[24]いとう[2005 04/24 03:12]★3
え憐れみを知るのに
忘れるということが罪であるなら
私の背中には罪という名の紋様が
胸に透けるほど深く刻まれているに違いない

消えた足音を追って悲しみを繰り返す
泣き声に掻き消された言い訳たちは
赤子のようにさらなる泣き声を産み出していく
もう言葉ではなくなっている
嗚咽にも似たその声を
伝えるべきあなたがいないことに
立ち尽くすにはまだ悲しみが足りない
それが悲しくて泣けることに甘え
悲しみさえ消えていく深夜
響くけものの遠吠え
肌を切り裂く細い細い細い風に悦ぶ
痛みとは次の悲しみに耐えるためにあり
甘美は次の痛みを受け入れるためにある
いつしか自らの泣き声
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