絶え間なく 揺れ動く 空間
絶え間なく 生まれ変わる 情熱
一秒一秒 どの時も 細切れの時間の中に
産み落とされては 腐っていく 感情
ほら また生まれて
泡のよ ....
旋盤工の父は
若い頃に失くした左手薬指の
近位指節間関節から先を西日に透かし
今にも落っこちそうな細い指輪が後光のような部分日食に変わり
そこから風上の藪のように散るキリコに似た物陰に埋もれま ....
何の変哲もない住宅街
築20年以上の家が多くて
いわゆる団塊の世代のマイホームが並ぶ
父が団塊の世代にあたるわたしは
この町に生まれた
入学式のたび桜並木の下で写真を撮った
1番大 ....
くすみ汚れたその翅の
美しさのないさざなみの様な紋様の
幻惑 潤みきった私の
目がかつて切望した婦人の姿 雀蛾よ
そうやってお前は拒んでいた その
冷え切った身から刻み付ける響きの
出 ....
今日はつめたい雨
明日は多分温い雨
しとしとと濡らされて
嫌だな、篭りきって弱った身体
はるさめになってしまう
内側は殊にきたないから
黒いはるさめ
気持ち悪い
....
新調したエナメル靴の横に
男の吐瀉物が置かれていて
半透明の中身は
昨夜のサーモンやパスタやブロッコリーがそのまま
散らかした紙くずは
あっさりと片付けられ
返却期限のDVDは持ち去ら ....
楽園で君を手放す
ふわりと
花畑のにおいがする
白いシーツが
風に舞う
ああ
僕が夢見た光景は
こんな風だったんだ
さよならは言わない
君とのお別れ
ありがとうだけ、あ ....
帰り道にコンビニで煮物を買う
慣れ切った日常が続く
相変わらずな路上駐車常習車や
やる気が0.7ミリ程度の駅員や
噛み合いが悪いオートロックキーに囲まれて
夕食の味も興味がない
食 ....
傷ついたこころに きれいな夢
ひしゃげた気持ちに あしたの光
うたぐった
あなたにひざまずく
命に似せた「愛してる」
風向きは南
飲み込まれ ....
おとーさんは海老を食べない
なので生野菜とアボガドだらけの
冷製カッペリーニになってしまう
文句もいわず食べているおとーさん
ほんとうは何が食べたかったのか知らない
....
この世の終わりのためにことばをえらぶ
宇宙に架かるブランコに乗って星くずを撒き散らしながら
ことばはひろがる
ドアをあける世界がまたひろがる宇宙のドアをあける
よく見れ ....
なつが好きなきみ
なつが好きなきみと
コカ・コーラを買って
はるの海に行く
あいにく雨模様で
なみは
テトラポッドを
ひっくり返そうと躍起
....
きみを解消するためにわたしは旅に出かけて
わたしは解消されずに
きみを見た
目を見た
髪を見た
口を見た
わたしは解消されずに
きみの足元を見た
足跡がないのを見た
もう一度
好きだと言わせてくれ
もう一度
好きだと言ってくれ
叶わぬ願いは
無表情にして
重く のしかかる
やがてまた
絶えがたきを知り
再び まやかしを求め
心 ....
さみー
オレンジジュース飲んだらさみー
そりゃ外でオレンジジュース飲んだらさみーかー
スーツを着た男たちが「誰にしようか誰にしようか」と悩んでたので僕が「じゃんけんで決めたらどうですか」 ....
石井が死んだ
石井が死んだ
あの夜 僕と石井と巻田と藤原と4人で
火を囲んで はしゃぎあった
深夜の公園
ごおごお 燃え盛る炎を囲んで
いろいろな話を した
グラビアア ....
とりになって
きえる
ら
く
え
ん
へ
あわく
はかなく
しんでいく
ぼくはそこで
つばさをすてた
月からの 乾いた風が
鉄とコンクリートの都市を吹き抜けて
切れるような触角のガラスに映ると
天界と砂漠のような大地が
暗い夢のように結ばれて
解くことができない
幻影が月の雫 ....
お祝いに
山羊をつぶした
生まれたときはとても可愛い
しろだった
誰ともなく唄い始めたのは
誰かを忘れないためかもしれない
誰かを忘れるためかもしれない
とても可愛い ....
抱き寄せて、
そうやって愛されたいの、
めちゃくちゃにして、しばって、
そうやって愛されたいの、あなたに、
人は信念とともに若く疑惑とともに老ゆる
すぐれた創造力たくまし ....
破壊の途上の
解体現場が
夜を迎えている
声のない断末魔
それは空虚な惨劇だ
肉体も精神も
過去も未来も
そんなの関係ねえ
物質化された
いま ....
窓際 春のはじめの陽に
鉢植えの花が咲いてゆく
緑の葉が孔雀のようだ
朝と昼と夜が流れている
その少し離れた台所の隅に
チューリップの造花がある
流し台のガスコンロの近く
ひそりと赤 ....
雨が降る
重く沈む大地
佇む電柱のむこうに
荒れた風景がひそんでいる
降り続く雨に
思い出が
霞む
やむことのない
雨音の隙間で
ひっそりと
時が無言でいる
今が幻のようだ。
....
地上に足を着けたことのない鳥が羽おおぴらげて
大空を自由に飛び回ろうと羨ましくないんだ
どんだけ自由だ関係ねえって泣いても
食うもん食うために生きるそんだけのためにも
閉じなきゃならないも ....
鏡は知っている、として
おまえはどうなんだ?
生きているのか?
魂を病んでいるのか?
つるりとした風の肌触りに身を震わせているのか?
無闇に齢ばかり食っていないで
答えを 落として ....
唇を湿らせて
湿らせるからまた
乾いていく
いつかひび割れて
また舐められる
口の上に鼻があるのは
どうしてなのか
口で味わうときに
鼻も恩恵を受けるためか
初めての口紅 ....
その色
スカンジナビアの薔薇より
もっと赤い
沈み込むように
夜な夜な世界の果てまで
私のつま先から髪の毛の先まで
何も残さず
燃やしつくす
夢の砂漠は
いつか辿り着くと ....
石につまづき、転んで、
ひざ小僧を。 すりむいた
のど仏
般若心経など 唱えていますが
赤と白の組み合わせ、
猛スピードで通り過ぎて行く
ひざ小僧は。 ....
ある雪の日に手紙を出しに外へ出て
すべって転んで骨を折ったヨシ子さん
ケアマネージャーが入院先へ
見舞いに行ったら泣きべそで
「アタシ馬鹿よね、おほほほほ・・・」
折れた骨がく ....
スナフキン
買い置きのチョコレートが切れてしまって
買い足しに行かなければいけない
コンビニで立ち読みをしているスナフキンに会う
やあ、いい天気だね
一通り天気の話をすると
彼はまた手 ....
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