往復書簡/佐々宝砂
僕は十二番目の牢舎にゐる
僕は二零三と呼ばれる
僕は自分の名前を忘れつつある
僕は粗悪な食事に馴れつつある
君の庭の卯の花は
今頃はもう満開だらうか
此処にゐると季節が判らない
時代さへも判らなくなるやうだ
独房の窓は時折呻きながら点滅し
君からの手紙を表示する
それがこの生活の唯一の救ひだ
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おい、頭は大丈夫か?
なんでまた旧かななんだよ
それから言っとくけど
俺んちには卯の花なんてない
粗悪な食事ってのは
出来合いの弁当かなんかだろ
コンビニに行くほかは
出歩きもしないんだろう
パソコンにかじりついてないで
一度くらい俺んちに遊びに来いよ
全くお前は莫迦だなあ
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