老夫の胸に
長い間蓋を閉じていた
遠い日の戦
時折今も夢に見る
モノクロームの場面
白飯を掻きこんだ後
張り詰めた空気の部屋で
就寝前
心細く母のことを語らいながら
....
ふいに目の覚めた深夜
妻の亡いひとり暮らしの老夫は
布団から身を起こす
サイドテーブルに置いた
リモコンを探りあて
ボタンを押す
テレビに映し出された
モノクロ画面 ....
今日も一日、朝起きたらすぐに身体検査が始まる
俺は髪倒れは髪倒れは髪倒れは神だカミカミカミカミ
防護服を着た男が「ウィィィーン」とか言いながら機械音の真似
下から覗くようにカメラが移動 移動移動 ....
その突風
痛み
中途半端
だから誰も気づかないんだろう
その訳
腐った青
中途半端
いつも君は「防御」なんだろう
「失えよ」
そうだろう
そうやって死んでいくんだろう
....
カップの中の恐怖が
蒸発しきってしまうまで
西日の当たる窓辺に置いて
忘れた頃に覗いて見ることにする
ガラス越しのプリズムが
灰色の壁にいびつな虹を映す
シーツとタオルケットの隙間から
....
アンナは有名な画家の娘。
幼い頃に母親を亡くした彼女は
父親の仕事を邪魔しないように
野花や虫達と会話しながら遊んだ。
それでもアンナは幸せだった。
ある時父親に連れられてやって来た
アマ ....
きんにくを やわらげるため
首をゆっくり 回す
伸びをして 深い息をついたら
本を読みつつ
心が弛緩して
魂が解放されてる
喫煙喫茶のいつもの席
音楽がたおやかに流れて
集う ....
拘りは個性である
と 同時に
自分の可能性を奪うもの
でもある。
拘りは過去の習慣の産物で
拘りと呼べる程のものでもない
時もある。
それは拘りなのか習慣なのか
自分に問いかけ ....
***
目を細めて
少しぼやかして
灯りから
猫のひげがあらわれたら
いよいよなのだと思う
***
しらんだ空が
産んだ青い退屈
駄菓子屋の秘密
ゆうぐれのすきま
纏った仮面を振り回す
夏の日の少年
残像の香りはせっけん
ぶんぶんごま
鉛筆を構えるより
丸め ....
墓に酒を傾ける
世間の片隅でありつづけた君に
酒で石が黒くひかる
夜明けに
しらじら壁を見上げた
死ぬとはどういうこと
墓に酒を傾ける
羽虫がいっとき酩酊している
....
ささくれをこんもりと
やわらげてくださいます
ように
こんな詩を書く必要が
ありませんように
つやつや光る葉っぱ
がありますように
窮理の唄
どーん、どーん
どん、どん
賢き童は申し候
賢きの、賢きの童は
拍子とり,一巻のくすしい唄を
うたい候
髭の相者はおわしせば
髭の相者の髭ひとひねり
窮 ....
パンプキンパイにかぼちゃの提灯
{ルビ魔女=ウィッチ}が月を横切って
仮装行列の子供たちは
「Trick or Treat !」
ポッケをお菓子でいっぱいに
今夜は楽しいHalloween
....
三次元で存在できないものは
二次元で存在できた
手元が狂って黄色い場所に着陸した/飛び出た剃刀
ああ、寒い
冬の風が力強く脈打っていた
お尻を向けられた顔面に
煙草の煙が雲散霧消する
入 ....
猿どもが街を歩いてる
さっきも俺はすれ違った
猿の延長線上にいるヒトモドキどもが今日も群れを作ってる
猿にはなりたくない
勘違いの学校を飛び出せ、
勘違いの会社を飛び出せ ....
置き去りにされた僕は
改札から出れずに未だ夏を探している
葉っぱが紅くなるのは夏の名残で
太陽を映しているらしい
君の時計は三秒だけ僕より早く進んでいるの?
冷たい風は快速電車が ....
今夜のおかずは何かしら それは私と子豚が言った
切り刻まれて火に焼かれ その食卓に並ぶのでしょう
誰があの子の息の根止める? それは俺がとパパンが言った
誰があの子の体を捌く? それは俺がと ....
1.
ひとりの旅人と行き逢った。夕焼けのきれいな日で、
暗くなりはじめた道を鮮やかな赤色がずっと染めてい
た。道端の小さな岩に腰掛けて、旅人の勧めてくれた
煙草を吸いながら少しずつ話をする。巡 ....
愛する男を傷つけることしかできない人
哀れな 癒せぬ女
困難なことから 逃げるだけなら簡単で
可愛いだけで 我が侭が通るのは若いうちだけで
年老いた社会は 理不尽なこと ....
存在するために
薬さえ飲む
どうでもよいことばかり
世界にはあふれていて
秋の微弱を感じては
明日という名の薬を飲み
夢を好む
昨日の事が
縮図のように
うごめいていた
春でした
とどくよ、届く。
そんなもん、見りゃわかる。
だったら伸ばせ。
さあ、
手を伸ばせ。
だったら放て。
さあ、
さあ。
とどくよ、届く。
....
しーっぃぃ 静かに
静かに
耳を澄ます
耳を澄ますほどにやって来る
夜があるではないか
届こうとする
届こうとする夜が
やって来るではないか
いくつかの笑顔と空 ....
子供は暴力でいっぱいだ
頭のてっぺんから
足の爪の先っちょまで
暴力という暴力で
満ちあふれている
ほら、引っ掻いちゃうぞ
それ、踏んづけちゃうぞ
やれ、押し倒しちゃうぞ
よし、放 ....
派手に着飾って、香水を叩いて
俺を迎え入れる準備をするんだ
不手際を見つけたら二度とは訪ねないぜ
完璧なスタイルで物事を始めるんだ
街路には迷子が散乱してる
年端もいかない母 ....
夜明けとともに
失ってしまう事におびえて
冬の星座がのぼる前にと
眠りにつくふたりには
体温だけが必要で
かたむいていく、その先に
今日の終わりは信じないのです
夜がきます
恐ろし ....
二人暮らし始めて三年
貴方との縺れた愛の糸
解けないのなら
この手で切ってしまいたい
零れる涙に眼を閉じて
瞼の奥で想い出を探す
もうお互い元には戻れない事
解っているはずなのに ....
冬時計の 皮をむく
果肉が やぶれて
どろり ながれだす
おもいでを 涙と
いっしょに すする
せめて、幸せに
親も 子も 兄弟も 貴方も 私も
せめて、幸せに
朝が必ず来るように
せめて、幸せに。
子宮から産道を通って思いっきり息を吐いたら
絶望が打ち寄せてきた
だけどまだ、母の温もりを知らないので
知るまでは死なないでおこうと思った
階段を登ろうとしたら
絶望が打ち寄せてきた ....
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