滅茶苦茶にされた背伸び
搾取されゆく背伸び
二つの背伸びの距離を
埋めようとする僕とあなた
そのとあなたのとを
掬い上げようとした光の差す隣人
帰ってきた隣人
かつて山羊だったか ....
陽がのぼることをよろこぶ彼女は
しろい色したどうぶつだ
泣き顔がうつくしいと言ったのは
まぎれもない事実だよ
うまれた瞬間そう感じたんだ
ほしがうまれてしんでゆく
ぼくが手をつなげない ....
自動車の後を
忘れ物が追いかけている
財布のようである
その財布の後を
忘れ物が追いかけている
免許証のようである
その免許証の後を
忘れ物が追いかけている
顔写真のようである
その ....
晴れた休日の朝
シャベルで宙を掻いている男に出会った
都会の街中の少しだけ開けた場所
陽光は空気中の水分に乱反射し
景色に鮮やかな色を落としていた
平和すぎる風景の中
男はシャ ....
採石場の跡地を
ヒトコブラクダが
ゆっくり歩く
かわいそうな気がして
コブをもうひとつ
描き足してあげた
耳の奥を覗くと
夜が明けるところだったので
慌てて帳面を閉じた
気持ちをなだめてくれる
けやきの葉たちの向こう側
濃い青の空に 夏雲が湧き上がって
激しい季節の予感
夏雲たちは 次々に力を秘めた体を起こし
見渡す限り 雲の輪に囲まれる
....
虹色の透明なシャボン玉は
きらきらと太陽を反射して
青空に高く高く舞いあがり
初夏の爽やかな風に乗って
一番高い杉の木の真上まで
わたしたちの祈りと願いを
....
夜霧は闇を深くする
鼓動が響く夜の公園で
あなたのその堅い腕が
私を優しく包んでしまった
(涙なんかで釣る気もないわ)
いつだって ただ残酷で
愉快で笑って
馬鹿げて ....
生きる確証も死ぬ確証もなく
ただ生きる虚無感がある
生きているだけで 幸せ は違うよ
幸せ=辛くない
とも言えない
辛いけど生きることが幸せな人は、
生きる喜びと希望を知り
....
世界が滅びて
ただ一輪そこにある花を
太陽が照らして
空虚な僕は問いかける
すべてが消えて自分だけが残り愛もない世界で
どうして君は咲いているのかと
花は答えた
あ ....
名古屋にも
とつぜんの雨とカミナリ
神戸のあなたからの
メールから数時間後のことだ
天気は西から来るのよね、
夕焼けきれけりゃ、あしたは晴れよね、
名古屋に ....
夜が深くなると
風が太くなっていた
六月の風が
ふたりの熱もさますだろう
月が外灯よりも白い
泣きたくなるときは
ひととうまくやれない
だから過剰になるよ ....
駅をでると
ファミマ、焼きとり屋、
造りかけの学校
郊外の夜道が垂れていた
オレンジの明かり
三叉路で道が狭くなると
懐かしい風がながれた
記憶の再現が ....
そっと でいいから
ふれてみたい
あなたの零した一雫のわけを
どこから
流れてきたのですか
まりのような白い雲が
あちこち 漂っている
空なのに
雪解け水が激しく流れる季節は
....
触れるかもしれません、私の心が欲しいのです、
心が小刻みに歩くのをもう一度静かに感じたくて、
ただ重なってみて下さい、
それゆえに、即興の声は、用意される度に、気が狂っていくのです、
....
今日はしとしとと雨なので
天体観測は中止
傘を持ってこなかったけど
濡れて帰るのは楽しい
口々に喋る子供たち
「ヘビ座、トカゲ座、ミドリガメ座・・・」
ほこりっぽかった道は
黒々 ....
その名が彷彿とさせたから
コンビニで買う「冷たい潮らあめん」
ふたを開け中身をとりだし麺のカバーを外し
透明な冷たいスープを染みこませる
めんま、海老、のりなど乗せて出来上がり
聴く ....
裏通りに 傾いた陽が落ちてくる頃
放課後の声たちが 初夏の帯にのって
泳いでくる
バギーの乗客を覗いて
ほんのり口角を上げて
青いランドセルが追い越してゆく
まだかたそうなランドセル
さ ....
外を眺めると
思っていたよりも強い雨
飛び出そうか
ジャンプして
駆け出そう
雨色の街
水たまりに
飛び込んで
キラキラと舞う雫たち
綺麗だと感じるのは
私だけ?
濡れた ....
越えると海があり
越えると
またひとつ海がある
踏みしめた
指のはざまの
銀色
風の来る方へ
息を吐き
風を吸い
空洞の
奥の奥を
のぞきこまれることに戸惑う
....
学ぶは人の長なれど
無知が由縁につけた傷
詫びぬは永久罪を成す
己が罪の深さ故
所在を違えて自らを
正と言わしめ黙殺す
愚かなり
繰り返す事
愚 ....
からからからから空回り
足元には注意して
いたずらな子悪魔は
いつも隙をねらってる
この想い
言葉に直せるほど
まだ消化できないよ
鮮やかなフレーズよ
舞い散 ....
下町に生まれてから
高いビルに憧れていた
今になって見上げる景色は
華やいでいるのに
どこか淋しい
地方に引っ越して
久しぶりに来た東京
夜の地下鉄の
長い階段をおりてゆく ....
私 という空白
社会から割り当てられた 場所
私を入れる入れ物を作るために
駆使される規則
私という空白を
なぜ埋めなければならないのか
他のすべての生き物のように
....
苦しいとき
なぜか
いつも上り坂があった
何でこんなときにと
腹が立ったけれど
その坂を上らなければ
目的の場所には行けないので
上るしかなかった
上り始めると
思っていたよりは ....
君の声は今も変わらず僕の心に残っている
か細い優しくそして甘い声だ
僕は君の顔に出逢った瞬間に心臓が止まるぐらい惹かれたのだけれど 時間が止まったと表現すればいいのだろうか さらにその魅力を ....
流れる雲 風の唸り
空が表情を変えるように
人の心も移りゆく
空をうつろに眺めた僕を
きみは困った顔で笑って
僕の袖を掴んだ
きみの好きな白いシャツ
....
薪を背負って仕事にはげみ
兄弟仲よく孝行つくす
このやろう
このやろう
俺だって二ノ宮金次郎だ
ああ、薪は
大自然だな
釜にたかれて腹をいやし
家をいぶして虫をふせぎ
灰とな ....
金魚すくいはいつも失敗する
お椀に入れるまでの間
金魚は溶けてすぐに消えてしまう
金魚すくい屋のおじさんに
コツを聞いても曖昧で
金魚と思うからいけない
としかおしえてくれなくて
金魚を ....
目を閉じた
これを暗いというのか
はたまた白いというのか
自分にはどちらでもいい
見えるのだ
この目が
何気なく人間は手を動かせられる
何気なく呼吸し
何 ....
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