推定無罪/天野茂典
裂かれた魚影は探知機にかからなかった。藻が以上に発生していた。魚影は藻の中にもぐりこんだのだろうか。藻は密生して揺れていた。海底深くはなかった。太陽の光がレンブラント光線のように差し込んでいた。明るかった。海中はいつも清潔なのだ。プランクトンも一杯浮いていた。魚影はレーダーから消えて久しい。漁師はあきらめた。もっと沖に
漁を求めた。魚影は藻に絡んで楽園を謳歌した。いつまでもそうしていたかった。捕獲されるのは御免だった。魚影は海の幽霊になろうとしていた。色彩はなかった。太陽の明かりだけだった。それで充分餌を捕獲できた。藻は密林のようだった。
どんよりとしている。いまにでも雨が落ち
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