深緑原子/A道化
 
度も、何度も
朝が来なくなるまで朝が来て
ねえ
本当は酔ってなんてなかったと笑ったら
本当は酔ってなんてなかったと笑ってくれ
そして
黙って


幾つもの偽物の沈黙が
しゃがれて駄目になってやっと
はじめてみたいに純な沈黙が還元されるだろう
そのとき、躰が流れて染み込んでゆくなら
深い草の中がいい、かつての足がそうだったように
生きているつもりでそうではなくて深緑に還ってゆく足の
いつになっても聞こえない足音を待ちながら流れて染み込んで
深緑の原子になってもまだ生きているつもりでずっと、黙るなら
ねえ
深く柔らかな草の中が、いい



2005.10.29.
   グループ"四文字熟語"
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