満ち欠け体温に揺らぎ
天辺から途切れる
あなたのような電燈が
バチバチと胸を焦がし
歪んだ季節に羽化しました
明け方の冷たい窓外で
燐粉を降らせたデッサン
レースから特有の孤 ....
電車は学芸大学を過ぎた
橙の薄日が
くすくす眼を射り
わたしは数年前に
逃がしてしまった犬の事を
茫洋と考えていた
毛並みの良い犬だった
ルクスと云う名で呼んでいた
或る日鎖をひき ....
湖の絵葉書が届いた
大して親しくなかった人からだけれど
きれいなので捨てられない
大して親しくなかったけれど
その人を思い出す
お互い積極的に話しかけていれば
きっといい友達になれ ....
音を立てて
私の胸に突き刺さる一言
ほんの些細な会話の中の
何でもない事実
その音は誰にも聞こえない
聞こえなかっただろう
恋だと知らないうちに
失った
恋だと思わないうちに
消 ....
こんな日は誰が雲を運ぶのだろう
空を見る
雲が流れて
ゆっくりと ゆっくりと ゆっくりと
あの場所では風が吹いているのだろうか
決して手が届くわけもなく
....
秋風に震えながら帰路を辿る
色づいた葉々が擦れる音が流れ
それはあまりに儚く
夕焼けの明るさに目を閉じた
海道沿いのバス停は潮風が吹き
砂が波に運ばれる音が聴こえ
それはとても美しく
....
昨日は其処には無かった窓から
招待状を携えて
使者の使者があらわれた
見おろすと路上はすっかり{ルビ鈍色=にびいろ}の流動体と化していて
あちこちのビルの歪んだ非常階段に
コロスが点在してい ....
朱鷺色のお腹を見せて
金次郎が腹鼓を打っていて
鼓腹撃壌の由来を思い出す
金次郎の満足そうな
お腹の色は朱鷺色で
今にも欲ではち切れて
臓物汚物を噴き出して
雲の裳裾を紅くする
....
こがねに濡れた葉を踏みながら
いつしか夕餉の音も消えて
百年を灯している
弱く深深と佇む街灯を数えるように
ぽろぽろと
灰色の雨粒がレインコートを滑り落ちる
街外れ ....
急いで道を歩いていたら
目の前の車が{ルビ理由=わけ}もなく止まった
(下手な運転しているなぁ)
車と壁の狭い隙間をすり抜けると
痩せこけた若い母が{ルビ咳=せき}を繰り返しな ....
窓外に
枯れたまま{ルビ俯=うつむ}く
{ルビ向日葵=ひまわり}
夏
辺りを照らす
太陽の花に
振り返っていた人々
秋
{ルビ独=ひと}り汚れ身を{ルビ晒=さら}しな ....
見つめ合って私ではないのがあなたです
目が覚めて一言目
やさしく囁いた
青い夢を見ていた気がする
一日の始まりに飲む苦いコーヒーが
私の中に少しずつたまっていく
あなた ....
ごめんね
今まで気づかなかったよ
赤や黄色の季節の絵の具で
みずみずしく重ね塗りされた
桜の木の葉っぱの影に
ちいさなちいさな
土色の蕾
今までずっと蕾は ....
見上げた天井にそれは映る
夜更けに甘い罪を犯す僕には
その幻が見える
艶やかな黒い髪の毛が輝き
そしてまた好奇心に満ちた黒いつぶらな瞳
僕に向って微笑んでいる
きっと ....
優しさを忘れずに生きたいと思います
外国の悲運な事故で死んだ人を想うくらいの
日本人じゃなくて良かったとキャスターは言うけれど
そこの差がまだよく分かりません
温もりを忘れずに生きたいと思 ....
イチジクの実の組立てが壊れて
甘いものだけが畳の上にこぼれた
あえなく絶えた通信の最後に
とても明確なかたちでお別れを告げて
甘いものだけがどこまでも遠くへ転がり続けた
あたりいちめんの下り ....
今、この瞬間。
誰かと誰かが、触れ合ってる。
そして、誰かの涙か流れてく。
全ての人が、幸せになれないのかな。
血や、
涙や、
心が。
流れない幸せは、来ない ....
ヒダリノマナコ
ごろごろ
太鼓が鳴るよ
ごろごろ
猫が鳴るよ
のどが
渇くよ
水が
乾くよ
洗濯物が
ひらひら
飛んでゆくよ
蝶々が
空高く
....
革張りの
使い込んだ光沢の黒い
二人用のソファー
そこへ 少し沈み込んで
感動に不感症の夜
僕は孤独を気取って
コーヒーを片手に
読書をする
包み込まれた
文字はただゆらゆら ....
初めてきみの後ろを
歩いてみた
「ノ」
「ツ」
「ワ」
「心」
「ノ」
「又」
いっぱい『愛』の欠片
振りまいていたんだね
日が沈み
冷めてゆく土
その上を静かに
秋の夜を泳ぐ
月はすでに
凍てついたかのように
冷たい光を
地上へと降り注ぐ
その光を頼りに
秋の海は
風とともに波を起こす
....
お花が一本さいていました。
たねができて風にとばされて
お花が二本さいていました。
たねができて風にとばされて
お花が四本さいて ....
素直に話せば良かった…
逝く事を直視する覚悟がゆらゆらと揺れて、ぶるぶると震えて、怖かった。と。
死が怖かったのではなく、遺される。また。そんなとてつもない孤立感を抱え切れずに怖かったのだと。
....
★
指にニットを絡ませ凍える、ニッ血の滲む 冬と冬の行間に
祈-Lieb,円型の噴水が 引力への求愛を、踊る ドルチェの有る
凍る様な朝、蒼褪めた窓の外のパース( ....
大好きだ…
どんなに叫んだって
届くわけないのに
叫び続ける
大好きだ…
僕の耳にこだまする
君の言葉
あの頃と変わらない
イチョウの木の下で
ただ君の幸せを
....
君と同じ舞台にさえ立っていなかったことに気付いたのは
あまりにも時が経ってからだった。
関わることで得ようとした絆は
糸のような細いもので繋がるもろいもので
何の役割も果たすことができずに ....
弁当を開けると
中に海が広がっている
故郷の海のように
凪いできれいだった
朝の静かな台所で
君がどんなふうにこれを作ったのか
想像しようとしても
後姿しか目に浮かばない
帰れ ....
ことばは いつ わたしに
なるのか あやしいから
わたしのなかの あらゆる
わたしを あらいだして
いったんは ながしてしまう
ふと庭に
光漬けになって
泣きだしそうな 彼女
まぶしいのは
もうまくがやわらかいから
だったろうか
もし
私が死んでしまっても
このせかいが
ぷつんと
終わったりしま ....
放射冷却の夜に
ひとりでいると
冷えすぎて困る
ふたりでいると
せますぎて困る
自転車操業の夜
瓦版を刷ったと
横町のご隠居が
素っ頓狂な声を
壁に貼っている
下手な声も貼る
....
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