母が縄跳びをしている
僕はしゃがんで回数を数えている
あんなに腰が痛い
と言っていたのに
背筋をピンと伸ばして
交差跳び、綾跳び、二重跳び
次々ときれいに跳んでみせる
既に数は百回を超え ....
午後のゆるやかな
時間の流れる公園で
片隅のベンチにもたれつつ
ふと洩らしたため息が
小さな小さな船になり
砂場を蒼い海として
航海に出る
僕の小さな小さな船は
とても壊れやすくで ....
こころは、
ころころしたいので、
いまからころころしますけれども、
ここでころころしても、
いいですか。
ころろ、
ころがったりもするので、
ころころもあもあ ....
そこは悲しみが悲しみのまま降る場所だったので、
あたしはあたしでしかなかったので、
猫を連れてきたのは正解でした。
ぬるすぎる水の底
金魚たちは丸くなって溜息を吐いています。
落と ....
二人がかわした約束は
もう叶うことはないけれど
あの瞬間は私の中に
ずっとずっと残るだろう
思い出すと懐かしく
そして胸がしめつけられる
それでも私は忘れない
たったひとつ残された
....
夜永し丑三つ時
眠れぬ二つの陰は溶け込む
冷光 綺麗な{ルビ月華=げっか}
覆うは手暗がりの桃源
虚飾を代償に変えて
触れた稚拙な手々が
{ルビ變幻=へんげん}を残して{ ....
やな事があったなら
小鳥の囀りをBGMに
朝日の中で
おもいっきり背伸びしてごらん
ほら今日もまた世界が始まったよ
あなたの死ぬ時間をお教えしましょうか
隣のベンチに座った紳士が私にそう言った
面白そうですね
是非聞かせてください
紳士は答えた
それで
それは何年後の何日ですか
....
きょうは
キミのところまで滑り台で遊びにいく
キミの背中を抱きしめる定位置へ
テレビを見にいく
お笑い番組でボクは笑う
キミはスッポリと後ろへ身体をあずけてくる
甘いものを食べている ....
アフリカ象の象牙は高く売れるので墓荒らしが多い
今日も3人組の泥棒が象牙を探しにやってきた
この地域は干魃が多く雨がほとんど降らないので 動物達はおろか植物達にとって地獄のような場所である
....
生まれたとき僕らは一人残らず
目玉の手術を受ける
僕らは始め誰も目を持っていない
昔の人にはあったんだ
だけどそれは真実を見出すことさえできなかったから
そのうち退化しちまった
だ ....
友よ
僕は時に背を押されて歩くのに
疲れたよ
身軽になるために
大事なものまで捨てて
登った山の頂上にあったものは山
週に一度の休日と
未来の何かにだまされ続けてゆく
....
玄関のドアを開くと
家族の靴にまぎれ
老人の下駄がふたつ
並んでいた
あたりを照らす
天上の
{ルビ仄=ほの}かな灯り
下駄箱の上に
立て掛けられた
一枚の絵
....
ちゃりんちゃりんりん
とベルを鳴らしてカーチェイスの様に
すり抜けていく自転車に憧れて
朝のすっと染み込む
水の匂いの濃い晴れた日の風に流れて
ジャっとタイヤを鳴らして
僕にはそん ....
【くの一】と白抜きの文字。
淡い夜に晒された濃藍の暖簾をくぐると、
和服に割烹着の女主(あるじ)――
「アラ、いらっしゃい。今日はお独り?
まーね、萬寿。コップでちょうだい
....
でっちあげに気を取られてる隙を狙って
忍び込む幻Armyアジアンの片隅吹き荒れる
朝の来ない夜はない
声色使って耳打ちするけど
誰にでも察しはつくさ
そんな事じゃ騙されない
くすぶってる ....
最近はなにか
調子がいまひとつ
君との生活は
どうもすれ違いで
ろくに会話もしていない
たまの会話は
どうにもかみ合わず
ただ疲労がたまるばかり
疲れているのが
お互いに ....
なつかしい
あの日の朝を
少し色褪せた
あの日の朝を
キャンバスに
あざやかに
描いたような朝
鳥の声だけが
あの日のままの
朝
ベストオブにんじん色に選ばれた
「おめでとうございます!!!
あなたは、ベストオブにんじん色に選ばれました!!!」
という電話がかかってきたから間違いはない
学校へ行くと友達が
....
空気の悪戯
シートに押し付けられる
金属の塊がフワリ
風に乗る
地上の皆さん
さようなら
雲の皆さん
こんにちわ
雲の行列
散歩中
近くにいぢわる黒雲君
....
円筒世界の歩幅を
定礎を割る両足を
暫定する夜の橋梁を
凍える秒針を
いつぞや清澄な呼び声に
言葉たちは微笑を得る
ただ暖かな電球の列を
内側の丘陵から灯して
傘だけが望ましい
針葉 ....
なんだか好きだ
来た物を引き寄せる
嫌な事を考えなくてすむ
これを引いて
押して
何か考えれば手元が狂う
これを叩いて
あれの中に入れて
潰して
何か考えれば ....
私、
頑張ったよ。
出来る限り以上
カラダも
ココロも
悲鳴をあげはじめてきた。
でも、
誰かが待っててくれるから
私は負けない
絶対負けない
....
2003/07/11
充満する落下性の世界苦
水中にも拡散する軍事性
冠婚葬祭義理人情封建制
孤児ハッチの騙し絵隠匿
罵詈雑言の図案化俯瞰図
中性青年将校の ....
2003/07/09
郊外電車の
つりかわが
ぶらぶらと
ぶらさがる
丸い土俵に
手を下ろし
はっけよい
相撲力士は
たちあがる
よいと ....
上辺だけの友情が
まかり通るこの場所で
鼻歌を歌い続けている
窓は全開のまま
人々は未だに
その存在に気付かない
中庭では
明日を夢見るティーンエイジャーが
つまらな ....
ギューネス
目覚めさせて
ギューネス
辺り散らばった
スパンコールの海
黒を拒む輝きの洪水
晴れて現 ....
わたし、
あなたにひどいめにあわされたいよ。
たとえばわたしをだくならば
べっどではなくてつめたいゆかで。
たとえばきすをするならば
いきもできないくらいにはげしく。
やさしさより ....
夜のアゲハ蝶の行き先は、決まって、
忘れられた夢のなかの王国の紫色の書架がもえている、
焼却炉のなかを通る。
くぐりぬけて、
グローバル・スタンダードのみずが曳航する午後、
雨の遊園地で、イ ....
練馬の通り雨は計画的だ
スケジュールは1年先まで埋まっている
しかも事務所のつけたマネージャーがとても有能で
オンとオフのメリハリがきいたスケジューリングを組んで
練馬の通り雨がいつもフレ ....
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