[24]いとう[2005 04/24 03:12]★3
には届かない
届かないことは喪失ではない
それはただ、喪失という名の存在で
悲しむための道具としてのみ

そう。思い出はすべて道具と成り果て
空が何処までも続いていると信じていた頃
振り返るといつもそこにあなたがいた
その過去という現実でさえ
消えていく場所こそが
既に見えなくなっていることを知っている
夜はすでにすべての消えゆくものを覆い
一抹の不安とともに在り続けるのは
ただ
街の明かりに照らされた自らの手のひらと
透過された手のひらの影と
そこに浮かび上がるあなたとの日々

あれは幻ではなかった
けれど遠ざけるような視線で見上げる
一羽のカラスでさえ憐
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