[15]佐々宝砂[2005 04/24 02:37]★2
淵(ふち)に身をなげすてたる我の悲しさ。

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「静物」

静物のこころは怒り
そのうはべは哀しむ
この器物(うつは)の白き瞳(め)にうつる
窓ぎはのみどりはつめたし。

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「涙」

ああはや心をもつぱらにし
われならぬ人をしたひし時は過ぎゆけり
さはさりながらこの日また心悲しく
わが涙せきあへぬはいかなる恋にかあるらむ
つゆばかり人を憂しと思ふにあらねども
かくありてしきものの上に涙こぼれしをいかにすべき
ああげに今こそわが身を思ふなれ
涙は人のためならで
我のみをいとほしと思ふばかりに嘆くなり。

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