着色願望/ソラノツバキ
その夕暮れに僕だけが
駅のホームに赤く貼りつけられた
君は隣にいるけど
なんともなくて
そのため僕は
だだをこねる子どものようには
うまくいかなかったが
君を困らせた
しかし残念ながら
最初は不思議そうに尋ねた君も
いつの間にかブタカロチンを語り始め
もう笑うしかなくなったのだ
そしてぐつぐつと胸の中は
ブタカロチンを吸収し
あっという間に背中の赤を
ベリベリとはがしていった
ちりりと痛むところから
真っ赤に吹き出した気がしたが
君にはぜんぶブタカロチンの衝撃に
げらげらと背を丸めたようにしか
映ってないに決まっている
家に帰ったら
ブタカロチンを真っ赤にそめて
胸焼けを起こしてでも
君をどうにか真っ赤にしたい
ああ けなげな僕は
ホームに赤いかさぶたを残し
仕方なく電車に乗ったのだった
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