まだぼくが明日と昨日の区別もつかないときの、とってもおさないころのはなし
風邪をひいた。微熱だったけれど息が詰まるようで、頭が靄のかかったようにぐらぐらとしている。何度も眠りに付こうとす ....
この腕に
守れるものなど少なくて
そのくせなにかを
守ってみたくて
だから
たとえば
波打ち際で
きれいな貝殻を
探してる
きみは
きれいな貝殻を
よろこぶだろうから ....
盆去りても尚
陽が翳る事無く
燦々と照り付け
路面熱すと或る日の午後四時頃
やけに冷たいカゼが窓枠を叩く
何種類かの啼き声を
聞き分けられぬ程に
蝉時雨は止まず
....
ふと思い出す両手の田園
空は青く 低く
風にふかれた若い稲は
順々にそよとなびく
少女は
わずかに震え
指を組んで 目を閉じ
神様に感謝、
と 言っ ....
可哀相にペンギン
一人になってしまった
強く手を握り締めると
夜の虫が鳴き出す
湿った空気でぱんぱんの
孤独な立体駐車場
壁を照らしたヘッドライトは
あの別れ際の笑顔に似ている
振 ....
夢は過去に溶かされた。
空気中に漂う粒子がやわらかい光を放つ。
それはきっとあたたかい。
立ち止まっているのは動けないだけ。
迎え撃つのは簡単だがこの手で仕掛けることはできない。
腹痛が ....
そそくさと去り行く夏の記憶を確かめようと
深緑色に澱むお堀ばたを訪れてみた
色とりどりのウエアでストレッチに余念の無い肢体は眩しく
人恋しさを見透かされてしまうようで
遠慮がちにちょっと離 ....
猫が伸びしてあくびする。
それを見ていた子猫も
ふぁ〜あ
子猫のあくびに
母猫
ふぁ〜あ
子猫が虫を追いかける。
前足交互に
しゃぁーっ
しゃぁーっ
そのあと、子猫は肉 ....
・
幼いころ
妹はお風呂が嫌いで
兄は爪を切られるのが嫌いで
わたしは歯を磨くのが嫌いだった
だからそのころのわたしたち三兄弟ときたら
妹は髪から極彩色のきのこを生やし
わたしはのどの奥 ....
夏が終わるのが目に見えた
夏、最後の日
ヒグラシが鳴いている
カナカナカナカナ
空が夕焼けになった
夏を思うと
サラリと涙がでた
夕焼けが美しいので
....
天気はさまざまなものを
当たりまえのものであるかのように
人に見せる
そうして見せながらも黙っている
黙っているから人は勝手に騒いで
動き回ってくれるのだ
道の真中過ぎに
坐っているもの ....
まろやかに
とろっ と
吐く 息
{引用=
盆がすぎ、まだ青々と立つ稲の 鈴花が
まだ咲かぬのかと歯軋りする歯は黄色く毀れ
甘みが乗らなかった梨の実をもぎ
浅く掘った穴に震える足で踏みつけていく
「来年はがんばれよ」 と ....
暗い雲の海を抜けると
街の灯りは空に溶ける闇を挟んで地平線まで続いていた
塵にすら見えない人々が
眠っているのか 起きているのか
機体が揺れると町が近づいてくる
星雲のようだった光たちが ....
「冷蔵庫が壊れているから中に住みつづけることができないではないか」との鼠の苦情を戴いた。何やら冷気の確保に加えて光触媒の七色脱臭ゲルも必要だとか。そして奴らの私への攻撃が始まった。
身を切るよ ....
こうちゃんがいる
淹れたての
紅茶の湯気の向こうにいると
寝言を言って
祖母は祖父を追うように
逝ってしまった
けれども祖父は
こうちゃんという
名前ではなかった
....
もうお姉さんになったので私は大人たちが飲む紅茶をもらえるようになりました。今までは色でごまかした甘い水を飲んでいましたが、今日はお母さんたちがいつも飲んでいるような高級なティーカップが私の前に置かれて ....
それは
地上のものではない
空にも夜空にも宇宙にもないもの
かたちの留まらないもの
それは雨でもなく
雪でもないそれは雷でもなく
彼方の蜃気楼にも
此方の胸の内にも浮かばれない
....
幸せな振りして
何気ない事に驚く仕草をする
無邪気を装って
全てを知っていたんだ
ニンゲンは醜いから
ニンゲンは不潔だから
ニンゲンは悪だから
私もニンゲンだから
罵倒する為の ....
この世の中は腐敗している
何が正しいのかさえ
洗脳に依って歪んでゆく
寡黙な人々は俯き溜息をつく
立ち止まれずに
前へ前へ押し出されて
壊されてゆく自我
自分達で創り上げた
ビ ....
言葉もなかった
ミスチルの音楽は 悲しく
言葉を奪われていくのだ
*
僕は 生まれたときらしかった
眺めている緑色に
ロゴマークで スターバックスの
コーヒーを飲んだ
....
消えていくもの
たちまちに消えてしまうとわかっているものだけがいつも
うつくしくて
それだから口を噤むしかない
かたってはならない
冒してはならないことばかり
何もかもが足りていな ....
なにか物足りない
一生懸命な女が好きだ
そとに出さなければ
かくし通せるせつない気持ち
でもこれは仕事だから
公共性のないことは言えない
通せない
悲しいとき
貫くべき ....
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には鴨の香草焼き
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
皿には蝙蝠のフライ
「本日のメインディッシュです」
と、知らされる
....
{ルビ孫生=ひこば}えを育てている
木を植える男たちが植えた木は大きくなって
全てまた切り倒されてしまったので
孫生えの世話をしている
伸びすぎるとまた伐られてしまうので
折々に切りつめ ....
凄い勢いで流れが変わる、あの雨は、昨日の涙かな。
激流の中、繋いでた手は、好きだか。
激しい流れの中、一緒に耐えて、いつか穏やかな流れになったら、抱き合おう。
キスをしよう。愛してる ....
問いかける様に見つめられると
結局辿り付けない気になって
どんな言葉も相応しくないと
いつも口をつぐんでしまう
伝えたいことがあるのに
薄暗い照明と騒がしい音楽と
楽しげな笑い声に包ま ....
風呂に入り
身を清めて
風呂上りの
ビール一杯
友人の生演奏
ゆったりと時が流れ
癒される
体が放心状態
また仕事が入った
体はボロボロ
心のオアシス
どこか知りませんか ....
深い意味などいつもないのに
躍起になってみんな聞くのね
あたしの脳みそに嵌まる形が
すごく希少で輸入しなきゃなんないくらい
ただきみの犬を散歩につれてきたい
ただコーヒーにウォッカを入れ ....
熱があるって
わかると
途端に具合が悪くなる
恋してるって
気付くと
途端にどんどん
好きになる
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【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
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