[273]足立らどみ[2025 05/15 19:31]
えます。北原白秋の作品世界では、理想化された情念と昭和初期の都市生活への憂いがせめぎ合う独特の雰囲気が感じられます。
? 萩原朔太郎(詩集『月に吠える』ほか)
朔太郎は近代日本詩の黎明期にあって、感情表現を最優先した詩論を打ち出しました。序文で「詩の本来の目的は…人心の内部に顫動する所の感情そのものの本質を凝視し、かつ感情をさかんに流露させること」であると宣言し 、「詩の表現は素朴なれ」と唱えました。まさしくこの言葉通り、朔太郎の詩は心の痛みや不安、愛情などをストレートに吐露し、聴き手の共感を呼び起こします。代表作『月に吠える』では、都会の孤独や幻想的な不安が激しく朗吟され、画一的な理屈を超
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