もしも俺が死んだらどうする?
二人の新居が出来上がった夜
あなたはすこぶる縁起でもないことを言った
もしもあなたが死んだら
縁起でもないけど考えてみた
大前提としてもしもあなたが ....
駐車場をながめていた
どこからか猫のなき声が
マーフィを探すように
二人で目を動かしていた
俺は今どこにいるのか
愛人のマンションにいる
そんなこと聞いてない
....
読みかけの漫画なんか
弟に渡して
こっちきなよ
光と音の洪水だぜ
冷蔵庫の前で待っていたって
ママが牛乳とってくれるわけでもない
もうわかってきただろう
ここにはさ
自分できなよ
お ....
図書館、黄ばんだ本、しおりがわりのはがき
乾いたキスマーク、油はいつまでも、ねっとり
はがきと本に、烙印、鼻を近づけると、いいにおい
女の匂い、飢えた、半開きの唇、蒸発した唾液、鼻の穴へ
舌が ....
猫が浮かんでいた
足跡は
浜辺には残っていなかった
腹が膨らんで
それでバランスを保っていた
その下に
エメラルドの群れが
見え隠れする
猫の首は
だらしなく折れ曲がり
海底を ....
なつかしい
とつぶやくと
ふいに遠くなって
いとおしくなる
今ここにあるものなのに
今ともにあるひとなのに
あなたの手
あなたの腕
あなたの胸
どんなにか遠い
今こ ....
4日の日に
上の階の人が引っ越すらしい
4日といえば
わたしは健康診断の日だ
わたしがお腹やら喉やら
胃腸のはたらき具合なんかを
ぐるぐる調べられている時分に
かれらは荷物をくく ....
ぼくらはなにを知りたいのだろう
ぼくらはどこに歩き出したいのだろう
殺人したことのない人の方が圧倒的に多い
春に花を咲かせる桜木の方が圧倒的に多い
圧倒的に少ない事象に気をとめ ....
愛してるの響きだけで
強くなれる気がしたのは
気のせいでした。
ちょっとスピッツ聞きすぎてました。
必要以上に。
恋心を音楽に乗せて、なんてふつう。
それよりも、誰もつけないよ ....
しみったれた目をかわかしに
明るいベランダ 顔を出せば
あたたかい風 頬をなでる
僕はふっと風になり
家々の屋根 渡ってく
青い屋根をとおりすぎ
黄色い屋根を横 ....
ゆふれいは
いると思う?
きいた 君がふいに
消えてしまいそうで
抱き寄せた
僕はいきている?
きいた 君は笑って
僕の胸に顔を埋める
こんな風にずっと僕らは
ゆふれいは ....
見わたすかぎり
あおあおと
海原
さみしげに
小舟が一艘
のどがかわいて
哀しくなった
水はこんなにあるじゃあないか
いのちによく似た絶望が
きらきらと
世界の途切れる ....
君の声が好き 君の顔が好きというひとは
沢山いるだろうけれど
君が一生懸命だから好きだと言ってくれるひとは
あなたしかいなかった
僕の手にしているものと 僕が抱えているものを
遠巻きに ....
真夜中。
ふと眼を覚ます瞬間がある。
見慣れた天井が、
突然偽者めいて僕を吸い込もうとする。
暗闇と静寂の中、
その木目を宙で擬えて、
負けないように息をする。
冷たい空気に、
肺 ....
ずいぶん冷たくなった
雨粒が窓を打ち付ける
暗闇の部屋に響く
貴方の笑顔のように
ぱちぱちと
私の心に染み込んでくる
肩と肩が触れた瞬間から
手を取り合って
些細なことにも
一喜 ....
君の素肌に触れた日は
忘れもしない
君が十九の秋でした。
僕の心は君だけを
思い焦がれて
千々となり
集めて鈍く燃えたのです。
誰にも言わず
誰にも知れず
躊躇する手を最初 ....
呼吸を実感したくて
息を止めると
きみはどうしたのと笑った
どうもしてないよ
ただ
死んでみたくなっただけ
そう言って僕も笑った
昨日僕が鍵を閉めた
空調の整った部屋
まるい天井 ....
スノビスムの撃鉄を起こし
シャルル・ド・ゴールに降り立った
着陸までは青空だった
雲の上だから当然だ
愛やその他の悪意を捨てて
身一つで旅に出るならば
そのような悪意から逃れられず
....
すずめのお宿はきょうもにぎやか。
夜をまえに、温かな場所をめぐって
くりひろげられる場所とりの争奪戦
茂みのおくで、ひとときのおしゃべりがつづく
おしゃべりは、一羽一羽が
それぞれの位置にお ....
私達が生まれながらに持っているコレは、とてつもなく重い。
ソレは最初、両親が支えてくれる。
私達が一人で歩き出せるその時まで、
ずっと抱え続けてく ....
常連扱いに戸惑うも 茹で上げて
試供されたからには品評しないわけにもゆかない
まだ幟のくすんでいないラーメン屋の
一皿候補としての酒のおつまみ
淡泊な色合いだから
盛りつけの器は黒め ....
ひしゃげたわらの一筋に
薄い雲から来る太陽光の残滓と
飛び交う電子の温度がこもっていた
温かい立体だった
わたしは妹の手に
秋の暮れ方の軽さを載せた
それが十年の
記憶だった
....
夕暮に
放射線が
ジグザグに
切り付けにやってくるんだ
赤いビル
灰色カビた
臭いのする
壁、壁が息苦しいな
それが頭重くして
....
量子力学のパラドックスに「シュレーディンガーの猫」というものがある
じつは原子爆弾もコンピュータも
シュレーディンガーさんの方程式で動いているらしい(多分)
入門書を何度読み返してみても
一向 ....
息をするのも 罪に思うのは
許されない 嘘をついたから
いつも通り 心を閉じて 目を開けた
まだ 悲しみが足りないと 笑う僕
ほら 優しさが足りないと 包む君
綴る生物になりたい ....
この世界は水没します
誰ともなくそう言い出して
だから、逃げよう
あの電車に乗って
そう言われたわたしは
貴方のことをしらないのだけど
きっと 愛していたらしい
真夏は去ったのに ....
その後のこの期
夢のなかで
私はまだ
逃げも隠れも
している
この期に
およんで
い ....
空を見上げたら
お月さまはもうなくて
見えないとかそういうんじゃなく
お月さまはもうなくて
誰の消しゴムのせいか知らないけど
とにかくもう、なくて
夜、何を見上げればいいか途方に暮れた ....
言いたい放題
言われてしまった
でも、
自分は
たしかに
大した器じゃない
けれど、
大した関わりもない人が
たぶんに狭い了見で
よくもまあ
あんなに細々
あんな ....
わたしには、きっと
読まれることのない
手紙を書いている
わたしには、きっと
云われることのない
ことばを書いている
進む指の感覚がもどかしい
ひかりを知らない子どものように ....
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