わたし、はじまりの朝に
終わりに近付いていく
ほどけていく絡み合った
か細い線に引き込まれて
ほら、いまにも
ちぎれてしまいそう
小さな声で呟く
あなたの消えそうなか ....
恋なんて
割っていない割り箸で唇を挟むようなもの
誰かが言った
男が
いやいや、さようならのローキック
女はいつもそれなんだぜ、と言えば
女はそれに
違うわよ
こんにちは、というカ ....
昔はプリクラとれたのにね。
と笹川さんは私に聞こえそうで聞こえない声でつぶやいた。
300円
笹川さんはクラスメイトで、
髪が黒くてまっすぐだ。
私は左右きれいに左を向くのでそ ....
碧いカーテンの中に入って
僕を探して
とクスクス泳ぐ
すいみん
すいみん
君に許した部分が冷たくなる日が
ふと考える
非日常の中の非通知が鳴るみたいに
すいみん
くび ....
黴のしみたコンクリートに
一匹の幼虫があるいている
まっくろい珈琲をのみながら
ばら色に窪む皮膚を懐かしみ
ツバメ飛交う中学校の白壁に
うすっぺらい昆虫図鑑のいち頁を
こっそりそっとしみ付 ....
今
暑さの中で
何かが動いている
畑で汗を流す人
工事で体を動かす人
営業で外を歩く人
みんな汗をかいている
涼しい部屋にいる人も
心の中で汗が出る
この汗で
今日という一日が
....
永い永い道を 僕らは 歩いていく
息を合わせながら 急がずに 手をつなぎ
甘い甘い朝に 向かって 進んでいく
肩を並べながら 迷わずに 話しながら
魔法が解けることのない ....
午後からは雨なので、
傘を持っては出掛けなかった。
昼食の蕎麦屋から出ると、
案の定、
雨が降り出した。
色取り取りの傘が、
街に花開く。
わたしは蔓 ....
濡れた陽気に艶やかに貴方の瞳に映りつつ
心ほんのり暖かく 切ない位の色合いで
夕方佇み毎日待つの
私を見ては微笑んで大きく手を広げ
柔らかく撫でてくれる
寂しげな雨もそのときに
穏やかな冷 ....
一億年後も愛してるとかどうとか
気の長い話を歌いながら
家の前を中年の酔っぱらいが通っていった
一億年後のことなんてうまく想像出来ない僕は
一億年前のことを考えようとした
一億年前に ....
今すぐ君のおっぱいに抱かれて眠りたい
けど家に来る気が無いなら
俺ん家にチーズトースト喰いに来いよ
パンにマーガリンを塗って
君はトマトソース?それともアンチョビソース?
海苔の佃煮だってあ ....
#10
花
呼び鈴が鳴った。古アパートの玄関を振り返る。こちらが開けるのを待たずに硝子戸がガラガラと乱暴にひかれた。
女が一人立っていた。
赤子を背負っているようでねんねこ ....
#7
夏の雨
少年の夏の葉には蛇の抜け殻の模様がついている
彼があの時流した涙は自己嫌悪の錆びた味がした
乳飲み子の口に含んだ乳は黄色くて甘い 母からもらう最初の贅沢
一 ....
彼の内部には常に殺戮の音楽と黙考が混在していて、彼に付随する糸という概念はその両者の結合のための不可解な生命の観念であり、同時にそれまでの彼の存命の象徴であり、僕は彼の糸そのものとして、他者に与える恐 ....
揺りかごより這い出でて
私たちは人間になったのでしょう
帰る場所が存在るのなら
揺りかごに戻りたいなんて
おいそれとは言うべきではないわね
生きる事は楽ではなくてよ
死ぬ事より ....
“真”とは情に拘れば見えぬもの
“情”に捕らわれれば
“真”を否定し
“真”を求めれば
“情”を捨てる
詩作以外何もすることは無く その途中 突然夏が呼んでいるような気がして 外へ飛び出し 自転車へ飛び乗った
君が後ろに乗っているような気分で 長い長い上り坂を必死に漕いでいった
太陽はギラギラ ....
ラブソングが心の鏡の様に鳴ったのは
もうはるか彼方の事
方程式が志への道標の様に映ったのは
もうだいぶ遠退いた事
ヒーロー物が世の中の摂理の様に響いたのは
もういつの事だったか
....
(読み終えたあとに、眼を瞑り最初からもう一度
思い起こす風景を、思い出す風景と比較してみましょう)
蛙 蛙 蛙
響きわたる蛙の泣き声
(ゲロゲロ。グワグワグワグワグ ....
靴の中でいつまでも残る小石
無視できるほどのわずかな痛みなのだが
私は歩くのをためらった
寒い北風が忘れられない
ただコートを羽織ればいいだけなのだが
私はそれさえ考えら ....
(題を決めるのはあなた自身)
空に舞う幾千の星
掬った雨蛙は星を見ている
まるでそこに行きたがっているような、
つぶらな眼をして
でも蛙たちは気がついていない
蛙こそが星な ....
彼はどこにもいない
会社にだって
公園にだって
トイレにだって
いない
それなのに彼は
どこにもいない植物を
育てている
何のために使うのかは
わからない
でも ....
日本国民のみんな!
いやここはでっかく世界中のみんな!
俺のブログを読んでくれ!
そして現代詩フォーラムの俺のページも見てくれ!
俺が何故このインターネットに詩を載っけてるかわかるか?
俺は ....
夢は幼き微熱の蜃気楼
長い道のりを進む
薔薇色の生活に憧れて
独りきりの夜なべ
激動の時代を渡ることの難しさ
いずれ散っていく命
毎日色の違う日々を泳いで
喜怒哀楽の万華 ....
俺は空気だ 人間になりたいと思っている
俺は此処に居るのに此処に居ない
彼らは楽しそうに笑いあう
俺は空気だ 人間になりたいと思っている
彼らは楽しそうに笑いあう
彼らは当然の様に繋がり ....
壊れたら直せばいいが口癖の
父からもらったラジカセは壊れてばかりだった
とくにアンテナはしょっちゅう折れた
そのたびに父は何も言わず修理してくれた
まるでそれが生きている理由であるかのように
....
めまいがするほど
一度どくんと心臓が跳ねて
膝につけた頬が重い
何度迎えても夏は早足で
あの歌が流れるたび
いないあなたの口笛がついてくる
今も泣けない苦しさで
胸がやぶけそうな ....
五月に咲いた花が
未だに枯れずにいます
まるで今朝方咲いたばかりのように
生き生きとしています
あなたは反対に
日に日に腐っていく様で
そんな風に見えてしまう私は
少し ....
天盤はなだれ
黒雲はしける
なみなす水兵の錯乱
吹き揚がる蔵物と
ペットボトルの散乱
赤錆びた船の重低音
通り過ぎるたび軋む
わたしの
コールタールの夕暮れ
水際で黙 ....
はぐれものは
ふるさとの名前を知らない
だから、私の汗ばんだほほを
冷たい指でぬぐいながら
細く、薄青いくちびるで
君が名付ける、それが
たどり着きたいふるさと ....
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