昨日の嵐で庭の牡丹が萎れまして
そのくすんだ赤い花弁を撫でながら
ヤライフウウノコエ……と妹が呟きました。
その指の白さと花弁の赤さを見ながら
私は本当に彼女が愛おしいと思うたのです。
....
ひび割れた木に
杭を打ち放つ
手は震えながら、
正確な軌道を描いた
度重なる不幸
闇の工場にて
呪咀という名を
刻む、刻む、刻…!
空腹の生理は
情熱の加速を増長させる
風 ....
気がつけば、貴女の躰で眠っていた
窒息しそうなほど、むせ返る色気の中
妖しいひかりが、神秘的に照らしている
手折れたつばさの、はねの一枚一枚を
貴女はひろいあつめた、まるで世界がおわる前の準備 ....
秤の林檎にくちびるを寄せ
カリ、と音を立てて齧れば
金色に光る果実から赤い石がおちる
深い色の底に
昔、こころの中に住んでいた少女を見つけ、
名前を呼ぼうとしたが思い出せない
彼女 ....
スポーツのような真昼。
停止すべき者へ慰みを贈った
健康的な半裸の男(声はない)。
シンナーの臭いは坂の途中で会う女。
足をぬぐう女。
育児書を引き裂く女。
過去の頂点を崩す女。
それら ....
「別れる日は決めてあるんです」
あどけない顔をして
サラッと彼女は言う
離別の餞まで手に入れた
お人形のような瞳には
背景の妻子の温度は伝わらない
サーモスタットはいつ壊れるかわからないの ....
雨上がり
日曜日の朝
まだ薄曇りの光
そんな時間帯が好き
ピアノが雫を落としたり
ギターが疼いて泣いたり
ぼくはまだきみが好きだ
なんどか呟き嘘とわかる
....
胸のいたみに身をまかせ
予感のまえで肘をさすった
空がこどくを叫んでいる
あたらしい緑が燃えている
だっくだっくと坂を下る
つないでいるのは骨だった
春にむか ....
誰かに向けた心
目覚めた想い
途切れたClowd
光る雨 虹の道
{ルビ天空=そら}へ誘う{ルビ聖風=かぜ}に乗り
放つ力 夢の途
光る路標を見つけたら
真っ直ぐに届けよう
....
草木と土の匂いが
とても近くにあった
大地に捨てられているのか、私の身体は。
顔を傾かせ
地面に耳を宛がう
と
姿の無い何者かが
私の身体をゆっくりと押さえつけてくるような
鈍い重圧を ....
ピーヒャーラ、ピ
ピーヒャーラ、ピ
日曜の昼下がり
買い物客で賑わうアーケードに
音のないマーチが響く
ピーヒャーラ、ピーヒャーラ
通りの真ん中に
立ち現れる
....
なけなしの給料を下ろしに
近所のキャッシュサービスの
小部屋に行った
「 イラッシャイマセ 」
おじぎするお姉さんの
画像の上
片羽の千切れた亀虫が
6本の細足をの ....
僕はもう生きてちゃ
いけないみたい
ごめんなさい。
その声が怖くて仕方ないんだ
振り上げた手が僕を
そんな妄想に
捕らわれてしまって――
苦しい
胸が苦しくて
全ては僕が ....
糸は、絡まる
人は、悩む
考え込むように策を練る
糸は、切ればすむけれど
人は、関係を切るわけにいかない
糸は、買い替えればよいだけ
人は、買い替えがきかない
け ....
ピラフ
シュウマイ
コロッケ
サラダ
結構美味しんです。
袋を開けずにチンして
手が込んでいても
2人前300円なんです。
ピラフは炒めた方が
美味しんです。
フライパンの ....
空を翔けたり
大地を翔けたり
海の中を自由に飛び回れる
―――あなたが欲しい
自分に特殊な能力があったら
....
凍えてる
なんて
いいわけを隠して
プールサイドに
埋めた
水草の気持ち
僕の
好きだったもの
すべて
きみに見せられない
夜が
こないことに
なんの疑問もないなら
朝に ....
「罰」
1.スラム
スラムを歩いていた
黒人のドラマーが路上で演奏している
ある道を選ぶと、
小銭を支払わなければいけない
ぼくは背中にギターを背負っている
(いつの ....
その幹線道路を折れて
閑静な住宅街へ入る
丘へ向かって
ダラダラと伸びる坂道を登る
要塞のようなマンション群
東京を見晴らせる 丘
複雑な構造のマンションは
ト・ウ・キ・ョ・ ....
トムのクローンの僕は
実験の為、あるクラスで毎日授業を受けている
ルールは簡単
まじめに勉強をして
必要以上に誰かと仲良くならないこと
それなのに、僕は近頃
クラスメートの早瀬くん ....
かつて国鉄全路線に乗った
作家の宮脇俊三さんはこう書いた
「何かと不満の多い人間は
一度夕張線に乗るとよいと思う
いくらかおとなしくなるに違いない」
文句のある奴は夕張へ来い
文句のある奴 ....
震える指で
窓硝子を撫で月を見て
太陽の残り香を
目を見開いてじっとかき抱き
そして貴方は
眠りにつくの?
せかいはやさしい
誰の戯言か知らないが、
時を止める方法 ....
実と土のあいだ
鳥は落ち 飛び去り
叫びと無言 緑と足跡
人であることのさまよいに満ち
はじめて みなもと
そのまま たましい
そこにはぽつりと
ひとつだけがある ....
さすらいの
すべてがやさしく
しみるとき
風の
しるべの
まぶしさが、近い
背中や肩を
通うながれは
さらわれまい、とした
ひとつの道すじ
だれかの瞳に
年月に
....
「スライディングをして
サッカーボールを蹴った
ナカムラシュンスケ
が映るテレビを見て
小さい両手を頬にあて
幼い兄と妹は
ムンクの顔を並べる 」
と ....
触れたくても 触れられぬきみ 手を伸ばせば届く世界にいるのに 君の家まで徒歩10分 君想い今日もユメの中へ 君想い眠れば 明日か ....
生きていて
僕よ どこかで あなたの
ましろい部屋の空間で
宙に浮いたペンが
血と涙の混じった文字をノートに綴る
開いた窓を仰いだ神保町の曇り空から
誰かの涙がひとつ、落ちて来た。
靴の中身が煮えてきた
シャツは背中に張り付いて
ベタベタとした初夏の汗が出る
まだ夜は寒いので春のシャツで
上着を脱いでも身体は熱いまま
刺すような日差しに萎びる空気
プールがあれば倒れ込 ....
数字の背景に
眼差しがならんでる
いくつもの湿った瞳が加算されて
とても大きな数字になってる
僕と君の質量は
あいかわらずのままで
変わったことと言えば
合わせた瞳と
合わせられ ....
4142 4143 4144 4145 4146 4147 4148 4149 4150 4151 4152 4153 4154 4155 4156 4157 4158 4159 4160 4161 4162 4163 4164 4165 4166 4167 4168 4169 4170 4171 4172 4173 4174 4175 4176 4177 4178 4179 4180 4181 4182
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
4.48sec.