東京と東京のあいだは
やはり
びっしり東京だった
銀色のパチンコ玉で{ルビ犇=ひしめ}いていて
覗き込めば
ひとつ、ひとつ
{ルビ歪=ゆが}んだ顔を映す
冷たい光の反射に
じっと身 ....
朝のラッシュアワーを
すこし過ぎた
大阪の地下鉄の中
今日で12年が経ちました
車内アナウンスの声
12年前にぐらついた日本に
いなかったわたしは
地下鉄の揺れに身をまかせて
....
The Bout 愛浦憂馬作
批評子訳
Try it,
Never be defeated.
Struggle,
but unable to win.
....
遊び1
モンテカルロ(*1)はフェラーリの独壇場だった。
地中海の強烈な日差しと窮屈なコックピット(*2)でクラクラになりながら、それでも俺は容赦なくアクセルを踏み込む。唸りをあげるシケイ ....
本当は食欲なんかないの
コーヒーだって飲みたくない
だけどわたしは駅のカフェに行く
その駅のカフェは
窓がちょうど改札に面しているので
入り口から入ると
カフェの中だけは
駅の中になる
....
もう今さら
言いたいことなんてないし
毎日
言いたいことばかりで
今は
それと同じ
「冷たい」なんて
言われたことがなかった
反論も
きっとできる
でも 自信がないのは
....
あれが彼です
と称されるところのわたし
火を燃やしているわたしが
彼ですのね
夜明けとの距離を埋めている燃焼
遮断する
いくつかの人影
少し離れたところにテント
もっと離れたところに村 ....
その女は
爪先から
生れ落ちてきたので
岬の先端の
切り立った崖から
飛び降りるときも
やはり
爪先から
落ちていったそうです
波頭が捲れ上がるように
荒れた岩場に
打ちつけ ....
キミの左手をそっと握れば
伝わってくる微かな体温
すらりと細い指で
握り返して何も言わない
その紅い唇に何も宿っていないの、
そっと取り出したケースから
レースで包まれたプラチナの ....
お腹を痛めて7人目までは頑張った
8人目は途中で力尽きたから
中途半端な形で生まれた
8人目の小人さん
なんにもできないおばかさん
母さんが悪いわけじゃないのよ
何人も ....
寒波襲撃
そんなニュースを聞いた 真冬の14時
近くの雑木林に 散歩にいったときの できごとです
季節はずれに咲いてしまった
きいろい ぽぽんたと 出会いました
冬の装いにも 物おじしな ....
黒、白
別れ道
左、右
厄介だ、厄介
俺は一人
両方捕まえたい
そうだ
半分に裂いてしまえばいい
「女の人生はまるで芝居だ」と云ふ貴方
貴方は分かったように云ふけれど
命を賭けた名演技
貴方に添うその女も
科白をなぞっているだけよ
乞い買われて
飼いならすかのような錯覚 ....
ボクはキミを知らない
キミはボクを知らない
ボクはボクを知ってる
キミはキミを知ってる
もっと キミのことを教えて
ボクも ボクのことを教える
そして いつか
....
手すりのない屋上で
そらをとりもどす、わたしがいる
{ルビ限界線=ちへい}に浮かぶ遠い筋雲の
気流の音に耳をすます
わたしがいる
まぶたの裏に
真昼の月を新月と焼き付け
まぼろしではない ....
食べる物があり
寝る場所があり
やりたい事があり
少なくともそれに触れ
五体満足に風邪もひかず
昔より少し親密な友達と
少し酒を呑める
僕は自由になりたい
わがままだけれど
そう ....
ピッ。
目的地マデ300mデス。
冷タイ風バカリガ吹キスサブ、
冬ノ一本道ヲ抜ケルト
悲劇ハ喜劇ニ一掃サレルト
悲劇ノ劇中歌デ歌ワレテイマス。
ソノ旋律ハ伸ビ伸ビトシテ
左手スラ届カナカ ....
ポイントポイントポイント
ぽいんと ほい
拇印と拇印がぶつかって
猫の小判に笑われた
ポイントぽいんと切り損ね
列車の窓から舟が出るぞと
大声小父さん叫んでる
ポイントポ ....
僕が川面に平坦な表情を映して
都会の水は緑色してて、細かい、本当に細かい小さなたくさんの滓を
とかしこんで
混ぜ込んで
漂わせて
気が向いたらめちゃくちゃに掻き回している ....
農家のおばあさんが
小さな乳母車に載せているのは
自分の畑で育てた花だった
生まれながらにして背が低かった
歳をとり腰も曲がってしまった
それでも車いっぱいに花を積み込んで
今日も花を ....
君の横顔を覗いてみよう
少しうつむきがちなそのまつげに
触れてみよう
僕は
君のかけらを
毎日拾い集めては
つなぎ合わせて
毎晩君を想う
....
私でよければ
シンガポール
一緒に逃げましょう
1月31日
夕刻の成田発
2月1日
シンガポール深夜着
そしてそのまま身を売って
もうここには帰らない
いい ....
助けて、と
泣いてみた
助けて、だけが
泣いていた
春めくのか夜になると
もぞもぞするもの
それは
あなたのつくしんぼう
今夜のわたしは疲れているのに
背中を向けた闇のなかで
何かを探し蠢いている
辛抱が足らないから
貧乏なのか
芯棒 ....
小指が解ける時にこそ
毎回本当は幸せでいる
また同じ形に手を絡めることを
望んでいたわけではないのに
どちらから果たそう
この黙約は
愛すこととされることの価値を
い ....
真夜中の闇に 月は満ちて
恐怖に駆られる表情を
面白そうに眺めていた
不安 ....
ちっちゃいころ
わたしのおへやはピアノでいっぱい
わたしのすわるばしょなどなくて
ピアノばっかりおおきなおかお
ひきたいうたなどひとつもないのに
なのにいまは
わたしのこころはピア ....
ひろしくんは
歴史を調べました
広島に
大きなキノコが落ち
たくさんの命が奪われた事を
知りました
「僕のキノコは
命を作る事が
出来るのに…」
ひろしくんは
と ....
みぞれが止んで宵の大気は重かった
北風も止んで物音は死に絶えた
庭木も庭木で昼間のかげをたたみこんだ
どんな静寂の気高さが月には秘められ
....
都会の夕景を いちまい
めくると 古い柱時計が
ふるさとの 砂山に
なかば うずもれて
幸福な 夢をみていた
4892 4893 4894 4895 4896 4897 4898 4899 4900 4901 4902 4903 4904 4905 4906 4907 4908 4909 4910 4911 4912 4913 4914 4915 4916 4917 4918 4919 4920 4921 4922 4923 4924 4925 4926 4927 4928 4929 4930 4931 4932
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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