無人列島/岡部淳太郎
 
ると
もう後戻り出来ない
と謎のような言葉を残して
泥の川を経由せずに
直接海の中へと入っていった
もはや都市の人口は
日を追うごとに後ろ向きの鼠のように
減少し
列島は
新しい夜明けを迎えつつあった

何かが焦げたような臭いがする
この言葉は
残された人々にとって難問となった
彼等は来る日も来る日も
泥の川に 海に
身を委ねる人をとどめることが出来ずに
この難問に取り組んだ
だが狂ってみなければこの謎は解けないのだ
彼等もそれにうすうす感づいていながら
認めるのを恐れていた
ある制服警官などは
泥の川に架かる橋の上から
海へと流されてゆく人々を眺めて
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