受信履歴/月夜野螢
 
白い箱の中には 見たこともない形の 小さな部品がひしめき合ってた
ためらわずに たたいて壊した ハードディスクは
たたいても たたいても ビクともしないで
ただ 鉄の音が響いていた

スクリーンのあなたの言葉が消えるように
すべてを壊した

バラバラになった小さな部品たちは 住処をなくして
見るはずのない 太陽を見上げて 風に抱かれて

刻み込まれたはずの記録は もう 見る術はなく
その代わりに見えない安心感と喪失感が残った

もう怯えることはない
もう悲しむこともない
あなたの言葉に 操られることもない

それなのに
あのスクリーンは なぜか今も光を放って
切れ切れの文字が浮かび上がっている

断片的な視覚記憶は 写真のように全体を捉えず 
記録のまま存在して 履歴を重ねる
 

   グループ"四文字熟語"
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