カップ酒飲みながら描かれる似顔絵を横目に
不忍池にむかって階段を下りる
もう大阪焼きの屋台はなくて
飛べなくなったオオワシが
うずくまって水面を見つめている
上野には
飛ぶ空がないのだ ....
1
いっせえので
声に出してみよう
わたしたちきっとふたごみたい
チェリー
ピーナッツ
ハッピーアイスクリーム
2
いけないな
わたしたちって
いけない ....
一日に
何度もキスをして
一日に
何度も見つめて
だけど
会えない日曜日は
あなたはどこかで
私の知らないあなたになって
きっと
街で偶然会っても ....
疑うことは疲れるけれど
だまされることもそれはそれで疲れる
スパイスなんて要らない
甘いだけでいい
こんな気持ちをかかえてうわっつらだけへらへら笑ってるくらいなら
砂糖菓子みたいにとろけ ....
俺らがヌード写真てやつを
舐めるように見てるからって
勘違いすんなよ
お前ら女だって男になってみれば分かる
ヌード写真を見たら
すげえ綺麗だよなあと言うだろう
なんだよこのなめらかな曲 ....
君の街へ白のバスに乗って病院へ行く
君の街は僕の乗っているバスを最後に閉じられる
僕は病状が悪化し 入院することに決まった
喫茶店のバイトも辞めた 詩を書くこともやめたのだ
氷でコー ....
金曜の晩に、朝まで飲み明かすつもりだった僕らは
早々に店を閉め出され、地下室から抜け出し
たどり着いたのは、地上百階に位置する深夜営業のレストラン。
「僕らがテーブルを囲んでいるのか、テーブル ....
雪が
裏側の碧を見せぬまま
降りつづけ
積もりつづけている
光が夜を昇る声
水を斜めに振り向かせる声
器のかたちに流れ去り
ふたたび器に満ちてゆく声
世界を ....
干支がちょうど二回りして
ああ、今年は当たり年やなあて思ってたときに
行ってもうたあんたのときとは違って
長生きした人の葬式は
ほんま呆れるくらい殺風景なもんやな
受付の人は寝 ....
もう見るのはやめよう
だって恋しちゃうから
できればそんなことはしたくない
あなたは今日も涼しい顔で
わたしに話しかけるけど
すでにもう十分に負けているわたしは
あなたに恋はしたくない ....
死ぬ夢を見るたびに
生きていることを味わう
生きるとは
そういうものだろうか?
笑うたびに
昨日の涙を思い出す
喜ぶとは
そういうものだろうか?
無駄のない生活をするために
....
「大人になればきっと、自動的になんでも出来るようになる!」
そんなふうに思って、俺は油断していた
犬や猫だって放っておけば
自動的に大人になれるしな
そんなのじょーしき!
なあ ....
星はやがて空を翔ける
私の願いを叶えるために
雲はやがて此処に帰る
私の居場所を作るために
太陽は私の傍を離れる
私を傷つけないように
月は私の闇を照らす
青 ....
春の花を見つける
忘れないように匂いを嗅ぐ
きっとこの花が
私を飾る
だから忘れないように
匂いを嗅ぐ
夏の果実をかじる
熟す時期を覚えておく
きっと私が最期に食す ....
そういや桜の季節ってあったな
夜中でもぼーっと光ってるあれ
雨だとざーっと流れるあれ
そういや
ずっと昔じいさんに会った
俺の墓標を見て桜の樹だと言いやがった
ちょっと待てじいさん ....
ぼくらは たがいに
記号に すぎないと
了解しあった あの場所で
待っています なんどでも
そこから はじめましょう
100年たったら、会いにいきます。
その日まで、私は、ここで生きて行きます。
私は、とても不器用な人間ですが
胸に、いつも問いかけ続けているのです。
まだ、私には ここで
でき ....
初めて 貴方の部屋に 入りました。
散らばったディスク
書きかけのレポート
主を待つぬいぐるみ
埃を被ったパソコン
友達から借りた漫画
私に返し忘れた小説
無 ....
午前九時の朝食 平日の明るさが眼に沁みる
窓の向こう 物憂げに歩く人々
働いてんだなあ
ホントにしたいことと重ねて 胡坐ばかりかいてる毎日
カタチないものに逃げて リアルを語 ....
君が 泣かないように
君が 悲しまないように
君が 苦しくないように
僕は 祈るだけ。
浮気 してもいいんだよ。
別れ 告げてもいいんだよ。
我慢 しなくていいよ。 ....
彼女は意識が戻らないままだった
季節は夏を通り越して秋になっていた
生き物達は冬に備えて食料を蓄え
永い眠りに就く準備をしていた
僕は情緒不安定になっていた
彼女のことを思う度
....
君がこの世に存在しなくなってから
今日で四年になります
朝、起きて 静かに静かに
君が横たわっていた場所にたたずんでみる
二月とは云え 雪も降る
あの日もとても寒かったよね
....
あいつは愛情を 貰える日
あの娘は勇気を 貰える日
いくら手を伸ばしても
空をつかむことはできない
いくら手を伸ばしても
水をつかむことはできない
あなたの描いた夢は
姿や形はないけれど
精一杯 手を伸ばせば
つかむことができ ....
家に帰ると門が壊れていた
妻と娘が代わりに立っていた
家の中では妻の短大時代の
同級生だった山本さんがいて
食事の準備をしていた
十年ぶりですね、と言って笑った
煮物の味見をしてあげた
....
花の咲いた間だけ
とげに触れぬように
見張るように透明なコップに
移し変えたのは
空の下で枯れるすべての事から
逃げるためですか
守るためですか
とげよりもおそろしい指で
....
何も見えなくていい
だから
闇色の世界に連れて行って
偽善で塗り固められた笑顔も
狂い咲く愛の花も
想いで出来た幻想も
全て壊れて
消えて
無くなってしまえばいい
貴女の ....
わたしの妻は冷たい。
どれぐらい冷たいのかというと、
夜中に妻の躯の冷たさで、
飛び起きてしまうほどである。
そんなとき妻に触れていたわたしの部分は、
軽い凍 ....
心の中で瞬く星
誰でも一つは持っている
晴れたり曇ったりで
見え隠れするけれど
ちゃんと心の中で煌いている
心が闇に包まれ不安になった時
その星は姿を現し仄かに光る
心の中の ....
鋭いペンでメモすることを怠けて
けさ見た夢を 忘れてしまった
と この 夢を忘れたことも 忘れてしまわないように
いま 空色のペンで書いている
けさ見た夢だけでなく もっと色々なことを忘れ ....
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