彼は待っている、
おおきな手と長い腕をひろげて、
彼は待っている。
彼はひとつの特権を持っている、
おおきな手と長い腕をひろげて、
彼は特権を行使する。
しかしその特権をどんなに行 ....
鏡像のフィールドに投げ込まれるボールは
一つではないマルチボール形式だからボールボーイたちに
厳しく言っておかねばならない明日から
ブラジルへの旅がはじまるのだから船便に
預けたまま忘れた荷物 ....
懐かしい曲が流れる
あなたがよくくちづさんでいた
T.H.というとあなたにはひらめく言葉
かなしいときは両腕を広げて
うれしいときは胸いっぱいに抱きとめて
雨宿りの午後に 傘もなく待つ軒 ....
久しぶりに人魚の歌が聞こえましたよ
ああ
ため息は深い泡の断続となってしまって
歌う人魚の口の中は真っ黒でしたよ
ええ
ふかふかと揺らめき上がるのです青い視線 ....
カーテンが
レールをすべる速度で
ひかりは生まれ
わたしの部屋に
朝をさしこむ
レースを通過した
木漏れ日から
光をひとつ選び
手に入れることなど
できない
あやふやな瞬間が
....
こう言っちゃなんだけど
冷めない愛なんてあるのかな?
そもそも愛=大切なもの
愛する=大切にする
陶酔なんて望んでも
そんなのは愛じゃない
大切なものを大切 ....
オ のスベ を イジョ たい
レのスベ をハイ ョされ い
レ ス テ ハ ジ さ た
オレ スベテ ハ ジョ れたい
言葉を感じる
あの子は好きだと言った
好きって言葉に出してみる
とっても恥ずかしい
あの子が好きだと言う直前の気持ちを考える
きっと持ってる勇気をすべて振 ....
ねえ、キミもためしてみてよ
魔法のシガレット
小さいころに気どってくわえた
....
灰色の街に
俺たちの轍が
友情はぬるくて
裏切りのまえで
アルコールのはいった兄弟
ブランコのよこで
頬をうたれる
女の顔のてり返し
灰色の街に ....
月の瞳に
海が映るのか
海の鏡に
月が潤むのか
旅立ちはいつだって
こんな夜の、ブルー
マストを背にした
ひとつひとつの心に
青はなにを
語りかけるのだろう
....
この世にある唯一の「絶対」
{ルビ絶対=・・}に永遠というものは存在しない
その他のものは全て偽り 祈りに似た願望
暗愚な夢の果て 憐れなる末路
されど人の夢は尽きず
愚かなりヒトよ 哀 ....
水面に爪先から降りる人に
絵に描いたような翼は
?無い?
静かに波紋を拡げ
音も無く沈む背中を
?眺める?
ゆっくりと確実に
淡々と逃げるように
?価値も時間も?
背景は ....
世界に伸ばした付箋をつなわたりする。
((私、空洞、私、不安定、私、壊れかけた、
私、影、私、斜陽、私、地平線、私、沈む、
私、静か。私、泣いている、私、拭えずに、
私、濡れた服、 ....
高い声でしゃべる少女
それはあたしだったかな
それともあなただったっけ
いつつ数えて
唄いだしたらいいよ
そしたらわかるの
どうしてあの女の子が
並木くんに恋をしてるのか
....
明け闇に稲妻
白い栞のように
風は慌ててページをめくる
朝を探している
朝
井戸につるべは落とされて
鏡が割れるように
宝石が生まれるように
しぶきは上がる
あたたかい頬 ....
風が砂塵を巻き上げて
ラクダのお目目に砂入れた
ラクダの大きなお目目から
一滴涙が落ちてった
涙で潤んだ砂たちは
みんなそろって
夢を見た
大きな白い花咲かす
遠い未来の夢を見た
....
叶わない思いなら、
最初からなければ良かった。
誰にも何にも執着したくない。
水のように生きて、
風のように彷徨って、
森のように其処にいて、
炎のように消えてしまいたいって、
....
大体前からセックスするなりゃ犬派じゃなけりゃな、と考えていた。
記憶から滲み出た階段は死ねばいいとすら思った異性を思い出してヤバい。
いつまで隠れてなきゃならんのか。
もう出てもいい?
....
ふいに明るくなった?
街角で空を見上げると
ぼくの姿は小さい。
数段にかさなった雲がちぎれて
やがてあなたのところに届く
そうして同じ雨を降らすの
目に映りこんだ人の波を追い出したくて
必死で目をつぶってみるけど
ぶつかり合う肩の痛みに
思わずあな ....
髪と声をほどきひもとき
あなたから生まれ出るものを
得ることなく得ようとしている
羽と鱗が 同じもののようにまたたく
夕日と虹といかづちを
分けることができないまま
....
なでしこの花が
空のなかを、めぐる
そして空は
{ルビ紅=べに}色になる
雲は赤に
魅せられて飲み込まれて
自分の色を忘れている
さっき見た少年は
少し蒼を吸い込んで
大人になっ ....
百日紅
こうず まさみ
激しい色ではない
長梅雨の間に
そうっと 音もなく 開いた花
枝先のピンク色が
爽やかな 風になびいている
バックコーラ ....
動かない
今の今まで動いていたのに
在る...
居るでなく在る
置いてある...
人が置いてある
その気配は既に物
者でなく物
ああ これが死で
いずれここにいる
全ての人に訪 ....
なにかが欠けていたのだろう
あなたに伝えること
いま
全裸を隠そうとしている
この月のように
僕があなたを
少しずつ愛していった
はずなのに
あなたは
不信で覆われていく ....
{引用=
めちゃくちゃに頭がキレるのにひとつだけ
熟語の読み方を間違えている友人がいて、
21世紀の学生らしからぬ高尚な論議に花を
咲かせているときに限って彼がその言葉を
....
そこは空かと問うたなら
鳥はきれいに黙して
はばたく
そのたび言葉は
空から遠いわたしの胸を
いやしの為に
傷つける
幻はまだ
あこがれとしての痛み
選 ....
・
家を出ると
道端に
無数の舌が落ちていた
赤信号が
誰ひとり停められなくて
途方に暮れているような真夜中だった
舌たちは
うすべにいろの花のように
可愛らしく揺れなが ....
ページをめくれば
ほら 其処は
現実と幻想の入り乱れた
混沌とした世界
ページをめくれば
ほら あなたも其処の住人
脱け出す術は ただ一つ
逃げ出す術は ただ一つ
存在を ....
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