[16]佐々宝砂[2006 10/17 12:10]★1
#明治の新体詩を彷彿とさせる文語自由律詩の体裁は、
#漢詩の和訳の体裁からきているらしい。
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「一本のガランス」村山槐多
ためらふな、恥ぢるな
まつすぐにゆけ
汝のガランスのチユーブをとつて
汝のパレツトに直角に突き出し
まつすぐにしぼれ
そのガランスをまつすぐに塗れ
生のみに活々と塗れ
一本のガランスをつくせよ
空もガランスに塗れ
木もガランスに描け
草もガランスにかけ
魔羅をもガランスにて描き奉れ
神をもガランスにて描き奉れ
ためらふな、恥ぢるな
まっすぐにゆけ
汝の貧乏を
一本のガランスにて塗りかくせ。
(『槐多のうたへる』より)
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