自由詩
傷だらけのヒーロー/1486 106
 
月の明かりが猛獣の目のように
この街を怪しく照らすよる
一台のバイクが唸りをあげて
幹線道路を駆け抜けていく

正義も悪も無いというなら
戦う事に意味はあるのか
考えるほどに深みにはまる
それでも新たな戦地へと向かう

傷だらけのヒーローは
一体何と戦っているのか
震える背中が語るのは
一握りの迷いと不安

東の争いを解決しても
西から聞こえる叫び声
人間が生きている限り
消えることの無い憎しみと悲しみ

正義も悪も無いというなら
一体何を信じればいいのか
襲い掛かる疑念を振り払い
アザだらけの拳を握り締める

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