私待ちきれなかったの
あの頃の情熱はもう私にはないけれど
あの頃のときめきは
今でも私の中に生きているわ
また私の好きな季節がやって来て
あなたと出会った頃を思い出したの
鮮やかな ....
私はそろそろ止みますが
キラリと光る私で
あなたを濡らしてしまいましたね
私と同じ色の涙が
滲んでいます
心がしくしくと泣いているのですね
まだ
頼りない心は
誰ともな ....
○
何処も廃墟ではない、寧ろ、廃墟のなか
で咲き匂う幼い花々の精気を感じている、
この夜に。満ちたり欠けたりを矢継ぎ早 ....
じっとりと
肌が焦れる
東京の夏を
恋しく思う
濃淡のない
一色の空に真っ白な
日本の雲を
恋しく思う
この街の人達は
すぐに暑いと言って
この街の人達は
夜 ....
湿り気を帯びた
黒潮からの風が流れくる
幾分か柔らかさを含んで
太平洋の西のはずれ 日本列島 梅雨
空気が清々しい 今年
寒暖の激しさは何処へ
二酸化炭素の濃度が増えて
肺が ....
優しい人になるのは難しいのに
優しくない人になるのは容易い
眉間に皺寄せて不機嫌そうに言い放てばいい。
優しい人になるのは難しいのに
優しい人のふりをするのは容易い
その顔に ....
色々な人のぬくもり 時に冷たさが
ボクをカタチづくっている
ありがとうを言いたい
ここまで成長できたのも
発芽する種を与えられたから
それはとても幸福なこと
ボクの気持 ....
世界の殆どは
僕の知らないこと
世界の殆どは
僕には理解不可能なこと
だけど
世界の全てを知る必要も
全てを理解する必要もないんだ
世界のほんのひとつまみさえ ....
命が二つあればいいな
他人より先に死にたくないとか
そういうズルい理由じゃなくて
危険な罠から身を呈して
恐ろしい奴に体を張って
君のことを守りたいんだ
もちろん今のま ....
みんなから愛されて
あたししあわせ
けれど本当は
誰かの一番に
愛されたいの
けれど言えません。
彼女には口がないのでした。
そんな彼女は
キティーちゃんなので ....
誕生日というものをくれたひと
新しい湯呑み茶碗を贈った
そういうことかと
電話越しの妹は苦笑していた
本当に贈りたいものは
第二 ではなく 二度目
きっとうなずいているであろう妹は
....
秘密基地を確保したくて
テキトーな名前を書いて申請を出した
球技かなんかと勘違いしたのか
あっさりと申請は通った
かくして我々
「ビスケットボール同好会」は
授業の合間や放課後の
憩 ....
天井から悲しみが飽和したみたいに雨が降ってた
ここはいつも孤独が巣食って、ここに侵入者はこない
雨音だけが響くと誰もいないような気になって
最終的な世界の到達地点がそこに見えたりして
....
海辺に残した
叫び声を抱いて
自分を疑い 受け入れる。
うまく吐き出せないまま
膨らんでいく
重い重い「愛」と言い聞かせ
鎖に近い感覚で。
壊れる前に手を離せるほど
器用 ....
{画像=071202005950.jpg}
それはsora色のシャツ
soraのくうきの燦めきがプリントされている
soraにかざすと青空が拡がるの!
白いくせにsoraが ....
世界があまりにひろいので
大陸のかたちをしたビスケットにして
電子レンジでチンしてやった
ひとつひとつの大陸を
口の中でかみくだいて食べた
僕はまだ日本という国しか知らない
....
瑠璃色 黄昏 ポプラ並木
恋人の時より通じ合う僕ら
同じ時間に生き 同じものをみている
地球を覆う硝子膜が
破れると叫ぶ男がいて
そんな日はきっと
晴れだったに違いない
開いた向日葵の
まぶしいほどのイエロー
世界は今日も
腹立つほどに美しい
体の端が
セーターみた ....
僕はタバコを吸う
煙はどこかへ流れる
夢の中で小さな花を手折った
夢の中では小さな花を吸っていた
甘い香りの先に少しほの苦い味がして
僕は花を「ぺっ」と吐き捨てた
花を捨てた僕 ....
*
トマト畑の夏は
麦藁帽子のひさしの向こう側、
湧き立つ雲と
焼けつく陽射しの中に消えた幻。
雨上がり、塩を片手にかじった果実は、
少し青臭い匂いがした。
*
入道雲と夕立の夏
いつまでも沈 ....
まだ見ぬ
今日の恋人よ
お前は
どれだけ私を愛してくれるだろうか
私は
お前が愛するに足りる
男だろうか
私の話は
お前を退屈させはしないだろうか
私の愛撫は
お前に痛みしか与えな ....
ビスケットが落ちてる
道の上に
犬が申しわけなさそうに
それを食べた
ビスケットが落ちてる
皿の上に
人が申しわけなさそうに
それを食べた
人が落ちてる
土の上に
犬が申し ....
困った人と思いながらも私は夜風に体を乗せた。
「薔薇がない」
彼はあの馬車部屋で私の帰りを待っているのだろうか。
苦労して夜風に乗っているのに夜の花屋はまだまだ遠い。
月明かり ....
光る海水を
インスタントコーヒーの空き瓶に入れて
持ち帰ったことがあります
バスとフェリーと電車を乗り継ぎ
丸一日かけてたどり着いた真昼の部屋で
虫たちは光りませんでした
何をしてもど ....
灰色と銀色に染まった街を歩いて抜けて
折れ曲がった煙草に火をつける
築20年のアパートまでもう少し
汚れて薄く汚れた黒いジャケットが
雨に濡れて真っ黒に染められていく
傘は嫌いだから持たない ....
同じフロアの同じ間取り
南西向きの小さなワンルーム
好きなひとの去ったベッドに横たわり
ひとりの男の死を想ってみる
駅前のスーパーで買い物を済ませ
近く有料になるとかのレジ袋をぶら下げ
....
子供をつくろう、ぼくらは。
僕たちはあまりに多くの人を
失ってしまったから
子供をつくろう
埋め合わせるためでなく
失った人のことを伝えるために
子供をつくろう、ぼくら ....
ぽかぽか
陽だまりのなかで
アキはねむる
優しくて
それよりもっと
優しくて
あくび
ふわっと
浮かべて
目をこする
ネコが慎重に
せのびをしては
その路地を
て ....
空になるなら もう立てないなら
声を鳴らして 喉を枯らして
眠りにつくなら 唄えないなら
声を枯らして 喉を鳴らして
手を伸ばしても 意味がないなら
唄を紡いで 終わりが来る迄
....
想えば
魂の定義とは
その情熱のありかを
しめすことであり
ちょうど母の
六月の誕生日の朝に
配達される
新聞は
白い煙が
たれこめる
雲よりも天高く
心の空へと
立ち昇る
....
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