[111]イダヅカマコト[2006 01/07 04:58]☆
るとき
雲の灰色を映して爪先から忍び込む雨水は
ぬるま湯の形で私に親しみながら
心の蔵へ届く
「絶対」は私に擦り寄るなかれ
白い強さに這いつくばるのを見てただ笑っておくれ
わたしの躯を駆けめぐるくれなゐよ
押し出す心の根よ もっとだ
もっと正しく清冽にはたらけ
汚れなき風よ
乱れた髪をおまえに切られようぞ
その勢いで私に教育し導き給え
私は一つの考える発熱体だ
夕暮れ時に焦げ出す清廉
想定内のひび割れなら放っておく
氷雨よ洗え
汚れきった背筋を流してゆけ
何れ私が透明になる為に
一月の雨は人を貫けぬ氷の角
刺しぬくごとにぞわっと広がる冷気は横に広がっていくばかり
吹かれる風に破られるのは私の頬の産毛たち
薄い膜のように体を覆うのではなく
頬の紅からえぐりとれ、つとつとと降る雨たちよお前は
嵐の前に少しでも澄んだ空気へ近づけておくれ
前
次
戻る
編
削