宮廷詩人/千月 話子
シの未完の曲 を
汚して行くのだけれど
それさえも朽ち果てる花弁の
美しさだと 写し取り
この手で握り潰しては
滴らせ混ぜ入れて
美しく乱舞する
整うた紙片 虚構の上で
黒髪の 華やかな貴婦人よ
生まれたばかりの詩集を
あなたに贈るけれど
並べられた滑らかな文字を
目で追うな
その か細い指で凹凸を
なぞっては引き千切り
高く高く 舞い散らせておくれ
ああ、その屈辱は上空で
輝きの無い星屑になり
高笑いする あなたの
青い扇の上で賞賛されるだろう
(ワタクシの ワタクシの
つたない詩も
高尚になり果て堕落する)
美しきことに身を置いて
横たわる冷たい
大理石の光る床の上
とろけそうな瞼を半開きして
差し伸べるワタクシの手の平に
黒ビロードの飾り帽子の
蝶の羽根の触れる午後
光りの庭は 花を奪って
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