[273]足立らどみ[2025 05/15 19:31]☆
ちまつた悲しみに…」に見られるように、汚れや痛みをあえて象徴的に描き出す手法で、魂の喘ぎを詩に閉じ込めています。中也の詩的情念は、抑圧されるほどに切実で、聞く者の心を一気に震わせる力があります。
日本詩に共通する情念の構造・表現技法
これらの例から、日本詩における情念表現にはいくつか共通点が見られます。まず、自然・季節との結びつきです。古典から現代まで、桜や梅、海や雨、風や雪といった自然のイメージを通して、内面的な情緒や熱情が投影されます(「難波津に咲くやこの花」や最果タヒの「冬の海」など)。この擬人的・喩的表現により、個人的な想いが普遍的な世界像と重なります。次に、言葉の素朴さ・口語
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