くるくる踊る たんぽぽを踏まないように 最後の季節の
幼子の髪の
ように甘い香りの
ぴんと露を弾く若葉に覆われた丘で
怪人は身体をあたためる
とてもおいしい 熟れた潮風 ....
そして明け方にふり返らずひかりつづける
(たしかに螢のような光が成長を始めていた。)
薄い紫雲
日没からの柔らかい犀棄を終わらせ
降りそそぐ
たくさんのラインが印象をなぞる
....
春五月、気持ちの善い日曜日、
昼食を食べ終わったわたしは街のヨガ教室に行く。
ガムランが荘厳に鳴り響く部屋に、
クール・ビューティな痩身のヨガ講師が現れる。
ヨガ講師と共に正座して ....
花壇をはさんで
息子と向かいあう
これはなにかの
象徴だ、そうだろ
自生したハーブ
ちぎって嗅いで
花壇をはさんで
息子と向かいあう
これはなに ....
息を吸おう
心をこめて
息を味わう
空気の味を
僕は君
君は僕
僕は君に 溶ける
君は僕を 知る
君・色の息
僕・色の息
大地はとりもつ
僕と君の間柄
....
鼻を打つといつも、
はながみさまがやって来る。
はながみさまは襤褸を着て手に薄紙を持っていて、
薄紙はごわごわの紙とぬわぬわの紙のふたつで、
わたしは何故かいつ ....
塔を隠した樹々たちがくりかえす
やわらかな墜落
螺鈿の微笑を浮かべる遊星たちが
結晶状に形成する空間に
浮かべられた白い柱廊に
並べられたフラスコ
時折それらのいくつかの中で
新 ....
朝露が髪にあたり
それは次第に
大量の雨へと変わっていった
頬を伝って体中に
染み渡る
冷たい雨
歪んだ風景
溶けていくわたしは
雨、同化していく
高すぎて見えない
....
今日は霊園の日
場所を知らないので
どうやって歩くか知らないので
案内人に手をひいてもらって辿り着く
太陽のない青空の中に降りてみると
約束どおりあなたがいた
誓ったとおり覚えたままの ....
自身が創価へ入会したとき
先生はスピーチで幾度となく
このことに 触れられて
論陣を張られていた
聖教で何度この言葉を聞いた事か
その言葉が 今
この身に染み 魂に 響く
足元の ....
懸賞好きの母が
手当たり次第に応募している懸賞が当たった
「サナギ一年分」だそうだ
当然母は家族からさんざん責められた
そんなものが一年間も毎日送りつけられたらたまったものじゃない
特に ....
空き缶をひとつ捨てました
公園の植え込みに
ぬくもりもヒトカケラ
落ちていったことは
気づきませんでした
吸い殻をひとつ捨てました
歩道の端っこに
やさしさもヒトカケラ
落ちていっ ....
死骸とは気づいて
聞こえてくる声だ
見えるのではない
聞こえてくるのだ
死骸とは気づいて
聞こえてくる声だ
緑が柔らかな
春に近い
夏に通うころ
ぼくはきみの扉開く
遠い未来だけが
胸を泣かせる
時代めぐりの悲しみは
ありがとう、さようなら
輝いて戻ろうか ....
いつのまにか 僕は 悪いこと覚えてた
ひとりきりの 夜で 闇の中震えた
誰も助けてくれない 誰も癒やしてくれない
人間は誰しも 不完全な生き物
欠けている部品を隠しながら生きている ....
女と男の前から折りたたみが消えた
真っ赤っかよ!
あなたじゃあるまいし
どこへ消えちゃったの?
も〜う、バス来るバス来るぅ〜
探し物下手の男の前からはよく物が消える
少年の頭部
....
最初に雨を見たのは
ぼくだった
みんなはそのとき知らなかった
窓に一筋の雫が流れて
静かに落ちていったのを
最初に雨を見たのは
ぼくだった
風はなかったのかもしれない
ただ水が ....
ママはラブリーだった
口唇にぷっくりしたカラーを好んだ
ママはラブリーだった
おはようを言う時いたずらっ子になった
ママはラブリーだった
大の怖がりなのに薄目でみてた
ママはラブリーだった ....
限り無く空に近い
水平線の向こう側で
少女は空になる、と
言ったもんだから
僕は黙って
海に潜るしかなかった
何処までも青いだけ
そんなことはもう
ずっと前から知って ....
どんな装いだったか
お前が愛し盲目にまでさせた安定性が
うなだれて堕落した時に
絶望視した目の死体を
担架に載せて運んでいる様を
コメディにしようと必死で繕っていたっけ
お ....
初めて見た街の景色は。
広くて、広くて。
よそよそしくて。
僕の居る街とは。
空気が違ってた。
ちょっと、空を眺めて。
深呼吸してみようか。
味まで違った ....
あなた色に染まりすぎて
こわれそうだから
言おう 言おう 言わなくちゃ
今日 あなたに
いいに行く
だめだよ だめだよ ないちゃ だめ
よしよしのあとがあったかい ....
月光が街を包み込む夜に
猫は二足歩行で立ち上がり
夜露を手鏡にして
枯葉のコートをまといつつ
雲をカーテンとしながら
おめかしをする
月光が街を包み込む夜に
雀は口笛高くならしつつ
....
気がつくと、渚が後ろにあった
最近やけに足が濡れるなと思っていた矢先のことだった
後ろなど滅多に振り返らないから気がつかなかったけれど
ふと振り向くと、後ろに渚があった
ひたひたと波の打ち ....
朝をはじめる太陽は
まるで線香花火のようで
小さく揺れるその玉は
何も迷わず空へ空へ
紫に寝惚けた水平線を
橙に燃やしながら昇っていく
やがて膨らみ色を変え
放つ光は僕を丸ご ....
陽は分け隔て無く 西から照らす
何処でだって いつだって 輝き出すのだ
懐かしいだけの時代
ならば
性懲りもなく 繰り返されている
あの日
あの時
あの場所の
歴史の痛みが 沁 ....
風が酷く騒がしくて、
見透かされたことに震える迷い星みたいですね、
胸が。
さらさらと、
触れた場所からさらさらと透過しながら、
やさしい粒子になって
零れてゆくこと出来るでしょうか ....
てん てん てん
ポーツリポツリ
白い雨雲の下に 僕の影
ゆっくりと沁みていくのです
後が濡れていくのです
ふんわり風が 僕に言うのです
空から雫が零れ ....
今よりももっと
自分のこと好きになるには
今よりも少しだけ
あなたのこと好きになれば
いいのかな?
久しぶりの朝は雨の日で
このまま 布団の中うずくまって
雨の音を聴いていたいって 思った
ずっとずっとこのままで
雨になりたいって 思った
布団の中で ふと あのひとのことを考える
....
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