「あなたは本当にオーマル様なのですか?」ヨランは尋ねた。
「わたしたちの『導き手』の……」と、続ける。オーマルは、
「わたしはいかにもオーマルと申す者。始めにその名を告げたはずだが……」
「承っ ....
背中
海
ゾエア
まだ、地域猫と言う概念のなかった遠い昔、
ぼくの住む小さな漁村にキジトラの、年老いた猫がいた、猫、と呼ぶにはあまりにも堂々とした体躯、しなやかさ、とはかけ離れたふてぶてしいcat walk、ぼくはそ ....
内部から
現れ溢れる
言葉たち
色とりどりの
増殖する円の群れ
熱を帯びている、燃えている
交わり結び
捉えられ
ひとつのおおきな詩に溶ける
ひとつにひび ....
空には星がある、ぼろい暗幕のことだ。
引き裂けぬだけで虫がついて、
大層蝕まれ穴だらけではないだろうか。
それら包まれて流されてきたばかりだった
今日は今日とて曇り空の舌で何を舐め取ろ ....
タコ
ヤゴ
貝
この秋晴れに、階段を
一段飛びで
上る
ぐんぐんぐんぐん登る
どこまでもどこまでも昇る
すると、
涼やかな風に舞い
白々と透明な綿毛が
無数、数知れず
飛び交って来る
....
あのうそ
ばれてないかな
あのひのこと
ばれてないかな
わるぐちいってたの
おぼえてないかな
こわしちゃったの
おぼえてないかな
ど き どき、する
と き どきする
....
○「うまくいかないとき」
うまくいかないときは
ちょっと遠回りしていると思おう
遠回りだけど
やがてゴールには着くのだと
○「競争」
人と競争するのは
人に勝つためではない
自分の ....
自由を得たい
望みを持ち
嫌になるような世界で
たくさんの叫び
たくさんの悲鳴
私は聞いたんだ
だからこうして書き綴る
もう、あなた達には時間がない
あ ....
通り雨が、ぽつりぽつり
スライド硝子にコロラド
雲の切れ目にらんぱろ
ブラス らっぱらっぱ
通り雨 ぱらぱらぱら
水草と金魚 あぶく。ぷくぷく。。
ロケット、発射 延期
ティンパ ....
毎日は過ぎていく
駆けずり回った日常は
更に青く光る
鈍い太陽も笑う中
行方知らずの犬たちは
追い打ちをかけるように
吠え立てるが
知らぬ存ぜぬの不毛な輩
若輩者を気取る技工士達は ....
雨風で腐りかけたいくつもの角材、灰色に色の剝げ落ちた無数の木箱、何本もの錆びついた太い単管、に混じって土場の廃棄場にひと際目につくものがあった。
そのボーリング会社の事務所は以前は喫茶店だったらしく ....
紅葉は暁の棘を落し偽装される
共感覚を奔らせた 多くの人々の間で、
牡丹――哀愁は暗褐色の
その鍵と旋盤を前奏曲と外壁に配したように見える
河原での吹き溜まりでの、〈塒〉
――冗談で ....
この声が
君に届く頃
飛行機は
南の空を飛ぶ
窓の外を見つめたら
僕の歌が
聴こえるように
枯れ葉は揺れないで
君がいて
僕がいて
空の穴に
手を伸ばしたり
透明だ ....
「やはり、これは罠だな?」アイソニアの騎士は、オーマルを睨(=ね)め付けるように言った。
「大方、俺たちのような厄介者を、ドラゴンに食わせようというのであろう?
その手は食わぬ。そもそも虹の魔法 ....
「それは、エインスベル様の命でございます」と、ヨランは言った。
「当たり前だ! 俺たちは、虹の魔法石を求めて、ここへ来たのだ!
それがエインスベルを救うと、この盗賊が言うからな!」と、アイソニア ....
「単純な話だ。生きとし生ける者には、霊魂が存在する。
そして、世界は一つの心を持っている……。
わたしは、このことを数十年の年月の末に確かめたのだ。
わたしを導いたのは、魔術という一種の道 ....
すべてから
解放され
すべてを
開放し
広大な大地に
遊ぶ
*
気分は沈み
気分は盛り上がり
まるで大海原のうねり
自我は佇みひたすら静観し
天空に銀河の帯、 ....
唇を飾りたいなんて
子どもの頃から鏡の前で
幾つ思い数えたでしょうか
星に願われた膜があって
それも人の愛し方のひとつと
知るはるかむかし
考えなかったのでしょう?
また会いたいなん ....
かぶりつく
リンゴに
歯をたてて
型が残るように
果汁を歯に
吸わせるようにして
思いの丈を
すべてぶつけて
憎しみも
悲しみも
すべてを噛み砕くごとく
かぶりつく
訳もなく
わきあがりうきたつ
午前のこの時間、この一時
わたしはひたすら
しずかなよろこびに貫かれ
無言でひろがる青空をみる
いつか、
この空の青みに
雷鳴が轟き
亀裂が走る ....
人間は脳の10%しか使っていない
なんて
言われてきたが
最近の研究で
脳は常にその100%を使っている
という事が明らかになった
とはいえ
記憶の存在する場所が
脳の中
....
五十鈴
湊
豊受
かわたれ時に片割れを
朝月になぞらえて
あれが上弦なのか
下弦なのかもわからないけど
片目を閉じる疼きと
左手のしびれたような感覚に
ため息をつく
....
土手の
草木が揺れている
熱い風が吹き
彼岸花はまだ咲かない
夏の後ろ背を追いやったはずの
秋が
今日一日、夏の再来に追いやられ
せめぎあい渦を巻く
木霊が
生来の不安と恐怖と孤 ....
猫に従って公園で雪を焼いた
こうばしく焼けてて繁昌だ
冴ない流しを伴った年若いパ・ドゥ・シャ
やがて霧を映したバロネ
あわい谺に教わり月を結びつけた糸を裁つ
しぼまないで、泣かないで、真 ....
「そんなものが、この地に満ちているのですか?」ヨランが愕然とした。
目に見えぬ生命があるなどと、ヨランは理解できなかった。
しかし、科学が崩壊する以前の文明であれば、それは当然の話だった。
「こ ....
「あなたはなぜ、『言語崩壊』を引き起こしたのですか?
エランドル様。それによって、人間社会が滅びることなど、
分かっていたでしょうに?」──この時のヨランは、探求心を満たすというよりは、
世 ....
「そうだ。わたしは世界だ」──オーマルに憑依したエランドルの声が言った。
「エランドル様。あなたはいったい何をお求めですか……?」
ヨランは、その一言一言が、何を招くのか、といった恐れに苛まされな ....
323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363
【自由詩】自由詩の作品のみ受けつけます。自由詩批評は散文のカテゴリへ。
2.74sec.