疑似定刻/人形使い
り落ち延びる。
声の無い影が、滑稽なうろたえた仕草の真似をする。
艶やかな絹糸の織布のような、洪水する黄昏に溺れ、さらさらとした夕焼けを掻き分けて、波間に垣間見た、輝く島嶼、浮き橋。
プラットフォームには朱墨うち撒けたように、贄の腰掛けのように、赤が流れ続け、洗われており、それは最果てへのいざないの手に似て消失点へ向けて長く長く延びている。
時の流れは燃焼し、酸化結合して、その重たさに間延びし、だらしなく、
(そうして薄くなった空気にひとは喘ぐ)
ダイヤは主観軸上に曖昧に垂らされた黒蜜の広がりの具合。
―疑似定刻。
ざぶざぶと斜光を割ってやってくる列車。
人は
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