[15]佐々宝砂[2005 04/24 02:37]★2
の嘆きは貝殻もてすくふよしもなし。
ひるすぎて空はさあをにすみわたり
海はなみだにしめりたり
しめりたる浪のうちかへす
かの遠き渚に光るはなにの魚ならむ。
若ければひとり浜辺にうち出でて
音(ね)もたてず洋紙を切りてもてあそぶ
このやるせなき日のたはむれに
かもめどり涯なき地平をすぎ行けり。
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「緑陰」
朝の冷し肉は皿につめたく
"せりい"はさかづきのふちにちちと鳴けり
夏ふかき"えにしだ"の葉影にかくれ
あづまやの藤椅子(といす)によりて二人なにをかたらむ。
さんさんとふきあげの水は
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