[24]いとう[2005 04/24 03:12]★3
き声にさえ笑っていることにも
気づいているのはただカラスのみ
はじめから戻る場所などなかった
はじめから戻る場所などなかったのだ
言い聞かせるように呟いても
生きているだけで思い出は増えていく
失うための
人生など
虚しく積み上げているのはただ
夜明けを信じる者たちだけだ
無残に蹴散らされたとき
残るものはあまりに少ない
笑い飛ばすほどの価値もない
見えない背中だけがほくそ笑む
疲れ果てた人の群れの中に戻り
ホームの端でカラスの夢を見る

はぐれた一羽の軌跡は明け方の空で途切れていた
飛ぶ鳥の足音は誰にも気づかれないまま
それでもあなたの思い出のいくつかは残
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