お前は優しく俺を愛撫して癒してくれる
お前は優しく俺に微笑んで安らがせてくれる
狂った世界に長くいた
誰のための世界なのだろう
バラバラに散らばった心をかき集めて
....
恋をするなら
声の素敵な子猫を飼って
恋しい 恋しいと啼かせます
一人の夜に膝に抱いて
小さな頭をやさしく撫でて
恋をするなら
おろしたての靴を履き
街をあてもなく歩いてみます
....
夢が
ラーメンと絡み合い
汁を押しのけていた、朝の
ギターは脂の
のった昼下がりの
温度
、
散った
花は焼肉
ぼくと一緒に
焼きそばを探しに行きましょう
乙女の
腹の贅肉 ....
1
昔、三人の男が互いに足の速さを競っていた。最年長の男はやがて体力が落ちてきて競争から脱落した。だが彼は、健康のためにいつも歩き続けることを自分に課した。凡庸な男はやがて自分の才能に見限りをつ ....
薄明かるい、白んだ灰色のフロアで、その右手前にひとつの白い影がある。
まるで皿の上にくしゃりと放り出されたナプキンのように、その少女は打ち捨てられていた。
ひしゃげたように張り付きうつ伏せて、彼女 ....
一つの授業が終わるたびに
階段を下りて
一階にある自動販売機で
レモネードを飲んでいた
今日も暑い
昇降口の近くでは
これから体育の授業だろうか
下級生たちが体操服で
わいわいと騒いで ....
弾が来て
落ちると
なかは鳥だった
音だけの羽が
土になびく
三角の影が
道の端に
牙のようにつらなる
空をゆく弾が
曇に消える
遠い光が
聞こえ ....
* 雨 ぷらす 享楽
かたつむりを追いかけたり
水たまりに入ってみたり
いつもと違う遊びができる
この日を待ちわびていた
泥だらけのズボンの裾を誇らしげに
明日の約束を交わした
....
列車の出入り口近く
一番混みあうところ
何かの手違いか
小さな花が咲いてる
どんなに混んでも
人は花を踏まないようにしている
もしこれが花ではなく
うんこだったとしても
誰も踏まなかっ ....
埃をかぶった辞典を開いて
君に伝えたい言葉を探してみる
学のない頭から出てくる言葉は
ありふれた簡単な単語ばかり
君を勇気づける言葉を知らなくて
根拠も言えず「大丈夫」を繰り返す ....
自由な蝶が 僕を超えて行く
ああ また夏が来るんだ
羽ばたく速度を上げて 僕を超えて行く
ああ 切ない日々に 刹那の記憶を 忘れられない
鳥はいいなぁ
と誰かが言った
鳥のどこがどういいのか
説明こそしてくれなかったけど
何となく理解できた
きっと空を自由に飛びまわれるから
なんて単純な理由なんだろうけど
....
言い訳の言い訳なんて要らないんだ
?
せめて言い訳の代わりにため息吐いてるんだ
?
ゴジラが放射線を吐くみたいに
?
俺はため息を吐いてるんだ
?
右目の代わりなんて左目があれば充分な ....
きみはサンドイッチは一方向から食べるべきだと
散々ぼくを罵倒したあとにもう行かなきゃって朝
細かく眉間に皺を刻んでそれっきりでもうサンド
イッチのことはわすれてしまった。
冷凍庫を開け ....
てのひらから青い地球がころりとこぼれ落ち
てしまったので、園児たちはみなぽかんと口
をあけて空の穴を眺めていた。外は真昼で季
節外れの台風のように雨が降っている。降っ
ているのに空は晴れている ....
何故、私はそこに居ないのですか。
そんなに邪魔ですか。
私が出るとみんな居なくなって。
淋しさが広がります。
私の隠し切れない綻びに、
光がちらほら差し込まれます。
....
傷を摺り合わせて
流れるのは 血か 涙か
今はわからずとも
朝が来ればわかるでしょう
スーパーマーケットの野菜畑で
トンボを追いかけてたら
彼女は冷凍食品畑で
ピアノのお稽古をはじめた
お父さんは
と聞けば、お仕事
お母さんは
と聞いても、お仕事
おじいちゃん、おば ....
かばんを一つだけ持って
やって来たのはさびれたバー
水を恵んでもらおうと
立ち寄ってからもう7日
クツはとっくに無くなったし
国もとっくに無くなった
埃が風で集まるように
なぜかこの ....
貧しい村の群衆に紛れ
無数の足音の下を
痩せ細った
病める女が這っていた
低い目線の前に
舞う{ルビ砂埃=すなぼこり}の向こうで
長い間-----
女が ....
盲目の地平に金属の悲鳴を響かせ
悲しみの影に歩みを合わせ
荒い呼吸を繰り返す
やがて風の音が消え
その夜空に星が瞬くことはない
*
彼は夜の影
螺旋階段を登っていく
頂上の鉄柵 ....
夜の底に潜む
白く荒い呼吸の流れ
予想外の眩暈と共に
私は落ちていきます
停滞したまま動けない意識と
静けさの砂嵐の中で
乱れている小片の明り
それは現実でなく事実です
私は落ちて ....
二号館には
幽霊がいる
獅子のような尾を持った犬が
檻の内側から近づいてくる
わたしが檻の中にいるような
錯覚が怖くて目を逸らした
左側の夕焼けが
セキレイの羽音を焼き切る頃 ....
誰かに嫌われたり
誰かに騙されたり
誰かに愛されたり
全て混ぜ合わせると
結局は黒になる
人は生まれもって
白、白、白
(もしくは親色に少し)
そして
いろいろい ....
襲ってくる波はどうしてあたしを動かすのだろう
あたしはどうして動かされて うごくのだろう
何度繰り返してもけしてうまくならない
細いだけのものを紡ぎ
不器用に飾られた
花のネックレス
朽ちてしまうことも知らずに
綺麗さだけが
二人を青空にする
失ったものを見上げる
高層の谷間は
つくられた
あの娘の{ルビ ....
雨が長く続けばいいなと
あの方はいう
白くなりそこねたベンチに腰掛けて
誰かに話すふうに優しい目をしている
正面からサヨナラバスがクラクションを鳴らす
「行かなくても大丈夫ですか」と ....
セブンスターの香りが鼻を掠める
あぁ、あの人はきっと近くにいる
だからあたしは安心してここで悶えていていい
目隠しの奥でもう一度 ぎゅっと目を瞑る
肌の感覚 ....
朝起きたら
机の上にメガネが置いてあった
昨日の夜
酔って歩いていたら
呼び止められて
「透視メガネを買わないか」
と言われた
ほろ酔い気分だった自分は
うっかり買ってしまったのだ
....
わたしはじかんのはてから
ながれをぎゃくにたどって
ここまできました
あなたにかかわり
せかいのみらいをかえるため
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