星が生まれる場所を探すのだといって
青白い廃墟に続く石畳をただひたすらに歩く男
腕時計は
旅の最初に外して地面に捨てたのだそうだ
夜空は既に
公転することを止めた無数の星
見知らぬ星座 ....
まだ"野ばらの蔓"通りがレンガ敷きでなく
拝石教徒が万象夢想論者より幅を利かせていた
そんなとても古い時代のお話
緑の丘のてっぺんの
ねじねじばなの塔の ....
部屋の隅で金を拾い
北海道にスキーにゆく
大きな河の中で溺れるのは
明日の昼過ぎだろう
隣の猫の眼にも百年前の
魚が泳いでいるのが見える
俺の顔も猫になって
阿武隈川の清流で溺れ ....
すれ違ったきりの 長針と短針
もう重なり合うことは 永久に無い
むしろ ベクトルを真逆に向けた
逃げるように 目をそらせば
何も言わずに ただ去り行く
....
さぁ、起きて
光の中へ出ておいで
怖がらずに眸を開けてみよう
きっと素晴らしい朝が迎えてくれるから
“オハヨウ”
僕は夜明けを待っていた
キミが目覚める前か ....
音を立てて 虹は崩れる
思い描いた理想が
心の弱さで 淡く消える
十字架は、貴方には背負えなかった
いつかの嘘は晒され
最後まで 隠せたなら、あるいは?
しかし背負えなかった十字架は
....
突如、ファンファーレが鳴り響き、
歳月という歳月が、打ちひしがれた記憶が
―それは最後の葉を落とした冬の木々のように
私を丸裸にした。とはいえ、船長に任命された私は
真っ黒なボロノジャケッ ....
長い夜の
ゆめとうつつの狭間で
わたしたちは
何度もたしかめあって
疲れはてて
耳元で
あなたの鼓動を聴いて
おなじ速さで脈打つ
長い夜だから
そんな時間がふえて
すこし持 ....
秋の胡蝶の薄い羽は
微かな風にうち震え
先細る命に慄く
あえかな花の行く末は
胸騒ぎがするから
花占いの刑に処す
命あるものの極みは地に堕ちて
蠢くものの餌食と ....
いのちを
てのひらのように合わせる
欠けたまま
あることの
ひとつの償いであるかのように
頭上の硬い岩は
いつでも欠けたままで
(満ちることなど
たまにしかない)
私たちの不安定な歩 ....
ほろほろほろほろ酔い気分
晴れ間ものぞいて
冬の余興
知らないうちに悪魔になっても
俺は俺の道を歩くだけ
若くないから
選択肢も狭いんだ
今日も機嫌よく
ほろ酔い気分 ....
「最初の女」に月経を教えた月の色
世界を力強く先導する太陽の色
再生を繰り返す銀杏の色
もう死ぬことのない天使たちの頭上の輪の色
永遠に枯れることのない希望を示す
緑の木と
主、キリス ....
目を閉じれば神が見える
目を開ければ貴方が見える
痛みに慣れるより 痛みを捨てるより
痛みの無い世界を獲得する事は難しい
その代償で彼等は 言葉を失くしてしまった
帰属する場を減らし ....
12時
「もうなにもかもやめる」といいながら
見た事の無い男がキッチンに立っていて
重力の関係かすこしだけ勃起していた
わたしはリビングでまるくなって泣きながら
声でいろいろな嘘 ....
だばだばし、ぐうたらし
ただたばくぁえてだばだばしたばし
あさがみえてばねころびぐうたら
しばれてみたればおはこさまっくら
だぶしぇえてかだしぇえて
きたばれさまくてかまくらほるさて
たま ....
それから(あ…
涙のさめる速度で
失ってゆく
かつての海原へ
予感する視線がまっすぐ立ち
地軸のかたむきをなぞる
そっと
(夢を瞳の奥に燃やしている核心
のぼっていった少しばかりの ....
あいたたたー。
机の角に足打つ僕。
ケタケタ笑う君が居る。
釣られて笑う僕は幸せ。
ほんとなのー。
うたぐる君と真顔の僕。
我慢出来ずに笑う僕。
怒って笑う君に幸 ....
死蛾導の暁空
黒い無類喋は散策し
六尺の刀ぐるぐる旋る
砂滑な傾斜
荒々しい枯れ草
裸足で赫い生命懺悔を残すも
背中を突く刺風
自我の導怨より
様々な光影の行方を
受けな ....
詩が書けない
だって部屋が寒すぎるんだ
とりあえずあっためよう
詩が書けない
どうもお腹が空きすぎてる
米一合ご飯炊こう
詩が書けない
なぜならキミが好きすぎる
明日はきっと電 ....
終わりにしよう あなたは言う
その瞬間 私の時は止まる
君に会えて良かった あなたは云う
去年交わした約束は 木の葉のように散り
私とあなたは別々の道を歩む
一人で ....
ジャスタ・モーメン
おまえのそれは珈琲なんかじゃない
幾分糖分多目カフェオーレ
カフェ・オ・レだって?何様だ
フェイクヨーロピァン・イン・短足エドウィン
タチの悪いパロディだ
アス ....
全くあなたの人脈の広さには感服いたしますよ。
この前はなんでしたっけ。超スーパーヒーローさんでしたっけ。
その方と飲んでてついつい朝帰りしてしまったんでしたよね。
どんな話題で盛り上 ....
はじけた言葉の勢いで
ドアを蹴って飛び出した
夕暮れの空に浮かぶ金星
ポケットには月の石
言わずにいさえすれば
通り過ぎた一日
ひと言 ....
ピンと張った和音は
見事にハーモナイズされて
青空に溶けていく
その時 私は
風よりも風
雲と一緒に
どこまで流れていこう
体にへばりついているんだ
まるでゲルのように
まるで泥のように
まるで怨念のように
まるで肉のように
水深何十メートルの所にいるような
そんな感覚だ
物凄いGなんだ!
俺にGが!
G ....
幸せさえも幸せな
僕等遠くへ跳びもせず
流れるように時は過ぎ
いつかどこかへ着きもせず
川の流れの濃淡も
幸せさえも幸せな
出会う事さえ幸せな
僕等明日から逃げもせず
振り返る ....
盲いたのは何故?
加速する世界に心忘れて
瞳の中心を無くした
ひとつ貫くことを怖れて
焦点を無くした
風が冷たいわ 冬がきたのね
ねぇ 寄り添っていい?
手がかじかむの 真っ赤になって
だから 手を繋いでいい?
吐く息が白いわ 体が冷えちゃう
ほら 早く抱きしめて?
なんで ....
都市の末梢神経が、ところどころでむきだしになっている。むきだしになった都市の末梢神経に眠らない水が引き寄せられる。四谷には初冬の冷たい雨が降り、お茶の水では真夏の日差しに輝く神田川の汚れた水面に鯉が ....
夕陽オレンジがとても綺麗だ
と
あなたもそう感じたのなら
わたしの手は握らなくていい
舌を出しながら遊んでればいい
まわる毒がまわったら倒れたらいい
これはきっと夕方のはざま
....
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