとため息でる ....
{引用={ルビ襷=たすき}がけの
やわらな眼にて
なぞるのは
左岸の萩
たれては
波にことごと
忘却をすて
むらさき色した瞑想
その
ひと房の
ながれては寄る
幻
にぎ ....
人は飛ぶ
知らない場所に行くみたいに
腐った夜空にね
通り魔が逮捕されても
充電残量を気にしてる
優しい人たちにハートをあげてください
うす氷
白鳥の軟着がぴりりと亀裂をなすと
冬の尺が
沢の身の丈となり
沢そのものの理性が一新する
松の常緑は
健全なストア派だ
たとえば平安
あぶれた
熊のような炭売りが
{ル ....
タバコに火をつけて
ふと思う
傍らに君がいれば
どんなにいいだろうと
イザベラは日本には来ない
仕事が素晴らしいそうだ
そのことを
精神の片一方で喜びながら
精神の片一方でどこか寂しい ....
とんでもない
好きでもない
嫌いでもない
一緒にいたい
わけでもない
もう別れたい
わけでもない
なんでもない
が積み重なり
どうでもない
ことで争って
一人でもない
....
ドーナツの穴は
食べると消えてしまうから
掴む場所を無くして
立ち往生する前に
指の中で回す時
微かな重さが視力を試し
未来の姿で会いに行ける
笑うことが
久し振りでも
甘くて頼りた ....
夕暮れと焼き芋
晩秋に映える
落ち葉をクシャクシャ踏みしめて
公園のベンチに座って
君は皮を残す派
食べちゃう派
赤い夕日に照らされて
片手に焼き芋持ったまま ....
どうにかして世界を変えたい
どうしても全世界を救いたい
それくらい人間でいたくない
恥ずかしくなどない
涙も忘れる
水音を聴いて
静かにそこを動かない
軽やかな沈黙とぎこちない目線
ど ....
冬の匂いがした
灯りの下の家族の匂いと雪になる前の雨に濡れた石の匂い
マフラーに染みついた乾いた体の匂い
生きるのは恥ずかしい事だと思っていた頃
全ての同い年から置き去りにされた様な焦りと孤独 ....
自転車を注文した
レイチェルより少し高いヤツにした
強化されたリム
両輪デュアル・サスペンションで
両輪ディスクブレーキの
21段変速の最新型だ
フレームは綺麗な塗装で
写真を見る限りで ....
田舎に行かなければ
干し柿を見かけない
最近は田舎でもあまり見かけない
味が濃くてすぐ飽きそうだけど
そんなことはなく美味しい
最近は食べていない
近所で作る人がいなくなった
急 ....
不眠で
記憶を整理できないと
死ぬことも
あるらしい
眠ったら
脳は
その日の記憶を
整理して
記憶の倉庫の
いろんな抽斗に
しまい込む
昨日
久しぶ ....
11月が特に美しいのは
ススキだ
ススキが
稲穂のように
黄金のように
風に頭を垂れていて
それが特に美しく
趣がある
殊に朝陽や夕陽に透かされて
ススキがさらさらと泣いて ....
病院に勤めて初めての忘年会の
早く終わった二次会で
ほろ酔い気分でヒロミが言った
このまんま帰るのは勿体ないから
どっか面白いトコに行こうぜ
まだ着こなせられない背広姿で
ネオン街 ....
私達の棲んでいるこの社会には
様々な原因で悩みを抱えている人達がいる
その苦悩を処理しきれないで
心を壊してしまう人達もいる
高度な文明社会に生まれてきたのに
未だにパソコン持ってな ....
俺こそは権力
俺は人に命令する
俺こそは権力
俺は人を指導する
俺こそは権力
俺は人に強制する
俺こそは権力
俺は人を誘導する
権力嫌いの君よ
俺を軽蔑するがいい
ただしこの先 ....
すっかり落ち込んじゃってさ
というか
その、落ち込むって
今更な感じが
すごくする
厳かな
って言葉つかいたい
ほぼ、じぶんの脳に
まい落ちない
狸
どろん
本を開く
....
彼は。男の子だった。
十一月も残り少ないある日。ペットショップの。ゲージの中で。
怠惰な昼寝をしていた。彼は。失業中の。Kと。眼が合った。彼
は。生後四ヶ月の。赤札の付いた売れ残りだった。が。ど ....
庭を走り回り
外をのぞく
悪い奴、近付くな
オレの領地に
生け垣から鼻だけだして
ワン!
ただ歩いている人に
それはないよ~
もう、責任感強いんだから
夕方に
スーパーマーケットの食品売り場で
品定めをしながら
行ったり来たりしていたら
中年女性から、突然
「イタヤ君⁉」と声を掛けられた
吃驚して声も出せず
マジマジと見詰めてる ....
この世でいちばん大きな生き物は何だとおもう?
暮れゆくばかりの秋の問いに
ふとたちどまる
たちどまることは忘れがちだけれど
時折とても大切だから
スニーカーの靴底で
きのこをおもう
....
Mrs.アリスの物干し竿には
百年前から着古したシャツやらが
のんきにぶらさがっている
逃げたカナリアの幸せを祈り
野良猫は低く鳩を狙う
公園はひっそりと
今日も来ない子どもを待ってい ....
冷気の下
殻を閉じたまま
ゆらりゆられてどこへ
重なり合う
箱の中
昨日までは
海の底
敵に襲われ
潮に流されても
二枚殻を武器にして
なかまと共に生きてきた
のに
今 ....
細胞壁には鍵を掛け
咎の走幅跳にいそいそと臨み
歳月に鞣された呼吸と律動をたくわえ
中空はどこまでもうつくしく
しかしその全貌は中空の為に須くそれを欠き
一朶の有意の他者を穹に飼い
詰まる ....
快楽
不安
幸福
凹
至福
鬱
……
決意
我慢
辛抱
禁断
再度…
死ぬのを怖がるのは生きているあかし
だけど生に執着するのは
ただ死を恐れるからだとばかりは
限らないと思います
永遠には眠れない
死ぬ事は
眠りの延長じゃないから
命の終わりは
....
寒い、銀河があるだろう?
私はそれに話しかけているんだよ
言葉は空から降ってくる
みんながそれを浴びるといい
私の顔がゆっくりと拡がっていく
薄い、銀河に
みんなが言葉を浴びるといい
....
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