冬の夜の
何もない一本道を
包帯だらけの山羊が
針金でできた自転車に乗って走る
かたりかたりと
暗闇に音を染み込ませていた
....
{ルビ爪先=つまさき}から {ルビ水溜=みずたま}り
{ルビ顛倒式=てんとうしき}には {ルビ白=しろ}い{ルビ手袋=てぶくろ}を{ルビ嵌=は}めてください
{ルビ空=そら}が{ルビ綺麗= ....
その未来に大いなる夢を抱きこの世に生まれ出た
ゴキブリ
いかなる困難にもめげず
常に前向きなきみは
誰もが羨むほどに輝いている
失敗を糧にし
鍛え上げてきた精神力と
逞しく黒光りする ....
数日後
フランスへ旅立つ友の
亡き母親の面影を
就寝前
闇の天井に想い浮かべる
「 わたしがほんとうに
求めるものは、何でしょう・・・? 」
胸に手をあて念じ続 ....
冬の海は寂しい感じがした
潮の香りは涙と同じ匂い
青くて大きな海は
たくさんの悲しみを含んでる
大きな波の音で
心が震えるみたい
潮の匂い
風
波の ....
灰色の下線を見つめて
手がちっともうごかない
言わなきゃいけない言葉は
あふれかけているのに
余計なものばかりが
頭をよぎってしかたない
笑い方とか
泣き声とか
....
乾いた空気
水分を欲す躯
乾いているのは
躯だけでなく
心とて同じ事
嗚呼
水分が欲しいのです
心も躯も満たされて
溺れてし ....
君が他の誰かを好きになれば
食事は喉を通らず 眠ることもできない
それで死ねる
きっと 死ぬことができる
植物は絶滅しそうになると保護される
温室で生きる
毎年外の世界の環境は変わるから
外に生きてる仲間は
適応出来るやつが生き残る
十年、二十年
いつか温室の彼が外に出 ....
すきすぎたんだ私
飢えたノドから浮き出た舌は
裂けてまたさけて裂けて
枝分かれた舌を折るように握り締めて
獲物に襲いかかろうか
果実をもぎ取ってやろうか
はりつめていく胃とは裏腹に ....
1
死ぬほど嫌いと女が言った
死ぬのは誰かと男は問うた
2
いやはや 二人を照らした蛍光灯は
チカチカとまたたきはじめて
そろそろ取り替えなければならないのです
あなたの ....
ひなごおり の よ
しずむつち はしゃいだ
わたりふね にがして
そろりと りょうて
あたたかく ないた
つめにかけた おまもり
しろいくも の ひも
落日が千手観音となって
丘のひだをまさぐっている
きょうはどんな日だったのか
と いわんばかりに
雑木林のそよぎは「時」が駆ける
....
桔梗のむらさきを聴く、と
夜の二歩手前が
どこまでもやわらかな鎖で
約束と小指を繋ぐ
硝子の鉢に浮かんで
むらさきは、鳴る
秋ですね と
ただそれだけを告げるために
桔 ....
今、
わたしが 欲しいのは
見え透いた 優しさ より
缶コーヒー 一本分の
暖かさ―――
世紀末、
虫が電灯で
渦をまいている
暑すぎて
ぼくは蒸発してた
鱗雲に投げかけた
{ルビ地球=ほし}へのラヴソング
小5のぼくは
顔を赤らめて、
夕焼け{ルビ頬=ほお}
....
かなしい水が水色からあせて
透明になるそあくな 貧相なるすい
目にとまらないかなしみ
人のとうとうのイルネス
闇に臥す病理
闇を服す心理
わたしと
あなたのもよおすイルネス
....
夢を見るほどに
侵されて
それでも
この脳内のシナプスは
あなたにたどり着く前に
途切れてしまっている
から
ピンクと白の
カプセルを飲むのだけれど
....
ざわざわ
ざわざわ
気配が騒ぐ
風の渦が
うねりを押しつけに来たみたい
とんとん
とんとん
ノックは無用
真夜中の扉が一気に開く
耳障りな声が誘いをかける ....
「ふらいぱんっていうレストラン」
ふらいぱんのおばさん、いつも店の外を見張ってる。
バス停でバス待つ人を見張ってる。
お客さんがいないから、いつ何時も見張ってる。
店を構えて20年、休みの日以 ....
やぶれめが ひたいに
あるので うつむくと
こぼれて くずれさる
すなの ふくろだから
かおを あげてあるく
やわらかなシーツに包まれて
そっと盗み見る
ゆるやかなウエーブの髪に指を絡ませて
唇を寄せる
幸せそうに眠る
起こさないようにベッドから降りようとして
冷たい床に足が触れる前に
....
ふたりの仲は
今が最大の{ルビ危機=ピンチ}
洗いたての洗濯物を干しながら
ピンチで止めていく
ふたりとも
洗いたてには
もう
戻れない
ピンチでとめることも出来ない
き ....
乾いてゆく風があった
薄れてゆく光もあった
綺麗にされた夏だった
目の前に拡がる
どこか懐かしい景色に
なぜかふるい歌を思い出し
海に腕をさし入れる
かなしみが群れているのは
きっ ....
何も考えずに野菜を切っていた
夜には帰ってくるあの人の食事を作る
食べやすいように細かく刻む
水に漬けて灰汁を取り除く
塩で味付けをする
旨みが増すようにと
気付いてもらえないけれど
....
凶器って
ナイフでも
銃でもなくって
コトバなんだね。
切ない想いにとっぷり溺れながら
自分の中の決して定まらぬ心の細波に身を委ね、混沌とした夢のような現実をクロールする。
地理が、人のイメージの複合物が、裸のまんまの僕の中の中に電気的な刺激を喰ら ....
明日のことなんか気にしなくていい
もちろん昨日のことは何ひとつ記憶していなくていい
愛されたければ擦り寄って
肌の隙間に丸くなって
煙いと思えばドアに爪をたてて
合図
部屋を抜け出 ....
ねんねんな
ねんねんな
耳元近く響いて
優しく鼓膜を揺らす
ねんねんな
ねんねんな
もう歌ってもらう
年でもないけれど
ねんねんな
ねんねんな
....
誰か私をここから救い出して
鏡を覗き込んで溜息
裏切られ裏切られても
尚まだ誰かを何かを
信じていたいと内側で願う
報われる日が来ると言い聞かせ
顔を上げては髪を掴まれ
キミの指 ....
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