遮るもののない青空に憧れ
背中に砂のあたたかさを感じて
自由を願った幼さは
いて良い場所が欲しかっただけなんだと
膝を抱えて震えながら泣いた
夜の暗闇を望んで
ディスプレイの光の中で生 ....
言葉の幾つかは
風船みたいに
君を誘って
心の真ん中を
知りたくなる
一度も
それらしいこと
言わなかった癖に
二度も
笑ってくれたから
しまう場所がない
幸せの表現 ....
暖かい夢の降る町に乾いた音を立てて割れた、
テクニウム、テ・ファーリキ、
気圏、の、隅、で、金属弦、ゕ゛、
生を享くるそのまえを繋ぎ、
少乙、は、宇宙精神の記号を、
屈んだ、右手に、昏さ ....
ちょっとはにかむおじいさん
となりに笑顔のおばあさん
上を見つめてすまし顔はお姉さん
二日酔いですか
苦虫顔はお父さん
横ではさらにニガニガ顔のお母さん ....
だからあれだけ言ってはならないと!
申したではありませんか。
コンプレックスが強いのです、あそこの犬たちは。
歯を向きだしてる子だけじゃありません。
いつもうなだれてる子、震えて上目づかい ....
心があるという事それ自体に心動かされる時がある。
あの時抱いた感情を、いつか言葉にできたら良いなと思う。
たとえその言葉が人に伝わらなくても、
僕しかいない場所に言葉がいた。
坂の下は霊魂の溜まり場だった
降りて行ってはいけない と彼女に言われた
彼女は二十四の歳に逝ったままの若さだった
その代わりにある家を見て欲しいと言う
二階に八畳間が二つ在るのだけれど何か ....
夢よ幻よ。やるせなくそして ひざまずく。
たとえば湿ったアスファルトと、推し量る
仄かに照り返すみちびき。
一本の露地のその先へ、
うちとどめなければならない
なにかを
砂 ....
君のことは分かるけど
あの絵だけは受け入れない
君が描いた絵じゃないけど
申し訳ない
好むことができないんだ
なんか分かるところが
君に似てる絵
君が描いた絵じゃないのに
そうしてきっ ....
お互いにコーヒーが好き
出逢いはよく行く喫茶店
コーヒーの話題で盛り上がる
コーヒーが繋げた恋愛
何処となく身体に染みついている
使う豆によって
味や深みが変わる
切ない気持 ....
突然、居なくなった君に
会いたくても
切符の買い方が分からない
どうしよう
この世界にまだ
君の寝息を授かる人がいて
くすぐったい夢を見る
枕ばかり高くなって
時間をやり過ごす ....
百万円と一万円とでは
重さが違う
札束にすれば明らかだけど
物理的な重さもあるが
心の中にも重さがある
何かを買う時なんかは
一万円なら気軽に選んでも
百万円となると
....
中3が中3
刺し殺したぐらいで
騒ぐんじゃないよ
小6女児が小6女児の首を
カッターで切り裂いたことが
あったじゃないか
珍しくも何ともないんだよ
97歳が25歳を滅多刺しにした
....
さよならから
気取ったドレスを脱がして
裸になった言葉は
背中の奥で暴れたまま
きっと孫の手じゃなきゃ
届かないだろう
住み着いて
名前を付けて
繰り返す
君の声
今
....
私だけを見て、わたしだけが知っている、
この夜は永遠に はるかかなた
まるで幻覚を具現化したみたいね
ただ原色が波打つばかりの
クレヨンをまき散ら化したような、
ポップアートな臨場感 ....
{引用=施錠された雨へたどりつくまでの足取り
輝ける虚空の大理石に屈服してしまうわたしの
一歩を待つ夜を繋いだ
白熱灯が光る死角を擦れ
吸った湿気る一悶着に
手を打ち鳴 ....
さざめいている
ざわめいている
私の頭のなかで
何かが、
輝いている
熱している
巨大な明滅凝視、、
近づいている
波打っている
揺れ廻り 廻り揺れ
予測 ....
ひとりに馴れたかなしみが
探してしまう、指さきの記憶
だれも来ないこと分かっているのに
探してしまう、川のむこうに
愛すべき人がいて
果たさなければならない約束もある
それなのにどうし ....
わたしの頭蓋をひとつ
ぽこんと叩いてごらんなさい。
きっとがらんがらん、と鳴るでしょう。
空洞なのです。
人が言葉で象られるなら
この空洞にひゅうと風の吹き込んで
体内で反響するものを ....
硝子窓のうちそとに
冬が満ちてゆくとき
光の言葉と影の言葉が
中空であえかにもつれあう
ひとまず
とりあえず
手遅れ
朽ちる
終わる
このまま
このまま
ちいさな、迷いの、
みえない、
硬い、戸惑いのプラスチックを、
決断の、とがらせた指さきで、
突きやぶって、
それから、送信の、まるで火災報知機のボタンを、
ほんとうに、
押してしまった ....
毎日すべての珈琲が
あたたかい国
街の真ん中には日時計の柱
海の上で
狩りを覚えはじめた小禽
無人の駅を震わせるピアノ
なめらかな不発弾
幾何形体
迎える身体が
どんなに拒んでも
....
穂渡りの君が
口笛を吹く
錦糸町にお蚕さんの面影を重ねてみる
ほら
そんなふうに季節を忘れた町に
探している何かを求めている
探している
穂渡りの君が
嘘をつく
....
ふるえる液体のように言葉をこぼす
その重なりの中のささやかな日常
計測地点からの風景
穏やかに心を柔らかくする
秋の夕暮れ、日差しの降った跡
乾いた血液はさらさらと夜 ....
紅葉の文様、その磨りガラスを叩くものが、
とんと鋳る
虚しいものだけ集めて終いたい
僕の中には それが軸になって
ぐるぐると塒をまく
ひかりだのやみだの、
どうせ狂ったように刺し混むだけ ....
{ルビ蜩=ひぐらし}の かなかなかなかなかなかなかなかな……と歌う歌声が
空へ心地好くひびく
一人 林の陰に立ち 傷を思う
傷の増えた この銀製の指輪は
あの人が亡くなった頃に求めたもので ....
きみはぼくのブルース
部屋にころがってるもんでできた
さびた機械
コップのなかにたばこの灰を落として
きれいに笑いころげる
きみはきれいだ
きみはきれいだ
きみはきれいだ
ぼく ....
雨
つめたい
銀の雨
腕を伸ばし
手のひらを広げる
空を見上げる
目を開く
降る
地に乾く
私を
すこしづつ
つかんでしまう
虹を風を
雲を
雨
光
....
素晴らしい朝は
岬の鴎たちが啼き交わす言葉までわかる
遠い希望は持たないほうがいい
ただ一瞬の充実が幸福論のすべてならば
そこに集力してそれが結果になる方がいい
それからが始まりだと ....
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