あの人が私に与えたものを思い出す
いま私が居られる唯一のこの場所で
ここにはひとりの静けさが満ちて
地下室のようにひんやりとして
ぬけがらばかりがころがっている
それ ....
なんだか、さ
時々ね、息苦しさ
感じるんだ
生きにくいのかな
何が悪かったかな
この手じゃ、上手く
人に触れられない
差し出した手が、すれ違って
この手は何のためにあるのか?
....
雨が来る
雨は去る
屋根は
何も変わらない
陰の色の石があり
誰も通らぬ道があり
雲がひとつもない日にも
常に陰のままでいる
花は風に放られて
雨をつかま ....
こゆく さなぎり
はたて まどのみ
ついた ひごそで
まりせ ふむりん
ささぐ こみちね
わたす はねつち
ほせよ ほうれぬ
かがり くみこい
子供の頃は
船乗りになりたかった
世界中を旅して
冒険して
人食い人種にとらわれて
奇跡の脱出
漂流して
魚食べて生きて
雨を集めて
さめを殺して
奇跡 ....
冬が来て りんごが
日毎に軽くなっていると わかった
まもなく分銅の 劣化がはじまり
正しい数値を知ることは 出来なくなったけれど
思いのほか冬が 長く続き
ある朝りんごは ついに消滅してい ....
*
ナナコ
ナナコ。
霙(みぞれ)落ちる午後の日差し。
聖霊の結晶のきらめき。
その名を呼べば、
ナナコの声、
遠い海の向こう側からやってくる。
ナナコ。
誰もが初めての ....
それはまるで真夜中の虹のようで
***
真夜中に意味も無く外を歩き回って
意味も無く兄弟が増えて行く
煙草は見る間に減って行き
気付けば財布も空になって
真っ暗な部屋の中か ....
服を脱ぎ捨てながら
でもそれはなんだか恥ずかしくて
でも人間だから好きあってるから
服を脱ぎすてながら走る
それはチューリップで
色とりどりのチューリップで
....
グーチョキパーの
あめんぼう
虹の彼方に飛んでゆく
とんでったのは
僕の意識と
見た目の悪さ
あめんぼう
あめんぼう
人を見つけに
雨上がり
グーチョキパーと
滑ってる
....
あいにくの空からきたよ
あいにくどこも擦りむいてない
いつもきれいにしてるから
ペロペロキャンディーもちゃんと手の中に
この空もまだうずまきの中に
でもこの道はもう夜だから
目が回 ....
23時05分
オルゴールが鳴る
毎日1分のずれもなく
オルゴールは彼を連れてくる
いつの間にか{ルビ耳触=みみざわ}りのよくなった声を
目を閉じて
感じながら
今日の出来事
明 ....
他のだれかに抱かれ
絹の光沢につつまれて蠢く
薔薇色に火照る肌に
美しく焼かれる、愛の痛み
「僕が別の彼女とキスしても怒らないだろ?
可哀想なあいつを慰めておやりよ、 ....
地図に従い ミツバチたちが 花の印の土地をめざす 数えきれないくらい 長い時間が費やされて 大事な役目が果たされた後に 帰ってきたものと 帰ってこないものとを足しても 足りないハチがいるとわかり 本当 ....
私の中にいる私は
だれ?
本に書かれてあることを
そのままに信じてしまう私が
私の中にいる
誰かがこうだよと言ったことを
そうだねと言ってしまう私が
私の中にいる
君はどう ....
紅く憂いに帯びた君
その紅い着物を丁寧に脱がせば
優しい色をした君の素肌を目にする
舐めればほんのり甘く
齧ればほんのりと苦く
双方の思いは交差したままに
僕らは時の流れに身を ....
{ルビ滑稽=こっけい}な自分の姿を{ルビ罵=ののし}られ
哀しい気持で歩いてた
帰って来た家の門の
足元に置かれた
ハロウィンの{ルビ南瓜=かぼちゃ}
皮をくりぬいて
....
牛乳おじさんは
ラジオ体操のおわった朝
ときおり
虫の幼虫や
脱皮したばかりの
透明な羽のせみ を
ぼくたちに 見せてくれた
ある朝
牛乳おじさんは
学校なんて つま ....
虹色をきみにこぼした
そらを云うほどは見上げてなかったから
ことばが透明な箱の中とうとつにうまれた
星色の媒介をみおくる
海をきくほどは閉ざしていなかったから
瓶をゆらした琥珀のひか ....
他の人がしたことで
{ルビ叱=しか}られて じっと 耐えていると
罪も無く十字架にかけられたあの人と
つながっている気がしてくる
身代わりとなった人の為に自らを{ルビ棄=す}て
....
何か書きたくなって ペンを持つとね
どうしても紙を見つめられなくなるの
君を捜してしまう
誰かを見つけたくて 写真達を見るとね
ひとりも探せなくなるの
君ばかり見つけてしまう ....
風が吹いている
この胸をくすぐるように
どこか時の蒼い彼方から
やわらかなレースのカーテンを抜けて
あなたは夜へと駆け出してゆく
裸のつま先で踊るピエレット
夜露に濡れた草を踏みしめて
....
ゆっくりと ゆっくりと
時の川は流れてゆく
すべてを押し流し
上流から下流へと
ゆっくり ゆっくり
焦ったって仕方ないのに ....
丸い時計の秒針が
一つ一つ時を刻んでゆく
どの一秒も同じ時間
その一秒の中に
綺麗に染まった紅葉の林を
歩いている自分がいる
その一秒の中に
ありがとう
と言われる自分がいる
....
雨が降つてゐる
黄色地にピンクの花を咲かせた
美しい傘の乙女が行く
雨は
乙女の傘に弾けるときだけ
ぱつと明るく輝く
車道を車がきて
泥水を撥ね上げる
乙女は傘を盾 ....
遠く、波の音が消えたあとの闇にまぎれて
ただ疲れて坐る君はまだ 何処か子供で
覚えたての歌を ぎこちなく口ずさんでは、
助手席で夢見るように話す「ポリアモリーの街
つまりファッションや音楽、イ ....
こたつでミカン
よりも
こたつでアイス
夏の夜
よりも
冬の朝
素敵な 素敵な
永いようで 短いようで
不思議な 不思議な
寒いようで 暖かいようで
キラキラとして ....
ふと目にとまる
コンビニ
「おでん始めました」
「肉まん始めました」
夕焼け空に浮かぶ
ボール
カキーン
「レフトいったぞー」
化粧を始めた
山々
そろそろ
マフラー必 ....
水面は、奪われた。
溺れることはない。
浮かび上がる魚の眼が空を泳ぐ。
それは白く、美しい、魚だった。
私の水面は、奪われた。
月はつぎはぎだらけ。
縫いつけられて笑ってる。
眠 ....
この窓を開けると
いつでも夕暮れを見ることができます
橙色の空と感傷的な思い出たち
それらのものがいつでも見ることができるのです
今真っ赤な夕日が
水平線の彼方に沈んで行きます
あれは ....
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