きらきら光る 梢の隙間から
優しい春の色が 通り過ぎてゆく
気まぐれな風が 散らす花びら
ふわりふわりと風に乗り 空へ舞い上がる
たをやかに咲く花も 蕾のままの花も
散っ ....
(チューリップが 咲いたよ)
君は少しずつ
透きとおって消えていった
虹色の血液をめぐらせる
心臓と血管だけは
しばらく其処に残っていたが
やがてそれらも
透きとおって消えてしまった ....
緑色の体をした
体格のいいおとこのこが
通天閣のまんまえで
しんでしまった
からすは
そう、とだけ頷いて
仕事場である住宅街に
早々に飛んでいってしまった
鋭い瞳は
....
一
真夏の昼下がり。
海へと向かう埠頭をめざして
ただ、闇雲に走るのは
未知のウイルスに侵された
一匹の狂犬。
ザー、ザーと耳の奥で
鳴りつづける不気味な雑音。
熱を帯びた鼻 ....
「On your mark」
隠しておいた二枚目の舌も きみに引っこ抜かれちゃったから
だから
寡黙なランナーに なれるよやっと
沿道の声援に もう お調子者の返事はしない できない
整 ....
「せんせいのては やさしいかたちしてるね」
いきなり言われたので
僕は自分の手をじっと見た
どうみても普通の手だ
「どういうところがやさしいの?」
血管がういて筋張っているし ....
「邪魔だから外れてろ」
その凶器がボクを貫く
灰色の感情が血液の変わりに流れ出す
大きなパレットには様々な色の感情が最初沢山あった
新鮮な感じだった
そこへ入るために新し ....
さて物語がまた1つ始まろうとしています
瞬きをしている時間が惜しい
昔々。。。ほら始まった
お決まりのフレーズから僕達を色々な世界へと誘う
朝霧の発生
靄が辺り一面に蔓延 ....
俺の前世は武士だったのかもしれない
いや、そんなに大層なものじゃない
野武士だ
それも山賊や海賊に近い荒くれ者だったんじゃないかな
堕落した生活の一途を辿ればひたすらに他のもの ....
たくさんの夢が過ぎていったカーペットの上
歳月だけが流れ、後に残ったのはゴミだけだった
積み上げた夢は崩れ落ち、私には何も残らなかった
新しいカーペットを敷く
クリーム色の憂鬱が広 ....
ああ めまいが
涼しい顔してその実
目の前を通り過ぎるもの全部に翻弄されている
それでもまだ発狂してないところを見るに
やはり俺は何も考えていないのかもしれないな
俺は俺自身に尋ねる
....
俺は基本的にボロを纏い
本物を見つけてみたかったんだ
本物を見つめていたんだ
薄汚れたにカーディガンに
色落ちしたスウェット着てさ
穴だらけのジーパンを穿くんだ
指差して汚 ....
好きか
わかんない。
なんて
ダメな気持ちですか。
気にはなってます
正直。
わかんないけど
彼氏いるの
いないの
わかんないよ。
いるなら
アピールしてよ
....
(君が生きていた、ことの波紋。
たとえばこういうところに。)
地層を指をさして先生が言った。1万年後に。
日の昇る六時前七階のベランダ僕の六本木になる
幸せな世界の終わりの星間物質の爆発を夢見ながらスキップして手を広げる
ここから落ちればトリプルアクセルできるから
ここは僕の
日の昇る六時前七階の ....
午前四時五十七分
うつくしくひかりに濡れた朝のなか
しっとりと艶やかな群青に紺碧にきんいろのそらのなかを
あなたはおちてきました
たったひとり
東京は潰滅しました
炎を ....
昨日、僕は琵琶湖疎水に行って、蛍を見た。
4匹か5匹、川の上を飛んでいた。僕は、
一人で歩いた。幻想的に、どことなく淋しく、彼らは彷徨った。
彼らも寂しいのだろうと思った。僕は時々、川のせせらぎ ....
うねっても
まっすぐ
ひねくれても
まっすぐ
うっすらでも
まっすぐ
とぎれても
まっすぐ
まじわっても
へいこうでも
からまっても
それは、まっすぐ
生まれてきたいと、彼女が望んだ。
まだ空一面が青色だった世界。
それはまるで、月の重力のようにやわらかで、けれど珪石のように尖って痛い、目に見
えるものすべてが水底みたいにたぷんと揺れる画 ....
仕事から帰り
洗面台でうがいをする
ぶく ぶく ぺぇ
ぶく ぶく ぺぇ
まっしろな洗面台の
お湯と水のつまみは
少し飛び出た両目で
真中のましろい底に
丸い口を空けたま ....
% の記号を書いて
○ で囲ったら
少し首を傾げた
{ルビ埴輪=はにわ}の顔になった
もう何も語ることのない
骨壷に納まった君の前に
坐って両手を合わせた翌日
通勤電車に腰かけた
僕の傍らのリュックには
三年前に君がくれた
紐で結んだ紙を束ねた
自作の詩集 ....
あ、ひねくれてきた。
ううん、ただそう思ったの。
きっと大人になるってこんな感じ。
はは、そんなわけない。
大人は記号。ひねくれものの。
純粋さが ....
彼女は受けて入れて
くれる、運ばれて
いく
わたしたちの、
むかっていく先に夜が
ある
開いてしまっていることが
まず、きみに
時間を
与えている、そのことを
すべての ....
いのちが灯る
こころが発する
ありがと
ありがとう
かれていっても
そこにあった
事実
見送るわたし
走るきみ
(または逆)
ことばよりもっと
かたりかけるもの
色も感 ....
雨の中での別れには密かな憧れを持っていた。
泣かないで、って言ってくれたけど。
私のためでないことくらい知っていた。
自惚れたかった笑顔も優しい言葉も、
今は風化していく思い出の中。
い ....
降り散る花びらに
かさなる喪失の想い
追われるように生きて
空がみえない
降りそそぐ光に
かさなる明日への想い
叫びをこらえるように生きて
今日がみえない
そして
かけがいの ....
笑うな
負けてるくせに
余裕ぶったり
開き直ったり
居直ったりして
悔しい思い隠すな
負けてたらその歯を食いしばって
崖っぷちに立たされた鬼気迫る感じで
向かっていけよ ....
高くも低くもない空で
片肺のとりが最後まで
遠くの風を羽根で切る
音が確かに見えている
双眼鏡の視界をはこぶ
嘘のない世界へと飛ぶ
萎れた身体が夏に見た
押し花の様に剥離した
....
ありふれた日常に
埋もれている特別
※
午後の授業
雨が降ったり止んだり
不安定な空模様
その生徒は
そんな天気に関係なく
いつも笑顔で教室にくる
だからそれがあた ....
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