若草色のかざぐるまに
しがみついていた、あの人が
夕風にさらわれて
私の中を流れてゆきます
水たまりの映す青さの
ほんとうを
確かめるまえに
軽々と飛び越えて
もう
行ってしまっ ....
エレベーターの扉が開く
すると真直ぐ伸びた一本の手が
容赦なくあなたを引きずりこむ
下降する
下降する
下降する
どうしてあなたは無抵抗なのですか
あなたは考えている
捕われの日々 ....
先生僕の足が遅いのは
決して母親のせいじゃありません
先生僕の為に学級会をひらいても
僕はうれしくありません
先生僕の机にこっそりと
三角定規はいりません
先生僕は決して
悲 ....
薔薇の刺は痛い
美しさに消える
透明な悪魔よ
いつもそうだった
冷えたビールの缶をちびちびしゃぶり
歯のあいだをぬって通るアルコールに
心任せ
自我に負け
全てが油絵の具で書かれた、繊細かつどろどろな
そんな毎日
ぼろぼろなスリ ....
すきなひとがいる
わたしを、すきでいてくれる
{引用=
恋愛は共同責任よ
うまくいくのも失敗するのも 二人の責任だわ
}
そのとおりだ
自分ひとりだけが、恋焦 ....
窓の外は
すいこまれそうな
青空
雲が 羽に変わり
私を 呼び寄せる
空から見上げる景色は
街では
車や 電車 人々が
テープの早送りのように
忙しそう
穏やかな ....
説明不足のままで
鳴らしていた警報は
今はもう、空気に溶けて
宇宙へと
気化している
いるから、
正論をぶつけたと思っている
君の思考から
ネジをほどよく外して
考えることを
....
?.
眠っているとき
おまえは
ほんとうだから
なあ
なんで
眠っているときだけ
おまえは
本当なのかな
?.
....
きみが泣くのを
眺めてた
街のネオンは夜の海
きみは寄せては去ってく波を眺めて
怖いと言って
泣いていた
抱きしめて
あげたくなかった
泣いてるきみに嫉妬した
ふたり ....
どこまでも澄んだ音色で
鳴る笛に
すすきの野を一陣なでてゆく風
音色に誘われて4匹の猫が
野のくらがりから
躍り出てきて
おおきなウッドベースの上に飛び乗る
4本の弦の上でのんびりと ....
あなたのもと
斥候に出す毛むくじゃら
抱きしめるのは
持ち帰らせたぬくもりを
少しでも感じてみたくて
それだけじゃ飽き足りず
薄暗い路地
後頭部に湿布をはりはり
不機嫌顔のペンギン ....
肩を痛めた母さんネズミ
肩をトントンしてやると
子ネズミたちが感謝して
回線の中をちょろちょろと
回って僕のメッセージ
あなたの元へ届けてくれる
誰が決めるのか
人生には勝ち組と負け組と
そんなのがあるらしい
私は何組でもいいけど
可愛いおばあちゃんになれたら
それがなによりだなぁって
そう思う今日この頃 ....
少年になれない大人の男が、
少年の青さを嘲笑う、
本当は俺も少年になりたいなと、
家から職場までの歩数はいつも同じで、
今日も新聞を読んだだけだ、
果たして私 ....
遠い山の向こうへと繋がる
七色の虹を
その人は背負っていた
重くないですか
と尋ねると
その人はすこし微笑んでから
紺色を私に手渡し
故郷の虹は六色でした
と寂しそうに呟いた
空 ....
なかないで
よくあることよ
これが あめ なら
そのうち やむわ
わたしは とてもひどいのよ
あたまのなかでなら いくらでもやさしくできるの
どこのだれかもわからないあなたに
あ ....
君はひとりじゃないよ そう言ったあなたは 笑顔でわたしをひとりにしてしまうんだよ
ありがとう 無理やり喉元から 無機質な記号を吐き出した
それじゃあまたね 大きく手を振られ 小さく頷いた
....
今日 気持ちに
濁点がつきました
かぞくも
こいびとも
ともだちも
じぶんも
爆発しそうなかんじょうが
生々しい濁点の上の
現実的な関係です
....
さかさまな夕日のあと
街は裏切るように
鏡の星を浮かべている
環境破壊のキーワードは
未来
それをみんなのまえで
話せる時代だから
悲しみは暇つぶし
焼 ....
庭に張り出した大きな出窓のある亡父の書斎にて
毬栗頭の英次は家政婦の運んだカルピスを飲み、
しかし人類の英知はやがて信仰との境をなくすという
それじゃあ、近代主義者の信じるまっとうな学問はど ....
田舎のバス停は屋根があって、周りには木しかない。
屋根の下には、やっぱり木のベンチあって、
もう虫がぶんぶんしている。
だけど、真夏の蒸し暑い日でも、
空気はひんやりしているから
たとえバス ....
電車の中で 講義室で
君たちはいつも見つめあっている
すまし顔
真顔
ときには変顔で
にらめっこ
かがみよかがみ
おまえなぜ 女たちの視線を独り占めする
いくら耳をすませても
....
友と楽しい一日を過ごし
反対ホームの車窓の内から
ぼくに手を振る面々を
列車が運び去った後
静まり返った
無人のホームの端に立つ
胸のすき間に
沁みる夜風が吹き抜け ....
父が死んだ時 私は少しも悲しまなかった それは幼児期に虐待を受けた
トラウマなのかもしれない
私にとって 父親とは 暴力以外で存在
できなかった
全身が暴力の固まりで
それは私に ....
直角先生の背中を覚えてる
今にも椅子に座りそうな歩き方をしてた
私が勝手に背伸びしたのだよ
行動の意味もわからず
その後を追った
つもりだった
カクカク キカキカ
物静かな先 ....
夜遅く
仕事から帰ると
ぴたりと止まった扇風機が
床に影を伸ばし
{ルビ俯=うつむ}いていた
また会えるからサヨナラと言った
雪の残る街
いつものように見送った僕を
覚えていますか
赤いコートの裾が揺れ
乾いた風に凛と鳴る
あしたもきっと青空だね
ふたり信じていた
....
となりのひとの
新聞
読むでもなく眺めていたら
恋のひやりはっと
って記事が
目に飛び込んできた
おとこのひとに見つめられ
ひやっとして
揺れるわたしに
はっとするってことかな
....
ねぇ
外は
強い雨だね
ねぇ
うちのなかは
こんなにも
静かなのに
なんで
....
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